句集『海へ帰る』

本

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(財)ブランド・マネージャー認定協会の評議員でもあり、
長年にわたり、クリエイティブディレクターとして
外資系の広告代理店に勤務後、クリエイティブハウス R-3を設立された、
小池玲子氏に、インタビュー中に、オススメいただいた書籍をご紹介します。

句集『海へ帰る』
著 者:相生葉留美
出版社:ふらんす堂
http://amzn.to/j9rcNu

以下、メールマガジン【ブランド脳のススメ】第25号
(一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会発行)
より、転用します。

 

今回、紹介する本は、
詩人であり俳人であった相生葉留美さんの遺句集です。

ビジネスに直接役立つ本とはいえませんが、
現代人は役に立つ本を読まなければならないという
意識が強すぎるのではないかと思います。
ビジネスに役に立たない本が逆に
感性の幅を広げるのにとても役に立つことがあります。

どんな本を読む加賀大切でなく、
その本から何を吸収するかが大事なことだとおもいます。

貴女がもし作者の感性を感じ取れなかったら、
あるいは感性が合わなければ、途中で放り出してもいいのです。

この本は、作者が俳句を始めた平成7年から
平成21年に亡くなるまでの作品が収録されており、
読んだ私にとっては、人間の優しさ、悲しさ、弱さ、強さ、
そして言葉の持つ力のすごさをあらためて感じさせてくれました。

なぜ、私たち日本人は和歌や俳句の凝縮された世界に
魅力を感じるのでしょうか。

和歌や俳句はもともとは中国から伝わった漢詩を
日本流にアレンジしたものです。
美しく変化する四季があり、湿気が多い気候の中で、
自然の脅威にさらされた風土は、
日本人に無常観や季節観、
そして互いに助け合う共同体の意識を育みました。

奪い取ってくる狩猟民族ではなく、
長い時間をかけて作物を育てる農耕民族をルーツとする日本人は、
優しく謙虚で我慢強く、穏やかで献身的なDNAを誰もが持っています。
相手を思いやる豊かな想像力を持っています。だからこそ、
和歌や俳句のシンプルな言葉から「絵」が見えてくるのです。

私自身、この句集を読むことによって凝縮された
私本来の感性に還ることができます。

それは私に「決める力」を与えてくれ、後押ししてくれます。
「あなたは何が好きなの?」と問い掛けてくれるのです。

自分は朝が好きか、夜が好きか、何色が好きか、
どの季節が好きか・・・。
自分を知った上で自分の内部を探しにいく。

まず自分を知ることはとても大切なことです。

 相生葉留美さんの作品は、
 生活の一瞬を身近な言葉で切ることによって、
 なんでもない日常に新鮮な驚きをもたらしたり、
 言葉に出しにくい個々の悲しみをしみじみと歌ったりと、
 一句、一句、胸を打つ物が多く、
 一句好きなのをと言われても出せないくらいどの句も好きです。
 その日の気持で好きな句もかわるのかも。

鳥帰るほんとに帰ってしまいけり
白木蓮いっせいに帆を上げにけり

 

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