ある女性広告人の告白 -その3

本

「ある女性広告人の告白」の中に出てくる
デビアス社のダイヤモンドのキャンペーンについて
触れてみたい。
著者小池氏がクリエイティブディレクターとして
関わっていた30数年前のデビアス社は、
日本では全く知られていなかった。
現在はこのデビアスという名前はダイヤモンドジュエリーの
ブランドとして他の企業に譲渡されている。
ダイヤモンド産業とデビアス社の関係はとても興味深い。
http://www.nihongo.com/diamond/kihon/diamdebe.htm


そもそもこのダイヤモンドジュエリー、
もっとも価値を言語化しずらい商品ではないだろうか?
情緒価値については、いろいろと定義できるかもしれないが、
機能価値にいたっては、
「光る」ということしか私に浮かばない…(苦笑)。
1970年代の初め、婚約指輪を贈る人は結婚する人の50%。
ダイヤモンドの婚約指輪を贈る人は、その内のわずか7%。
誕生石でという流れが当時の流れだった。
デビアスはまず、
企業のスローガンである「A diamond is forever」というスローガンを
「ダイヤモンドは永遠の輝き」という日本語のスローガンに訳した。
また、ダイヤモンドのポジショニングを、
愛=ダイヤモンドとし、
「ダイヤモンドは愛の証し」という
婚約キャンペーンのスローガンを設定した。
有名な「婚約指輪は給料の3ヵ月分」。
これは、デビアスが仕組んだガイドラインだった。
もちろん、これには、
「給料3ヵ月分で女性が買われるイメージを与える」という
意見もあったので、慎重に仕組んでいったようだ。
この3ヵ月というガイドラインは、
当初はさりげなく、そしてだんだんと明確に広告の中で伝えていった。
結果的には、一般的に定着したのは
いったい何だったのかと言うと…
郷ひろみが二谷友里恵と結婚した時、
エンゲージメントリングの値段を記者に聞かれて
「給料の3ヵ月分です」と照れながら答えたことだったようだ。
ちなみにデビアスは、このガイドラインを日本だけでなく、
世界的に利用したようだ。
3ヵ月分というのは、日本のみで
フランスは2ヵ月、南米では1ヵ月だった。
一昔前のことではあるが、
こんなことまで仕組まれているとは、
興味深いことでもあるが、驚異でもある。

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