MBAエッセンス講座-その5

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中央大学ビジネススクールMBAエッセンス講座
今回の講義テーマは「ブランド」。

なぜブランドが世界的に注目されるようになったのか?」

1990年代はじめから、経営やマーケティングの世界では
ブランドマネジメントの考え方が盛んになった。

その象徴的なこととは、ネスレが80~90年代にキットカット、ブイトーニ、
ペリエなどを買収したとき、有形資産の価値よりも高く
ブランドが売買されたことなどがある。

このようなことから、強力なブランドをつくることが
経営の最重点課題のひとつになってきた。

また、競争力の平準化が起きたこと。
言い替えれば、競争の属性がすぐには分かりにくいものとなった

例えば、車は、スピードやパフォーマンスで
差別化ができていた時代があったが、
最近は、安全性とか環境に優しいとかという差別化もないと
競争優位に立つことが難しくなってきた。

だが、安全性とか環境に優しいということは、
競争の属性が分かりにくくなっている。

また、iPodやiPad のように、競争が国境だけでなく、
市場を超えて激化していることも挙げられる。

 

このようなことからも、1990年代以降は
ブランドが重要な課題となった。

今まで経営資源と言えば、ヒト・モノ・カネ・情報だったが、
これにブランドが加えられた。
ブランドが経営において重要な経営資源=無形資産となったのである。

ブランドを短期間に構築して成功した事例として、
スターバックス、フランク・ミューラー(スイス製腕時計)、
アップルの iPod、iPad が挙げられる。

また、それまで個別ブランドが存在しなかった業界においても
ブランドを先駆的に構築した成功例も増えてきている。

インテルの Pentium がこれにあたる。
今まで中央制御装置、いわゆる半導体がブランドになることはなかった。

それから、便器のカテゴリーもそうだ。
今まで便器は、TOTOやINAXが陶器を素材にしていて、
1つの商品がブランドになるということはなかった。

そこに、パナソニック電工のアラウーノは、
陶器ではない素材を使って商品ブランドとなった。

 

ブランドとはいったい何だろうか?」

1つの理解として、
同じ製品・サービスでもブランドが違えば、異なった価格で売れる

象徴的な例がある。

レオナルド・ダヴィンチの人物画が2009年10月に
カナダの収集家の所有物の中に発見された。

当初の落札価格は、170万円だったようだが、
絵についていた指紋がダビンチのものと酷似しているという。

もしこれが本当にダビンチの絵なら133億円の値がつくという。
この金額は、当初の落札価格の7823倍にもなる。

他にも例はいくらでもあるだろう。

かつてオランダの自動車工場で、ボルボと三菱の車が
同じプラットフォームで作られていたが、
ボルボは三菱の1.6倍の価格で売られていた。

「ティファニー」のダイヤモンドは
ノンブランドのダイヤよりもはるかに
高い価格がつけられている。

腕時計で、デジタル時計のほうが正確でありながら、
アナログの時計で、はるかに高い価格がつけられたブランドは
数多くある。

次に、「消費者知覚とブランド」について。

顧客がそのブランドにより高い価格を支払う価値があると思えば、
同じ機能的価値であっても、高い価値を支払う場合があったり、
ブランドが顧客にとって重要な判断のカギになる場合がある。

では、どう顧客はブランドで判断するのか?

それは、顧客はブランドを【手掛かり】として、
商品やサービスの「属性」の質を推定する。

例えば、
「この薄型テレビはSONY製だから、
画面が『属性A』『属性B』『属性C』を持っている。」

というように、複数の属性を【手掛かり】として
認識することができる。

また、現代ではブランドを使わないと判断ができない場合として
以下のようなことが増えている。

・顧客が専門知識をもたず、判断できないような属性であった場合
 例:医学、機械、IT

・もともとその属性が客観的に判断できないようなものであった場合
 例:美術品・骨董品

・属性の質を確認するために、手間やエネルギーがかかる場合
 アフターサービス、メンテナンス

次に「ブランド戦略とは何だろうか?

【商品起点】で経営やマーケティングを考える場合は、商品の属性がまずあり、
それをどう生活者に伝えていくのかということだが、
ブランド戦略とは、【顧客の知覚を起点】として、
ブランドがどうあるべきかを考え、それに基づいて、
ブランドのもつ属性を設計していくこと。

いわゆるブランド戦略は、顧客を起点として、
彼らが期待するブランドを設計してから属性を決めていくのである。

例えば、無印良品の1980年当初のブランドコンセプトは
【ムダを排除する】だった。

徹底して無駄を省き合理化することで、
むしろモノ本来の魅力を輝かせることであり、
いわゆる「訳あって安い」というメッセージを
消費者に伝えていた。

現在は、「自然と」「無名で」「シンプルに」「地球大」
という属性によって無印良品のあるべき
ブランドを確立してきている。

このことが、いわゆる顧客を起点として、
彼らが期待するブランドを設計してから
属性を決めていくということである。

次に、ブランド構築へのステップ。

次のように3つのステップがある。

Step1. Design ブランドの【構想】
    ~どんなブランドにしたいか

Step2. Action ブランド構想実現への【アクション】
    ~ブランドにふさわしいシステムつくり

Step3. Communication ブランド【コミュニケーション】
    ~ブランド価値を伝える

それぞれ、補足すると以下のとおり。

Step1. Design ブランドの【構想】
(1) どんなブランドでありたいか? あるべきか?
 ・自分が達成したいあるべき姿
(2) 顧客・市場・競合を知る
 ・どのような市場環境にあるのか?
 ・どのような顧客や競合がいるのか?
(3) 自分に何ができるか(能力・資源)
 ・可能な使える資源は?
 ・ひと・もの・かね・情報・ブランド
(4) 具体的な目標やビジョンを設定する
 ・何を実現したいのか?

Step2. Action ランド構想実現への【アクション】
(1) 構想にふさわしい【組織】をつくる
 ・どのような体制がよいのか?
(2) 構想にふさわしい【プロセス】をつくる
 ・どのようなオペレーションを行うか?
 ・どのような情報処理が必要か?
(3) 構想にふさわしい【システム】をつくる
 ・どのような情報システムをつくるか?
 ・どのようなマネジメントを行うか?

Step3. Communication ブランド【コミュニケーション】
(1) ブランドの価値をどう伝えて対話するか
(2) 顧客とのコンタクトポイントのマネジメント
(3) 顧客とのコミュニケーション
 ・メッセージ
 ・メディア
(4) 情報発信マネジメント
 ・広告
 ・ウェブサイト

以上、5回にわたって、
中央大学ビジネススクールMBAエッセンス講座を
レポートしてきた。

次は7月中旬から講座が始まる。
テーマは、「ブランド・マネジメント-事例で学ぶブランド戦略」。

できれば、またレポートしたいと思う。

 

 

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