広告は作品ではない!! - Part2

koukoku

(昨日の続き…。)
約1年前のことである。
広告界にはクリエイティブディレクター(※)という職種がある。
ある大手広告代理店のクリエイティブ局長
(一般の企業で言えば部長にあたる)
の一歩手前までのぼりつめた
クリエイティブディレクターが独立し、
フリーランスとなった。
この方とは、ある縁があって、
独立の挨拶のために弊社にいらした時のことである。


(ここからは、このクリエイティブディレクターの方をAさんとします。)
Aさんのことを私は人間的に好きなので、
ここからの話しは、決してAさんの悪口を言うつもりはない。
「日本の広告界の体質とは、いったいどのようなものなのか?」
の一つの例として挙げてみたい。
Aさん「来月独立するんです。これが私のプロフィールです。」
20ページ近くあっただろうか…。
分厚いA4版のプロフィールをAさんは私に差し出した。
基本的にはとても良くできたプロフィールであると思う。
これを私はパラパラとめくっていくのだが、
後半にAさんの今までの作品? とやらが
10点以上は載っていた。
私 「へぇー。これが○○広告賞の銀賞を授賞したものですね。」
私は指を指しながら、驚いて見せた。
(あくまでもこれはポーズである。別に驚いてはいない。)
それは見たことがある広告であった。
ビジュアルのインパクトは確かにあった。
でも、この広告、
「いったい何の商品なのか?」
「どこの企業の広告なのか?」
という疑問の答えが、私の脳みそからは
残念ながら出てこなかった。
そこで、Aさんに恐る恐る聞いてみた。
私 「この広告見たことありますね。
とてもインパクトがありますし…。
うっかり忘れてしまったのですが、何の広告でしたっけ?」
Aさん「やっぱりわかりませんか?
どうやらこの広告は失敗のようなんです。」
私 「……」 (唖然とする)
このように、広告賞を授賞した本人も認めている。
広告のビジァルインパクトが、
商品や企業に繋がっていないことを…。
このような広告作品(?)とやらが
広告賞を取ってしまうのである。
しかも、大手新聞社が主催する
権利ある広告賞の銀賞である。
広告界はいったいどうなっているのだろうか?
今の日本の広告界もオグルビー氏が言うように
「危険な病気」にかかってしまっているのだろうか?
そもそもが、
「広告作品」という言葉自体が間違っている。
広告は賞を取るための「作品」ではなく、
販売につながる「事例」でなくてはならない。
もっとシンプルに繰り返すと…
広告とは、「作品」ではなく「事例」なのである。
私はこのように思っている。
※ クリエイティブディレクターとは?
テレビCMや新聞、雑誌の広告、各種のイベントなどを通して、商品やサービス、企業イメージなどを消費者にアピールするキャンペーンのしかけ人。
企業などの依頼主の目的や方針に沿って、新商品などのメリットを消費者にどうアピールしたら効果的か企画を練り、それを具体的に検討し、コピーライター、デザイナーなど、必要な専門分野のスタッフを選定して、キャンペーンに必要な広告物の制作に当たる役割の人。
制作過程でも、最初から最後まで指揮を執るキャンペーンの総責任者なのです。

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