ブランディングとSDGsとはどんな関係にあるか

最近何かと話題のSDGsですが、皆さんはご存知でしょうか。「SDGsとは何か」の説明は、Web上にも氾濫しているので、ここではタイトルの通り「ブランディングとSDGsとはどんな関係にあるか」という話をしようと思います。

まず簡単に、「SDGsとは?」概観

SDGsとは“持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)”の略で、以下の引用の通り国際的な取り組みであるため、行政では外務省が主となって推進しています。

「持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます」(外務省ホームページ SDGsとは?

また、財界では経団連がSDGs特設サイト を昨年開設しています。

本題、「ブランディングとSDGs」

ブランド戦略は、経営戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略を統合して企画するものであり、企業等の全組織的な取り組みです。ブランディングの目的は、究極的には売上の拡大やそれによる永続経営ですが、近年では社会的な意義が重要視されるようになってきています。

その原因は、営利を偏重しさまざまなひずみを累積させてきた現代社会に対して、消費者・顧客が違和感を抱くようになり、そのようなイメージの企業は好業績を上げることが難しくなってきたことが挙げられます。また企業経営者のなかにも、営利のみを追求する経営に虚しさを感じる人々は少なくないのではないでしょうか。そこでSDGsやESGなどを企業経営に採り入れ、社会性と経済性を両立するやり方が注目を集めています。

企業や商品・サービスの好ましいイメージを形成するため、かつては大々的なTVCMなどの広告が用いられ、デザインやコピーライティングに工夫が凝らされてきました。しかし、企業の実態と乖離したイメージを形成しようとしても消費者・顧客に見破られ、かえって逆効果になることも最近では良く知られています。それゆえ、効果的なコミュニケーションを行うために、経営戦略レベルの変革を必要とする場合があり得ます。

ここで一つ簡単に例を挙げましょう。(一財)ブランド・マネージャー認定協会のマスタートレーナーである吉田ともこ氏がブランディングを行った事例に、株式会社re-fa(リーファ)様があります。re-fa様は、椅子、ソファの製作や張り替えを中心に、インテリア装飾、 メンテナンス事業を行っています。自社の取り組みをSDGsの17の目標に関連付け、自社の事業の推進、あるいは経営目標の達成が、そのままSDGsの達成に貢献できるようになっています。たとえば以下の通りです。

■自社の事業:
椅子・ソファの製作、張り替え

■対応するSDGsの項目:
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任、つかう責任
17. パートナーシップで目標を達成しよう

re-fa様は、外務省のホームページでもその取り組みが紹介されています。

経営戦略にSDGsを落とし込んだのち、それに基づいてマーケティングやコミュニケーションの戦略を作って行けば、SDGsがマーケティングやコミュニケーションにも反映されることになります。昨今実際に、まだまだ数は少ないようですが、経営戦略にSDGsを採り入れて、デザインも含めたブランディングを行った事例が見られるようになりました。今後さらに同様の事例が増えていくのではないかと予想しています。

また、SDGsとブランディングは、中長期的な取り組みであるという点も共通しています。ブランディングは単なる広告媒体によるイメージ形成ではなく、企業の実態とイメージを一致させる継続的な取り組みです。

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