セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

Case Study

ブランドコンテンツとコラボレーション  ―「美少女戦士セーラームーン」を事例として 【前編】

投稿日:2021年7月13日 更新日:

 

2Dコンテンツが3D商材になった際に最も魅力的に感じるのは、自分がそのコンテンツの世界を見るだけでなく、実際に入りこめることでしょう。コンテンツの中で主人公が着ている服や食べているものが現実に製作されて、それらについて自分が五感で体験できるということに、価値を感じるということです。

このように、セーラームーン関連のコラボレーション商品は複数存在しています。コラボレーション企画を実施する場合には、どのように展開を進めていけばいいのかを検討してみたいと思います。

セーラームーンのターゲット顧客となるコア層は、主に5~12歳程度の若年齢層がメインとなります。

この世代に関しては、幼少向け玩具やお菓子などの身近な商品を親などが買い与えるというパターンが多いことが想定されます。そのため、基本的に受動的な顧客であり、商品購入の意思決定については、実際に商品を欲しいと思う顧客ではなく、金銭的対応が可能な立場の人に委ねることになります。

そのため、販売促進に関しては、顧客への直接的なマーケティング施策だけでは不十分であり、保護者などの間接顧客である意思決定者にも支持されることが肝要となります。

この状況を整理してみるために、アンゾフのマトリクスを作成してみたいと思います。

 

起点となるのは、連載されている漫画であり、それが掲載されている雑誌がプラットフォームです。
これを派生させて、アニメーションや映画が製作され、更にこれらに関連した玩具やDVDが発売されます。

その結果、コア層となる若年齢層向けの文房具やお菓子などのキャラクター商品が複数発売され、一定規模の市場が形成されていくというのが基本的な市場戦略です。

そして、この形成市場は、原作やアニメーションの終了と共に、人気が急速に失われていき、そのまま消滅していくことになります。

ここまでが一般的なコンテンツの拡大と縮小に至る流れとなるでしょう。
更に、この状況を商材提供側の立場について、3C分析を用いて整理してみます。

また、これらの顧客層についてLTVで確認すると、下記のようになります。

上述のLTVのように、基本的にメインターゲットが欲しがる商材を開発して販売することが、商材提供側の主眼となります。そのため、ターゲット顧客層以外への市場の広がり余力が小さく、限られたパイの獲得競争になってしまいます。

更に、一旦獲得した顧客も、年齢が上がるにつれて興味や関心の対象が変化していくため、既存コンテンツとの距離を置き始めます。結果として、市場は縮小していかざるを得ません。

このような事態を避けるためには、どのような方法を用いれば良いのでしょうか。

後編にて、その点を検討していきたいと思います。

 

 

 

 


■武川 憲(たけかわ けん)執筆

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 エキスパート認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。
現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。

https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

 < 前のページへ 

関連記事

リッツ・カールトン

ザ・リッツ・カールトンに学ぶ「ブランド体験」とは

(出典:https://www.ritz-carlton.co.jp/) CS(顧客満足)評価が高いホテルとして知られているザ・リッツ・カールトン(以後リッツ・カールトン)。実際に、CSに関する調査で …

ローカル線は廃線の道を辿るしかないのか?銚子鉄道から学ぶ、弱者の生き残りマーケティング戦略

地域経済の足となってきたローカル線ですが、一時的なローカル線ブームも落ち着き、人口減少に伴う利用者不足の影響により、廃線となる路線が再び増えてきています。 石勝線夕張支線が126年と5か月の歴史に幕… …

売上7倍

売上を7倍にした「フルグラ」から学ぶ!マーケティングの目標設定とは?

マーケティングやブランディングが成功しているかどうかを測るためには指標が必要です。今回は、ブランド構築の最後のステップである「マーケティングの目標設定」について事例を交えながら解説します。 マーケティ …

明治 ザ・チョコレートのWebサイト

「明治 ザ・チョコレート」の4P分析〜実は激安戦略?〜

(出典:http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/) 2016年9月に発売してから1年間で約3000万枚を販売し、一大ヒット商品となっ …

ブランド野菜の地域ブランディング~嬬恋村のブランドキャベツ~

キャベツで有名な嬬恋村で、今年も話題のレースが開催されます。 今年も“キャベツ感”がスゴい!毎年話題の参加賞、遂に公開! 「嬬恋キャベツヒルクライム2019」参加者募集中 8月2日まで サンケイスポー …

サイト内検索