MBAエッセンス講座-その2

勉強のイメージ

先日に引き続き、中央大学ビジネススクールMBAエッセンス講座の内容を、
かいつまんでレポートしてみたいと思う。

第2回目の講義は「流通」。

1962年に林周二著書「流通革命論」では、
「スーパーの大型店舗が台頭し、直接取引が増加して卸の地位が低下する」
と言われていた。

しかし、その後必ずしもそうはならなかった。
いわゆる大型化ではなく、チェーン化が流通革命の本質となったのである。

では、「なぜ流通が必要なのか?」
それは、次のとおり。

1.取引数削減
2.メーカーの販売機能代行

インターネットがない時代には、メーカーは消費者との直接取引だけでは、
取引数が莫大で煩雑となり、コスト効率がとても悪くなる。

だから、メーカーと消費者の間に流通という機能が
存在する必要があったのだ。
 

このような流通にとってのメーカーの販売代行機能には、
次の5つがある。

1) 売れ残りのリスク引き受け
2) 在庫による調整
3) 品揃え (幅・深さ、ワンストップショッピング)
4) 品切れ防止
5) 生産者のコスト削減

次に「流通自体の機能とは?」

これは、以下のように情報機能と価値機能がある。

1.流通の情報機能
1) 商品情報の提供
2) 生産者への消費者情報提供
3) 販売価格
4) 顧客管理

2.流通の価値機能
1) 購買の「場」の提供
2) アソートメント
3) アフターサービス
4) 流通ブランドの提供

1) には、心地よさや、好奇心をそそるような
「場」の提供なども含まれるだろう。

2) のアソートメントとは、組み合わせのことだ。
他の商品と組み合わせパッケージングして販売することもこれにあたる。

3) アフターサービスには、修理や保守管理、そして返品対応も含まれる。

4) 流通ブランドの提供とは、プライベートブランド(PB)のことだ。

この他に、メーカーと流通の両方の名称の載せることを
「ダブルチョップブランド(共同開発ブランド)」と言い、
100円ショップなどで出始めてきているようだ。

次に「業種と業態」について。

業種と業態の違いとは、どのようなことだろうか?

「業種」とは、扱う商品による区別のことで、
雑貨屋、花屋、おもちゃ屋、菓子屋などのような区別のことだ。

「業態」とは、売り方による違いであり、
スーパー、コンビニ、ディスカウンターなどと区別することだ。

現代の流通産業は業態開発の歴史であり、
「いかにして新しい業態を開発するか?」が
常なる課題であった。

最近では「青山フラワーマーケット」が
駅中、駅外に店舗展開していることも
新しい業態開発の一例だという。

次に、「メーカーと流通のコンフリクト(衝突)」について。

約200年前の日本では、メーカー、問屋、小売で
最も力を握っていたのは問屋業(卸) だった。

例えば呉服業でいうと、問屋はつくり人という職人に着物を作らせ、
仕上がった商品を一手に集めて委託販売形式で小売業者に卸していた。

この時代は、卸売価格も問屋が決めていたために、
新しく小売業を始めようとしても、
仕入側が思う値では商品を卸してくれないことから
「そうは問屋が卸さない」の言葉が生まれたとのこと。

近年は、小売業へパワーシフトしている。

その理由は、寡占化をはじめ、
小売業に「価格決定権」と「取り扱い決定権」を持っていることと、
何よりも「顧客情報」を持っているからであろう。

いわゆるバイヤーの立場が強くなってきている。

これに対して、メーカー側の対抗戦略としては、
やはりブランド化が挙げられる。

それと、パートナーシップも挙げられるだろう。

P&G と ウォルマートの関係が特筆される。

ウォルマートにとって、あるカテゴリーの商品では、
P&Gが40%以上のシェアを取っているとのこと。

メーカー側がパワーを持っている最近の代表例が、
アップルのiPhoneやiPadだろう。

次に、メーカーにとって、
「流通の選択はどうすべきか?」

以下の5つがあげられる。

1.流通の成長性
2.協力度・理解度・能力
3.ブランド力を高めるために役立つか?
4.プレステージ
5.他の流通への波及効果

1の「流通の成長性」の例では、
生理用品のアンネとユニチャームの差があげられる。

アンネは1960年代に薬局を最初のチャネルとしていた。
これに対して、ユニチャームのチャネルはスーパーだった。

この差により、現在ではご存知のとおり、
アンネは1993年にライオンへ吸収合併され、
ユニチャームは、生理用品でシェア1位となった。

2の「協力度・理解度・能力」の例では、
ハーゲンダッツがあげられる。

ハーゲンダッツはプレミアムアイスクリームだが、
溶けやすいという問題点があった。

この問題をコンビニの協力によって、温度管理を徹底したことによって、
大きく販売を伸ばした。

3の「ブランド力を高めるために役立つか?」とは、
価格や売り方に対する配慮・理解があるかということでもある。

明治乳業「明治おいしい牛乳」がスーパーの理解を取り付けた
成功例としてあげられる。

「牧場でのむ絞りたてのおいしさを追求した牛乳」として開発された
「明治おいしい牛乳」。
流通側にとって、牛乳のようなコモデティ商品は
普通は高価格で扱うことに抵抗がある。

だが、この抵抗を克服し、理解を取り付けたことによって、
大きく販売を伸ばしたことは成功例として取り上げるに値する。

4の「プレステージ」とは、「格」のある店で取り扱われることで、
販売数を伸ばすことだ。

5の「他の流通への波及効果」とは、最初に取引するお店がきっかけとなり、
他のお店にも広がるということ。

古い話しだが、シアーズローバッグが小売大手だった頃。
ブラザーがアメリカで情報機器を販売した時に、
最初に取引したのがシアーズローバックだった。
このことによって、他の小売店への取り扱いも増えていくことができた。

「流通」の講座では、
その他にサプライチェーンマネジメントと、
チェーンストアについての講義があったが、ここでは割愛する。

 続く↓
MBAエッセンス講座-その3
http://www.koukoku-ya.jp/blog/2010/06/mba-2.php#more

 

関連記事

  1. 勉強のイメージ

    レスポンス広告-新教材のご案内

  2. 勉強のイメージ

    販売促進-制度手法

  3. 勉強のイメージ

    均一価格【バンドル】

  4. 勉強のイメージ

    300名を集客した美容室の広告

  5. 勉強のイメージ

    「デザインを言葉で語る」ことへの挑戦

  6. 勉強のイメージ

    イベントを活用した販売促進策〈住宅不動産業編〉

アーカイブ