その3 背伸びは不要!自社らしいエクスターナルブランディングを設計
with/afterコロナでは、これまでのマーケティング戦略や戦術では通用しない
既にお気づきの企業は多いかと思われますが、コロナの影響により消費者の生活環境や企業の仕事環境に大きな変化が生じています。これまで当たり前の生活ができなくなったことや、なに不便なく仕事ができたオフィス環境が一変し、顧客や消費者の不満が増す一方、その不便や不安、不快などを解消する新しいサービスを迅速に提供し始めている企業が後を絶ちません。つまり、それまで同市場に存在していなかった新たな企業が、競合と化して業界の参入障壁をやすやすと越え、更にはこれまでの常識(消費価値概念)を変える勢いで市場シェアを奪い始めています。その業界にとっては、ただでさえ売上が落ちている中、予期せぬ新たなる競合の参入で、脅威にさらされています。そこで重要となるのは、ブランドによる差別化や差異化となります。中核事業において何を提供するかは定まったものの、それを誰に提供するのか、またその価値をどの様に伝えていくべきかSTPマーケティングやマーケティングミックスの再設計が必要となります。さらには、差異化された自社の価値が正確に伝わるかというと、企業が発信するメッセージがブランドとして統一されていないと、結局、顧客や消費者の記憶として心象づけません。
背伸びせず、無理のないエクスターナルブランディング(社外への発信)の設計
マーケティングの手法は日進月歩で、毎日のように新しい手法が生まれてきます。したがって、何をもって新しいと伝えて良いか私でも言葉に詰まります。お金を掛け、マスメディアに広告を打つことで売り上げが確約される時代は既に終焉を迎え、ニーズの多様化に適合するためのセグメントマーケティングが当たり前の時代となり、細分化された顧客をさらに絞り込むワンツーワンマーケティングもデジタルで日々高度化しています。マーケティング・オートメーションやインサイドセールスなど、デジタルシフトを早いうちにできた企業は、省人化や効率化かなり進んでいることかと思われます。しかしながら、そのようなデジタルシフトが進んでいる企業は、まだまだ多くはないかと思います。また、必ずしもデジタルが全てとは言い難い面もあります。非接触、非対面型によるサービス提供が当たり前になると、人的コミュニケーションの希薄化が進むことで、人間味のある接触対面型サービスがあえて付加価値のあるサービスと化す場合もあります。スマートフォンを例に挙げれば、革新性を持って最新の機能を良しとする顧客もいれば、あえて余分な機能を取り除き、最小限で重要な機能だけを残す機種が年配者のニーズに強くマッチしているそうです。したがって、無理に投資を重ね、背伸びをするのではなく、自社のブランドらしい対応を設計することが肝心となります。そして、ブランディングでとても重要なポイントは、ブランドを良いか悪いかと評価するのは、企業でなく顧客や消費者であることを忘れないことです。その一番大事な視点を忘れることなく、ブランドを形成し、しっかりと評価されるよう伝えるべき価値を発信してください。
コロナ禍におけるブランド経営
重複しますが、ブランディングの目的は経営の好循環化による「企業価値の向上」にあります。コロナ禍の環境下では、自社の中核事業を見定め、限りある経営資源を組み立て直し、コロナに負けない新たなる経営戦略を設計することが迫られております。更に、その経営戦略を市場に適合させるためのマーケティング戦略が重要となります。世界的コロナ不況下で、顧客や消費者の購買意欲が非常に低い中での新規顧客の獲得においては、無理に単価の高い商品やサービスを提供するのではなく、むしろ客数を増やすことに戦略の舵をきることが重要となります。発信するべき情報を今まで以上に増やし、自社を知ってもらう機会を増やすことでトライアル客を獲得する機会につながります。いずれ景気が回復した時には、ここで蒔いた種が芽を出し、本来ブランドとして囲みたいファン層をそのトライアル客から昇華させることが期待できるかと思います。
是非ともコロナに負けないブランド経営を実践して頂き、結果、beforeコロナよりafterコロナのほうが成長したねと思える日が来ることを強く願っております。