第10回ブランド・セッション報告 Part1

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昨日は(財)ブランド・マネージャー認定協会主催

第10回ブランド・セッションを開講しました。
約30名の方にご参加いただきました。
 
前半は中央大学大学院 戦略経営研究科 田中教授の講義で、
コンセプトブランディングの話しでした。
 
コンセプトブランディングとは、田中先生の造語であり、定義は
「商品固有の商標やシンボル以外の概念を、
自社ブランドのマーケティング活動に寄与するために用いる活動」
とのことです。
 
通常の「ブランディング」では「商標」や「ブランド名」、
「ロゴ」などその企業独自の表象が用いられるのが普通です。
これに対して「コンセプトブランディング」では「一般名詞」を使います。
 
例えば、ハイボールです。
サントリーのハイボールのCMは大成功しましたが、
「ハイボール」そのものは一般名詞で、登録商標ではありません。
競合のウィスキーメーカーも日本酒メーカーも「ハイボール」を用いた
キャンペーンを行っていますが、
サントリーが一番利益を得ています。
このように、一般名詞をブランドのように使って
マーケティングする方法がこのコンセプトブランディングです。
 

 また、「新しい呼称」を使う場合もあります。

医薬品の分野、特に直接ブランド名を広告で訴求できない
処方箋薬で使われることが多いのです。
例えばファイザーが1998年に出したバイアグラ。
男性の性機能の不全を意味する「ED」という言葉を普及させ、
治療可能な病気であることを広め、
医師の診察を促す宣伝をしました。
 
田中先生がこのような考えに至ったのは、
ある歴史ドキュメンタリー番組を見たことがきっかけでした。
 
あるイギリスの歴史学者の話だったのですが、
古代ローマ帝国時代、キリスト教徒は火あぶりの刑に処せられるなど、
徹底的に弾圧されていました。
彼らはこのキリスト教の教えに殉じる行為を「殉教」と呼び、
布教活動に用いました。
その結果、信者を弾圧すればするほど
キリスト教徒のアイデンティティが強まり、
同時にキリスト教の団結を強めることになりました。
最終的にキリスト教はローマ帝国の国教になりました。
それを実現させた「殉教」という考えを、
歴史学者は「ブランド化」だと言ったのです。
これが「ネーミング」や「ロゴ」、「商標」だけが
ブランドになるのではなく、
一般的な名詞もコンセプトになるという発想のヒントになりました。
 
ちなみに、昨今よく耳にする「ハイブリッド」という言葉も、
「ハイブリッドと言えばトヨタ」のようにブランド化しています。
 
ブランドづくりには様々な方法がありますが、
「普通の言葉をブランド化する」というのは、
これからブランドを考えるときにヒントになると思いました。
 
参照文献:
「コンセプトブランディング」毎日新聞SPACE
 
 
次回(第11回)のブランドセッションは、
以下よりご覧くださいませ。
 

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