「MOT (Management of Technology)」用語を
聞いたことがあるだろうか?
新技術を取り入れながら事業を行う企業・組織が、
持続的に発展するために、技術を含めて総合的に経営管理を行い、
経済的価値を創出していくための戦略を立案・決定・実行することで、
技術マネジメントとも呼ばれている。
シンプルに言うと「着想~開発」と「商業化」の間を
いかに上手くマネージメントするかということだ。
この間を上手くマネージメントするのはとても難しく
「死の谷」とも呼ばれている。
本書では、ゼロックスのパロアルト研究所(PARC)で
起こった悲劇を教訓にした組織と人間のあり方を問う
ビジネス・ストーリーが記されてある。
ゼロックスは複写機で膨大な資金を手にし、
1970年代に、その資金によってパロアルト研究所を設立し、
多くの優秀な技術者や科学者を集めた。
一説では、IBMに対抗するためとも言われている。
そこで、GUI(アイコン、マウス、ウィンドウ)、ワープロ、イーサネット、
LAN、レーザプリンタ、コンピューターウィリスといった情報通信技術の
ほとんどともいうべき研究開発と発明をしていた。
1970年代後半には、スティーブ・ジョブズが見学に訪れていたほどだ。
たがこれらの発明を事業として成功させることができなかった。
いわゆる「技術をマネジメントする」ことができなかったのである。
本書は、当協会の顧問であり、中央大学大学院 戦略経営研究科教授の
田中 洋氏のMBA講座でも取り上げられているが、
次々と生み出される世界的なイノベーションを、
モノにできなかったゼロックスの内部事情を赤裸々に綴ってあり、
「MOT (Management of Technology)」の重要性を実感できるだろう。
何がイノベーションの芽を育て、何が摘んでしまうのかを
私たちに考えさせてくれる1冊だ。
「取り逃がした未来 ― 世界初のパソコン発明をふいにしたゼロックスの物語」
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