以前にもこのブログで紹介した「ある女性広告人の告白」。
ブランド・マネージャー認定協会の理事であり、
あのデビアス社の「スイートテンダイヤモンド」の
プロモーションを手がけた小池玲子氏の著書だが、
ここのところ、
ブランド・マネジメント関連の記事を書くこともあり、
やっぱり示唆深い著書だなぁ~と改めて思ったので、
コメントしたい。
著者が長年手がけてきたダイヤモンドのプロモーション。
このダイヤモンドが提供する価値とは、
極めて情緒的価値が高く、機能的価値が低くはないだろうか?
関係者に怒られてしまうかもしれないが、
ダイヤモンドはまぎれもなく「石」であり、
「光る石ころ」にすぎない。
この「光る石ころ」を、
今から30年~40年前、
日本市場に対して「ダイヤモンドは永遠の輝き」というスローガンで、
ダイヤモンドのポジショニングを「愛=ダイヤモンド」とし、
「ダイヤモンドは愛の証し」というメッセージを繰り返し消費者に伝えた。
その一つが、「婚約指輪は給料の3ヵ月分」の一般常識化だ。
これは、郷ひろみが二谷友里恵と結婚した時、
エンゲージリングの値段を記者に聞かれて、
「給料の3ヵ月分です。」と照れながら答えたことから、
オープンになったわけだが、
もともと、デビアスが仕掛けてきたメッセージ戦略の一つである。
このようにデビアスは、
情緒的価値以外の何ものでもない
「愛」を象徴としてブランドを確立していくために、
あらゆる仕掛けをしてきたわけだが、
「光る石ころ」にこれほどまで
情緒的価値を付加していくプロセスに、
驚異まで感じる。
示唆深い1冊である。