第8回目のマーケティングウェポンの
ディスカッションテーマは［他店の商品でも喜んで］。
「他店の商品でも喜んで」を
【マーケティングウェポン】として捉えた時、
どのようなアイディアと、応用例があるのか?
このような視点でみなさんとともに考えていきたいと思います。

今回は、私にとってじ～んときた感動話を一つお伝えします。
あるケーキ屋さんでの出来事です。
ある夏の夜。
7時30分過ぎた頃。
ある40代の男性が、
郊外のとあるケーキ屋さんに入っていった。
男性「こんにちは。」
店員「はい。いらっしゃいませ。」
20歳前後のやや小柄な女性店員が
にっこりと男性の方を向き、軽く会釈をした。
男性「今日は娘の誕生日なので、
ショートケーキを買って帰ろうと思っているのですが…」
店員「娘さん、どんなケーキがお好みですか?」
男性「イチゴのショートケーキが大好きなんですよ。」
店員「そうですか…あいにくですが、イチゴのショートケーキは、
すべて売切れてしまったのです。
もしよろしかったら、ブルーベリー、チョコ、洋梨、桃など、
その他のショートケーキであれば、ご用意できるのですが…」
店員は、とても申し訳なさそうに男性に言葉をかけた。
男性 「困ったなぁ。娘はイチゴのショートケーキを
とても楽しみにしているんだけど。
ましてや今日必ず買って帰ると約束してしまったし…
他のショートケーキで大丈夫かな…?」
店員「わかりました。少しだけお時間をいただけますか?」
と言うやいなや店員は、電話帳を取り出した。
そして、パラパラとしばらく電話帳をめくり続けていく。
が、あるページでピタッと止まり、
じーっと食い入るように見続ける。
すると、おもむろに受話器を持ち上げ、
電話を掛け始めた。
だが、何もしゃべらず電話を切る。
たぶん相手が出ないのだろう。
そして、また掛ける。
今度は電話口で
「イチゴのショートケーキありますか?
娘さんの誕生日を祝ってあげるために
今日、どうしても今すぐ欲しいのですが…」
でも、どうやら電話の相手からは難しい反応のようだ。
3件、4件目と繰り返される。
時間が遅いからだろうか…。
お店が閉まっているか、
売り切れているお店がほとんどのようだ。
5件目か6件目あたりだろうか…。
急に店員の声のトーンが変わった。
店員「あ、そうですか。ありますか。
ありがとうございます。
ちょっ、ちょっとお待ちください。」
店員は、電話を保留にし、目の前の男性に、
興奮した声で言った。
「い、いちごのショートケーキありました。
場所は○○○○○です。
これからぜひ取りにいって欲しいのですが…。
娘さん、お誕生日なのですから…。」
いかがでしたか?
この話自体、人から聞いた話しなので、
私がアレンジしています。
でも、実際にあったことなのです。
本来であれば、
このように紹介した先のお店とは、
この店員のお店にとって競合店でもあるのです。
また、紹介した先のお店のことを
「お客様が凄く気に入ってしまい、
うちのお店に来なくなってしまったらどうしよう…。」
と考えてしまいがちになるところでしょう。
でも、大事なことは、違うステージにあるようです。
無事、娘さんにイチゴのショートケーキを
買って帰れたこの40代の男性は、
この後、どのような行動に出るでしょうか?
このお店にリピートするのはもちろん。
友人、知人にもこのお店のことを伝えるたくなるのは、
容易に想像できます。
この店員は、
単にお客様の気持ちが分かるという次元ではなく、
お客様に成り代わっているのです。
まさにこれが「顧客視点を極める」という
ことなのではないでしょうか?
そして、このケーキ屋さんは、
単にケーキという商品を販売しているのではなく、
「ケーキを通じて、お客様の誕生日、記念日を祝い、
大切な人との絆を強くしてくれているお店」
なのです。
マーケティングウェポンの一つ
(今回の話は、単なるマーケティングウェポンの視点
ではないかもしれませんが…)
［他店の商品でも喜んで］
あなたはどのように応用しますか?
また、次(↓)のような切り口で何かありましたら、ぜひ教えてください。
———————————————————————
【応用例】
「あなた自身のお店、ビジネスに応用すると
このウェポンはどのようなものになるのか?」
【体験例】
「既にこのウェポンは過去に実施している。
それは、成功なのか? 失敗なのか?
また、その要因はどのようなものか?」
【アイディア例】
「あなた自身の商売、ビジネスとは関係ないが、
このウェポンを使った、こんなアイディアが考えられる。」
などなど、皆さんの体験やアイディアを聞かせてください。
ぜひ、みなさんと分かち合いましょう。