これからのブランディング 【第6回】日本のブランディング状況について

みなさん、こんにちは。
シニアコンサルタントの山崎です。

本日はいつものコラムに加え、お知らせがあります。
2023年9月5日(火)にブランド・マネージャー認定協会によるセミナーが開催されます!

詳しくは本文の最後にご案内しますので、本日も最後までお付き合いくださいね!

では、連載コラム「これからのブランディング
第6回目です!

これからのブランディング 【第1回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~グローバルブランドランキングから

これからのブランディング 【第2回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~グローバル・トップブランドの3事例から

これからのブランディング 【第3回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~カンヌライオンズの観点から

これからのブランディング 【第4回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~ブランド動画:この10年のお勧め10選

これからのブランディング 【第5回】ブランディングって世界ではどうなっているのか?~ブランド動画:この10年のお勧め10選(後編)

前回までグローバルのブランディングについてお話ししてきましたが、
これまであまりグローバルのブランディングを
ご存じでなかった方はビックリされたのではないでしょうか?

今回は
「日本のブランディング状況について」
お話しします。

日本のマーケティングはグローバルに比べて遅れている
というお話は聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、
ブランディングに関してはどうかと言うと、、、

こちらも、残念ながらかなり遅れています。
それも根本から。

以前お話ししたカンヌライオンズの状況を見てみると明快なのですが
カンヌライオンズでは、ソーシャルグッドという概念が2010年あたりから出てきて、
2015年位には定着。今や定番となっており、
更には、ソーシャルグッドの進化系として
2021年には、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)
2022年には、パーパス、サスティナビリティ
といったテーマがフォーカスされました。

また、
P&Gのように、「パーパスのあるブランドはビジネスがスピーディに成長した」
といったビジネスにおける有効性を証明した事例も出てきました。

しかしながら日本では、カンヌで見られるような傾向はあまり見られませんし、
先日ご紹介した「ブランド動画10選」に対抗できるような事例もほとんど見当たりません。

では、日本のブランディング状況がどうなっているかというと

ブランディングを、「イメージ作り」「話題作り」
と捉えている印象が強い。

これは、TVCMでもよく見られる
「有名なタレントを起用」したり、
「フィクションの物語をシリーズで展開」
したりしている類ですね。

これらを見ていて「非常に勿体ない」と思うのは、
その企業は、本当は
すごい事業を実施していたり、すごい価値を構築したりしているのに、
そのあたりは全く訴求していない、ということです。

また内容の展開も似たようなパターンが多く
上記のような「面白コンテンツ」パターン以外に
なぜか「みんなで踊る」とか「連呼する」といったパターンが目につきます。

面白コンテンツは、「好感度を上げる」
みんなで踊るは、「目にとめてもらう」
連呼するは、「音で記憶にとどめてもらう」

など、その目的はなんとなく想像がつきますが
伝える方法論が、非常に表面的であったり、小手先な印象を持ってしまいます。

なぜこのような方向なのかを洞察すると
それらの企業は、ブランディングを本来の「ブランド戦略起点」ではなく
「コミュニケーション戦略起点」で実施されている
という状況から来ていると思われます。

もっとわかりやすく言うと
「ブランディングを担当している部門の違い」
と言えそうです。

そして、その結果どういうことが起きているか?
CM好感度とブランドの各ランキングを対比すると
非常にわかりやすい結果が出ています。

まず下記は、
2021年度の銘柄別CM好感度のランキングです。

そして下記が
同じく2021年のブランドの総合ランキングとなります。

如何ですか?

有名だったり話題になったりするTVCMは
CM好感度ランキング等にはその効果が反映されていますが
肝心のブランド評価としては、
ブランド評価ランキングにおいて
CM好感度ランキングの上位6社は、100位以内にも入っていない
という状況です。

これらのTVCMは、その目的が「本来のブランディング=価値の訴求」以外の
上記のような「好感度」「目にとめてもらう」「記憶にどどめてもらう」
といったものにあるのかもしれませんが、
少なくともブランドの評価には反映していないのは確かです。

この結果、みなさんはどう思われますか?

日本でも、SDGsやパーパスといったワードが注目されている印象はありますが
どうも本質を捉えていない、
極端に言うと「流行っているからやらないと」
という感覚なのでは?
とすら思ってしまいます。

それでは次回は、
グローバルと日本のブランディングを比較していくと、何がどう違うのか?

もう少し具体的に、かつ別の観点でもお話ししたいと思います。

そして最後に
2023年9月5日(火)に開催されるブランド・マネージャー認定協会主催セミナーのご案内です!

タイトルは、
カンヌライオンズ2023から考察する
これからの日本のブランディングとクリエイティブ

スピーカーは、長年カンヌライオンズをレポートしてきた河尻亨一氏と、
なんと私です!

本連載コラムとも非常に関連が深い内容となっておりますので、
ぜひみなさんご参加くださいね!

詳しくはこちら↓から

カンヌライオンズ2023レポートから学ぶ、
日本のブランディングとクリエイティブの未来を考えるセミナー
https://marketing.brand-mgr.org/lp/webinar_230905

次回もお楽しみに!!

 

著者プロフィール

山崎 浩人 Hiroto Yamazaki
・一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会
/アドバイザー
・株式会社CARTA COMMUNICATIONS
/ブランド・コンサルタント

マス広告・CRM・モバイル・クロスメディアと
常に最先端のマーケティングを開拓。
通信業界x広告業界でモバイルキャリアレップCEO。
広告業界x放送業界でクロスメディア事業者CEO。
東日本大震災をきっかけにプレイヤーへ復帰。
世界最大手外資広告グループ会社に5年在籍。
日本自動車メーカー8社共同プロジェクト
「Drive Japan」の総合プロデューサーとして2012年Web人 of the yearを受賞。
大企業中心にブランド、グローバル、デジタルと様々な戦略コンサルティングを手掛ける。
業界等のイベント登壇、講演、記事、インタビュー、多数。

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