ある女性広告人の告白 -その4

本

前回に引き続き、デビアスのダイヤモンドジュエリーの
30数年前当時のキャンペーンアイディアを見ていきたいと思う。
当時、デビアスは婚約指輪を愛のシンボルとして
ダイヤモンドをしっかりと定着させていったのだが、
その他にも人生の節目としてのキャンペーンを
いろいろと展開していった。
だが、どれもが成功したわけではない。
むしろ失敗の方が多かったようだ。
例えば…


◆結納返しにダイヤモンドキャンペーン
男性向けのダイヤモンドの宝飾品をいろいろと開発し、広告展開していったが、
当時は、やはり普通の男性にとってダイヤモンドを
つけることは大変勇気があることであり、需要を喚起できなかった。
◆成人式のダイヤモンドキャンペーン
成人式に親から娘へ本物のジュエリーをテーマに展開した。
この場合の競合は和服で、和服の方に軍配が上がったようだ。
◆エタニティリングキャンペーン
最初の子供が生まれた時に、夫から妻へありがとうの意味を込め贈るという
コンセプトだったが、ブームを起こすまでにはいたらなかった。
◆スイートテンキャンペーン
10年目の結婚記念日を祝って、
夫から妻への感謝のしるしというコンセプトで立ち上がった。
ネーミングは結婚10周年などという硬いものではなく、
より二人の愛をイメージしやすいもの、覚えやすいものとして
「スイートテン・ダイヤモンド」となった。
このキャンペーンは、ターゲットの心をとらえ、
結婚10年に限らず「スイートテンが欲しい」と
ねだる多くの妻たちが増えたようだ。
◆25thアニバーサリーキャンペーン
最も高い1カラットのダイヤモンドを売るためのキャンペーン。
夫が妻へのお礼を込めて贈るものは、
二人の思い出作りの旅行などが優位に立ち、
ダイヤモンドの価格が高かったこともあり、
一般的にはあまり受け入れられなかった。
デビアスは、このようなキャンペーンはもとより、
様々な角度から日本人にアプローチしたことにより、
1988年には、日本は世界第一位のダイヤモンド消費国になった。
これらのキャンペーンのメッセージ、表現を開発していった
「ある女性広告人の告白」の著者 小池氏。
彼女の深い知恵をもっと学んでみたい。

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