仮説創造力による顧客提供価値の設計 その3

1月はクライアント先様で企業研修やコンサルティング、厚生労働省所管のJEEDでの自立自走の営業パーソン向けのセミナー講師、特許庁所管のINPITでの地方出張で6社様のブランドコンサルティング支援が重なり、あっという間に過ぎてしまいました。
私は基本人前でお話しすることが好きな方なので、コンサルティングは性に合っていると自分では思っておりますが、しかし、単なるお話し好きでは務まらないのも事実です。特にINPITでのご支援では、初めてお会いする企業様が大半で、各企業の社長様が抱えている悩みを紐解きながら、どの方向に進むべきか導かなくてはなりません。それも限られた時間内で、今後具体的にその様なことをすれば良いのか時間軸をもって計画性のある取組を推奨し、ご希望である企業に合ったブランディングをご説明させて頂いております。

ここで、今回のコラムからちょっとだけ横道にそらさせて頂き、INPITの案件も含めブランドに関してご相談される皆さまの多くに共通する点をご説明し、それを修正して頂くことをご説明します。経営にお悩みを抱える企業様がその打開策としてブランディングを経営の目的にしてしまう方が多く見られます。 つまり、ブランディングをすればすべてが解決できる(特に売上拡大)と思い、急いで取組みたがるのですが、実際ブランディングは「目的」でなく「手段」に過ぎないことをいつもコンサルの現場ではご説明しております。売上が減少している要因はそんな単純ではなく、経営的側面からしっかりと分析し、現状を把握した上で何が問題なのかを検証することが一般論です。したがいまして、その問題を解決する手段として、仮に商品の差別化が必要と判断できれば、先ずはマーケティング施策をどの様に組立てて行くかを検証し、そしてさらに独自性を際立てて行く際に自社の商品・サービスのブランド化が有効ではないか?と、考えるのが一つ筋の通った(論理の繋がった)説明かと思います。是非、ブランドを経営の万能薬で神格化されたものとして捉えず、目的を果たす手段の一つとして改めてご理解頂ければと思います。

さて、今回のコラムですが、前回に続き、仮説創造力による顧客提供価値について書き進めて行きたいと思います。前回、商品そのものの品質や性能にこだわり、強調したい企業様が非常に多いが、先ずはターゲットの「不」を知ることから始め、そしてその「不」をどの様に解消すべきか考えることが重要ですとお伝えしました。その際、まずその情報を整理することから始めましょう。その後、顧客・消費者の“だったらいいなぁ~=ニーズ”を俯瞰し、出てきた答えをどう解釈するべきかがポイントとなります。

時間軸で整理してみる

色々と出てきた顧客の“だったらいいなぁ~”を、時間軸で整理してみましょう。顧客・消費者のニーズは、いつ、どんな時、どの様な形で満足に変えてもらいたいのか多様であり複雑で、個性的です。それを時間軸で先ずは整理してみましょう。分かりやすいやり方として、4つの段階に分けられるかと思います。①顧客・消費者がその商品やサービスを購入しようかどうか迷っている段階②自社の商品・サービスを購入すると決め、購入する段階③購入後、顧客が実際にその商品を使用し、新たな不満が発生する段階④ある程度使用したあと、再度新たに購入を考えている時と、分けてみましょう。そうすると、どんな時にどんなニーズがあるのかが整理ができます。

空間軸で整理してみる

時間軸の整理ができたら、今度は空間軸で整理を行ってみましょう。つまり、「いつ、どんな時どの様に」は時間軸で、「どこで、どの様に」を考えるのが空間軸です。例えば、購入する前の検討時に、週末の家族で食事に行く際にどのお店に行こうか考えて、実際に検索をしている環境(場所)がどこかを考えることです。自宅で奥さんとネットを見て考えているのか、お昼休みに会社の同僚と近くの定食屋なのか、帰宅途中の電車の中で考えているのかなど。その検索している環境がどの様なものなのかによっても企業は対処すべき方法が変わってくることが想定できます。

今回、先ずは情報の整理方法として時間軸と空間軸で整理することをお伝えしました。これが慣れると、最初の段階から時間軸と空間軸を意識して考える事ができるようになりますが、チームで取組む際は先ずはこの基礎的なやり方から進めてみてください。私がコンサルで取組む場合は、ポストイットを使いながら不の「発見」をやり、その後その不に対する「解消」を、順を追って行います。とにかく顧客視点に立って不を炙り出す事が重要です。そしてそこから見えるのが、顧客・消費者が思う「本質的な欲求」です。
次回、例を使いながら顧客・消費者の本質的欲求について書いて行こうと思います。

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