「返報性の原理」とは、人間心理を利用した交渉テクニックの1つ。
一般に人は、何か自分のためにしてもらった時、モノをもらった時、
お礼を言ったり、贈り物をしたりと、お礼の気持ちを示す行動に出る。
お礼される側も、言葉のお礼だけでも気持ちよくなり、
双方の助け合いが継続する。
一方、お礼がないと、その行為が正しかったのか分からなくなり、
その後何かしてあげようという気持ちが沸かなくなる。
つまりお礼とは、人が支え合っていくためには
欠かせないものなのである。
そのため、人は相手から何かしてもらうと、
お礼の行動をしなければならないと考えてしまう。
この心理を販売促進に応用した例の1つが「試食」だ。
試食とは、店頭において無料で食品を提供し、
その味をお客が確かめ、購買に値すると判断した場合に、
購入してもらう販売促進手法。
お客は、店員から直接試食品を手渡されることにより、
その味に関わらず商品を購入しなければいけないという
気持ちになることが少なくない。
これは、お客が無料で試食をさせてくれた店員に対して
お礼に購入するという心理が働いている。
「返報性の原理」を上手に利用した例と言えよう。
但し、このような人間心理の原則は、決して悪用することなく、
良心に則って活用して欲しい。