これからのブランディング 【第7回】グローバルと日本のブランディングの比較について

みなさん、こんにちは。
シニアコンサルタントの山崎です。

連載コラム
「これからのブランディング」
第7回目です!

これからのブランディング 【第1回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~グローバルブランドランキングから

これからのブランディング 【第2回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~グローバル・トップブランドの3事例から

これからのブランディング 【第3回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~カンヌライオンズの観点から

これからのブランディング 【第4回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~ブランド動画:この10年のお勧め10選

これからのブランディング 【第5回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~ブランド動画:この10年のお勧め10選(後編)

これからのブランディング 【第6回】日本のブランディング状況について

前回は、
日本のブランディング状況について
お話をしました。

今回は、
グローバルと日本のブランディング
の比較についてお話しします。

比較することで、その違いがさらに鮮明になりますので、
ますますビックリされるかもしれません。笑

比較は3つの観点でしてみたいと思います。

1.ブランド・コンセプト比較

まずはブランド・コンセプト(タグラインとかアイデンティティなど含む)の
比較をしてみましょう。

各ブランドのコンセプトを
「どのような誰に」
「どのような何を」
「どのようにどうする」
という文章構成にはめ込んでいます。

まずグローバルの事例です。

「どのような何を」
が中心になっていて、内容も非常に個性的と言えます。

また機能訴求ではなく、価値や世界観といった次元で表現されている印象です。

アップルやコカ・コーラが素晴らしいのは勿論ですが
スターバックスの「第3の家」は非常に有名ですし
メルセデス・ベンツは実に個性的でわかりやすい!

次に日本の事例です。

上の段は、グローバルと同様に
「どのような何を」
が中心になっていて、内容も非常に個性的と言えます。
ブランディングとしても、非常にうまくいているケースと思います。

しかし下の段を見ていただくと
「どのようにどうする」
が中心で抽象的な印象です。

これは、
日本国内では既にかなり知られているブランドのため、
抽象的でもなんとかイメージや想像はできると思いますが
おそらくこのメッセージのままグローバルに展開しても
日本国内より海外では認知がかなり低く、
且つ巨大な競合ブランドが存在しているため
生活者や消費者の印象に残るのは難しいでしょう。

また、もしあまり知られていないブランドが
日本でこのようなメッセ―ジを発信しても
何をしてくれるブランドなのか?
今一つイメージや想像がしづらいのではないでしょうか?

2.ブランド動画比較

次にブランド動画の特徴で比較をしてみます。

右の日本の場合、
まず「旬なタレント」を起用して視聴者の目を引く
というケースが非常に多いですが
内容的も「フィクション」であったり、
訴求ポイントも「機能」どまりで、
価値観や世界観まで伝える例は少ないように感じます。

しかし左のグローバルの場合
「社会的存在意義」を訴求するために、
内容も「リアル」、
そして、そのリアルなストーリーを実現する
コアアイディアが非常に秀逸です。

そうやって見ると
それぞれの動画の目的が

日本の場合は
「社名や商品名の認知や話題づくり」と推測できますし
グローバルの場合は
「事業価値の共感や理解」と推測できます。

結果、視聴者側の印象としては
日本の場合
「面白いかもしれないけど、一回見れば十分」と感じますし
グローバルの場合
「何度でも見たい」と感じます。

実際、以前ご紹介した「ブランド動画10選」などは
数年から10年位前のものでも
未だに「見たい」と思いますし
見ると今でも感動できます。

それ位の差が出ていると思います。

3.国としての背景の比較

最後は、国としての背景から比較してみます。

日本の場合、単一民族(厳密には違いますが)であり
特に既に知られているブランドは、抽象的なメッセージでも
なんとなくイメージや想像ができてしまいます。

しかしグローバルの場合、
そもそも多数の国に対峙しなくてはならず。
自国内を見ても多数の民族が住んでいたりするため、
習慣や考え方、さらには使用される言語も複数存在しており
抽象的なメッセージでは、何が言いたいのか伝えるのは
非常に難しいと思われます。

そのため、個性的なメッセージが必須になる
という環境があります。

またグローバルでは、各ブランドのトップ層同志がやりとりをする中で
それぞれのブランドが、
「どんな意味や価値、考え方を持っているのか」
という話をするようです。

日本の場合、同様なことがおきているとは
あまり想像できません。

このように
グローバルと日本のブランディングを

  1. ブランド・コンセプト比較
  2. ブランド動画比較
  3. 国としての背景の比較

と3つの観点で比較してみましたが
如何でしたでしょうか?

冒頭にお話ししたように、
比較することで、その違いがさらに鮮明になりますので、
ますますビックリされたのではないでしょうか?笑

正直、次元が違うレベルの話なので
日本企業に頑張ってもらいたい私としては
非常に悩ましい長年の課題です。苦笑

それでは次回は、
いよいよこの連載も大詰め。

これからの日本のブランディング
についてお話をしていきます。

この次元の差は、どのように対応していったら良いのか?
非常に大きな課題ではありますが
自分なりの考察をお話ししていきます。

次回もお楽しみに!!

 

著者プロフィール

山崎 浩人 Hiroto Yamazaki
・一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会
/アドバイザー
・株式会社CARTA COMMUNICATIONS
/ブランド・コンサルタント

マス広告・CRM・モバイル・クロスメディアと
常に最先端のマーケティングを開拓。
通信業界x広告業界でモバイルキャリアレップCEO。
広告業界x放送業界でクロスメディア事業者CEO。
東日本大震災をきっかけにプレイヤーへ復帰。
世界最大手外資広告グループ会社に5年在籍。
日本自動車メーカー8社共同プロジェクト
「Drive Japan」の総合プロデューサーとして2012年Web人 of the yearを受賞。
大企業中心にブランド、グローバル、デジタルと様々な戦略コンサルティングを手掛ける。
業界等のイベント登壇、講演、記事、インタビュー、多数。

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