これからのブランディング 【第10回】これからの日本のブランディング(3)

みなさん、こんにちは。
シニアコンサルタントの山崎です。

連載コラム
「これからのブランディング」
第10回目です!

これからのブランディング 【第1回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~グローバルブランドランキングから

これからのブランディング 【第2回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~グローバル・トップブランドの3事例から

これからのブランディング 【第3回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~カンヌライオンズの観点から

これからのブランディング 【第4回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~ブランド動画:この10年のお勧め10選

これからのブランディング 【第5回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~ブランド動画:この10年のお勧め10選(後編)

これからのブランディング 【第6回】日本のブランディング状況について

これからのブランディング 【第7回】グローバルと日本のブランディングの比較について

これからのブランディング 【第8回】これからの日本のブランディング(1)

これからのブランディング 【第9回】これからの日本のブランディング(2)

前回は、
これからの日本のブランディングについて
3回連続の(2)として

一つ目のアプローチ
「Social Good Branding」
~これからの日本型ブランディング「価値の探求方法」~
についてお話ししました。

ポイントは

企業が対峙すべきものとして
世界的ビッグイシューが大事なのは当然ですが
日本は、まず日本国内の具体的社会課題に対峙するべき

3C分析において
Customerを「市場、顧客」とする以前に
「社会の課題と生活者のインサイト」を導き出し
これを「市場や顧客とそのニーズ」に落とし込む

インサイトは、従来の消費ニーズではなく
「人間なら国や民族を問わず誰でもが共通に感じられるものか?」
という観点で確認する

でした。

今回は
これからの日本のブランディングについて
3回連続の(3)
二つ目のアプローチ
「Brand x Digital」
~これからの日本型ブランディング「価値の訴求方法」~
についてお話しします。

そして突然のお知らせで恐縮ですが
本連載、今回が最終回となります、、。

最終回は、本コラムのテーマである「これからのブラディング」
締めの内容となります。

長い期間お付き合いいただき、ありがとうございました!

それから今回は、最後に新サービスのご案内もあります!!
みなさん、最後までお付き合いくださいね!

 

「探究したブランド価値」を「どう訴求するか?」

折角探求したブランド価値も、訴求しなければ意味がありませんね。

スティーブ・ジョブズ氏もかつて言っていました
「いくら素晴らしいものを作っても、伝えなければ、ないのと同じ」

ということで、今回は「どう訴求するか?」について3つのポイントでお話しします。

1.クリエイティブ

今やECは勿論、リモートワークの定着により、
在宅時間も長くなり、人が商品と出会う最初の接点として
デジタル(ネット)が相当なウェイトを占めるようになりました。

しかしながら、短期的に単なるセールスばかりをしていては
「安かったから買っただけ」といったブランドになりかねません。

やはりデジタルの世界でも、
まずそのブランド価値を知ってもらい、
→好きになってもらう
→結果、買ってもらう

このような流れが中長期的に重要になってきます。

またブランド価値を構築しても
その言葉だけで訴求するより、そのブランドを表現したクリエイティブがあると
その訴求力は全く変わってきます。

そしてブランド価値をクリエイティブ・ジャンプした表現にするには、
ブランド戦略の本意をクリエイターに的確に指示する力量も必要になってきます。

つまり
「ブランド戦略×クリエイティブ表現」
による化学反応を起こせるか?
デジタルでのブランド価値を体験してもらえるか?

それにより、その後の効果は全く違うものになるでしょう。

2.コミュニケーション

企業のコミュニケーション施策において
最も予算が使われてきたのは、広告です。
その傾向は今でもあまり変わらないような気がしますが
“生活者にとっての影響力”は相当変わってきています。

ニールセン、世界60カ国・3万人の19種類のメディアに対する消費者信頼度について調査結果をまとめた「広告信頼度グローバル調査 – 進化するメディアにおける必勝戦略 -」を発表』によると、
『2015年の段階ですでに、
「消費者が最も信頼する”広告”」は
「テレビ広告」63%を大きくしのぎ
「友人や家族からの推薦」83%が1位となっています。
(2位「企業(ブランド)ウェブサイト」70%、3位「ネット上の消費者の口コミ」66%)

「企業がタレントなどを使って自社商品の良さをアピールする広告」より
「個人が発信できるSNS」が普及した今は、
一般消費者、さらには知人、価値観の近い友人の評価のほうが
断然影響力があるのは、みなさんも実感できるのではないでしょうか?

しかし「企業によるSNSの使い方」においても
ブランディング同様、日本はグローバルに後れを取っています。

SNSは、日本では「拡散ツール」としての使い方が主流ですが
アメリカでは「エンゲージメントプラットフォーム」として活用されるケースが多いです。

これは、本来のSNSのポテンシャルをしっかり認識し、
人やお金といったリソースをしっかり使っていると言えます。

3.ブランド価値分析

このように、探求したブランド価値を
「クリエイティブで表現」し「SNSでコミュニケーション」できたとして、
その効果はどのように測れば良いでしょうか?

ブランドコミュニケーションにおける効果測定は
グローバルでは現在、MMMという手法により測定されることが主流になっています。

MMMとはMarketing Mix Modelの略で
売上を目的変数とし、それぞれの施策が「売上にどれくらい効果があったのか」を数字で示す
多変量解析という数学の手法で、昔からある王道なものです。

しかし最近はツールが進化して、本来なら専門知識がないと非常に難しいMMMも
ずいぶん簡単にできるようになりました。
(ツールはまだ比較的高額)

私も25年位前には、業務分析コンサルとして
エクセルを使ってガリガリと計算していたことがあります。

その約10年後には、分析をサービスとする会社の存在を知り、
私はマーケティング視点で分析のディレクションをし、
分析自体は専門の会社へ依頼する、という体制で実施していました。

このときは、クライアントさんから
「デジタル施策が売上にどれくらい貢献しているのか分析してほしい」
という依頼だったのですが、
分析してみると最も大きな貢献をしているのが、
数式的に「定数項」を言われる「ブランド」だったのです。

これは、この時たまたま出た結果ではなく
おそらく多くのケースでも当てはまるのでは?と感じていました。

最近出てきたツールベンダーの分析結果例を見ても
当時の傾向とかなり似ていて、
「やはり売上に一番貢献するのは、長年蓄積されたブランドなのだ」
と確信しました。

どうしても短期的な広告やデジタル施策による直近の効果に目が行きがちですが
実は、効果全体の基盤であるブランドを底上げすることが、
各施策の効果と合わせた全体の効果を高めることになります。

そして分析に関しては、もう一点重要な視点があります。

それはブランド評価と事業成長の相関を長期的に測定しておくことです。

MMMで推測できるブランド効果から
これを数年とか数十年で時系列に追っていくと、
ブランド評価と事業成長の相関が見えてくると思われます。

今後は、こういった

  • 売上等に対するブランドの価値を数値化しておく
  • かつ長期的にブランド評価と事業成長の相関を計測し続ける

ということが重要になってきますし
ブランドの有効性が広く認識されていくと考えています。

如何でしたでしょうか?

これまでグローバルに後れを取っていた日本ですが
今後は、グローバルを参考にしながらも
日本ならではのブランディングを追求し、普及していければ
社会や日本にも少なからず貢献できると思います。

ということで
長期にわたる連載にお付き合いいただき、
誠にありがとうございました!!

 

そして最後の最後に
新サービスのご案内です。

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ブランド・マネージャー認定協会より

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また、お会いしましょう!
ありがとうございました!!

著者プロフィール

山崎 浩人 Hiroto Yamazaki
・一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会
/アドバイザー
・株式会社CARTA COMMUNICATIONS
/ブランド・コンサルタント

マス広告・CRM・モバイル・クロスメディアと
常に最先端のマーケティングを開拓。
通信業界x広告業界でモバイルキャリアレップCEO。
広告業界x放送業界でクロスメディア事業者CEO。
東日本大震災をきっかけにプレイヤーへ復帰。
世界最大手外資広告グループ会社に5年在籍。
日本自動車メーカー8社共同プロジェクト
「Drive Japan」の総合プロデューサーとして2012年Web人 of the yearを受賞。
大企業中心にブランド、グローバル、デジタルと様々な戦略コンサルティングを手掛ける。
業界等のイベント登壇、講演、記事、インタビュー、多数。

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