「なぜ、商品をブランディングしなければならないのか?」という理由に、
「探索コストの低減」と「リスク回避」がある。
いわゆる消費者はブランドを認識することで、
目当ての商品を素早く探すことができるようになる。
そして、その「目当ての商品」を決定する際に、
すでに信頼がおけると分かっているブランドの商品を選択することで、
購入以前に品質を手に入れることができる価値について、
ある程度の保証が得られるのである。
このために「リスク回避」をするのだ。
以下の表は、ブランド論の世界的な権威ケビン・レーン・ケラーが、
著書「戦略的ブランド・マネジメント」で記述されている
[購買行動における消費者のリスク]の指標である。
【機能的リスク】
購入した製品が、購入者が期待した機能を果たさない。
【身体的リスク】
購入した製品が、使用者や周囲の人々の健康や身体に危害を加える。
【金銭的リスク】
購入した製品が提供する価値が、支払った価格に見合わない。
【社会的リスク】
購入した製品が、社会的な迷惑をもたらす。
【心理的リスク】
購入した製品が、使用者の精神・心理に悪影響を及ぼす。
【時間的リスク】
選択の失敗などにより他製品を探索するという機会費用が発生する。
このようなリスクの感情「ほんとうにこの商品、大丈夫?」を、
もう一歩踏み込み具体的に考えてみると、
こんなところではないだろうか。
「本当に体に良いのだろうか?
逆に体に悪いことがあったらどうしよう。」
「少し値段が高いようだが、
本当に価格に見合った商品なのだろうか?」
「臭いとかは大丈夫だろうか?」
「本当に、簡単に作れるのだろうか?
思ったより複雑で時間がかかったらどうしよう?」
消費者にとって、上記のようなリスクは、
一瞬にしてたくさんよぎるものである。
なかにはどうでも良い「リスク回避」までも
考えたりするものだ。
だが、広告を打つ場合は、これらの「リスク回避」に対して、
広告誌面上で解決ができなければ、
広告でうたっているメッセージとの
矛盾や葛藤の感情を解消できない。
いわゆる次のアクションには、繋がらないのである。
広告、販促に携わる人にとって、
[購買行動における消費者のリスク]は、
押さえておきたい指標である。