ブランド名と商標の関係

今から3ヶ月ほど前の9月27日、山口県で「知財のミカタ ~巡回特許庁in 山口~」が開催されました(※)。商標や意匠などの知的財産について、たくさんの方々にもっと身近に感じて活用してもらうために、特許庁が各地で開催しているイベントです。私は商標の専門家ではありませんが、ロゴ制作やネーミングと商標がどのように絡んでくるか、ブランディングの実務家の観点からお話しさせてもらいました。今回はそこでお話しした内容から、ブランド名と商標の関係ついて書きたいと思います。

商標の役割

ブランドと商標は切っても切れない関係があるとしばしば言われますが、具体的にはどういう関係があるのでしょうか。少しかみ砕いてみましょう。商標には以下の2つの役割があります。
1. 自社を守るため
2. 他社の権利を侵害しないため
1は比較的想像しやすいと思います。自社が苦労して作ったブランド名が他社に真似されてしまっては元も子もありません。しかし、ブランド名を商標として登録しておけば、他社が使ったとしても差し止めを求めることができます。

「他社の権利を侵害しない」とは?

次に2についてご説明します。自社が独自に作ったブランド名を仮にXXとしましょう。XXがたまたま他社のブランド名と同じ、あるいは似ていた、という場合があります。決して意図的に似せようとしたのではなく結果的に似てしまって、しかも当事者はそのことに気付いていない、という場合すらあります。そうなると、XXブランドは大きなリスクを抱え込むことになります。
自社がそのブランド名を使ってロゴを作り、商品やカタログ、店舗や看板にもそのブランド名やロゴを使い、実際に事業を行ってようやく軌道に乗ってきたとします。するとその矢先、全く知らない会社から「貴社のXXブランドは弊社の商標権を侵害しています。当該ブランドの使用を中止してください。」などと文書が送られてきたりします。その会社はXXを商標登録しており、自社はそのことを知らなかったのです。すなわち、意図せずして他社の権利を侵害してしまった、というわけです。

こうなると最悪の場合、ブランド名を変更し、ロゴ、看板、包装などを作り直すことになってしまいます。その場合の経済的損失がいかに大きいかは言うまでもないでしょう。このような事態を防ぐためにも商標の調査が必要です。

XXブランドの場合、実際に製造・販売を始める前に、ネーミングの段階で商標の調査を適切にしておくべきでした。次回のコラムでは、ネーミングの基本的なプロセスをたどりながら、商標の調査を行うタイミングを見ていきます。

※特許庁ウェブサイト

山口で「知財のミカタ ~巡回特許庁in 山口~」オープニングイベントを開催しました!
https://www.jpo.go.jp/shoukai/soshiki/photo_gallery2018100501.html

能藤 久幸

■ブランドコンサルタント/ブランディング・ディレクター

・京都大学理学部卒、同大学院修了【修士(理学)】

・桑沢デザイン研究所 デザイン専攻科ビジュアルデザインコース卒

・一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 ブランド・マネージャー1級

・一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 認定トレーナー

秋田県出身。京都大学では物理学を学び、その後大手メーカーのシステムエンジニアを経てクリエイティブ業界に転身。論理的思考とクリエイティビティの両方を活かしたコンサルティングを得意とする。コンセプト開発、デザインのディレクションも行う。システムエンジニア時代に身に着けたプロジェクト管理のノウハウは、広告業界においてもディレクションに生かされている。ブランドコンサルティングにおいては、どんな分野の情報でも役に立つとの考えから、文学や歴史、文化人類学、社会学、美術やデザインなど、あらゆる知見を取り入れ、左脳と右脳をバランスよく使うことを心がけている。ライフスタイルに東洋医学や自然療法などを取り入れている。

最近の活動:特許庁のイベント「巡回特許庁 in 山口」にてブランディングと商標について講演(2018.09.27)https://www.jpo.go.jp/shoukai/soshiki/photo_gallery2018100501.html

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