マーケティング

多様なニーズ飲み込むバレンタインチョコレート

投稿日:2018年1月31日 更新日:

2月14日はバレンタインデー

女性から好きな男性に贈る習慣だったバレンタインチョコレートですが、いまや「友チョコ」「義理チョコ」「自分チョコ」「逆チョコ」とさまざまです。なぜバレンタインチョコが多様なニーズを飲み込むにいたったのか考えてみましょう。

元来は欧米・日本とも「恋人たちの日」

恋人たち

アメリカの映画『エターナル・サンシャイン』(2004年)は、バレンタインデーの2月14日、恋人のいない青年がベッドから目を覚ますところから始まります。「バレンタインデーはグリーティングカード会社が作り上げた記念日だ」と愚痴を言い、仕事をさぼって、冬の海に出かけて昔の恋人に思いをはせます。またバレンタインデー前日には、隣人から「恋人との夕食はもう予約したのかい?マックでのデートになっちゃうぞ」と助言されます。

グリーティングカード会社の目論見もあるのでしょうが、欧米におけるバレンタインデーは、日本以上に「恋人たちのための日」です。もちろん親しい友人や家族にプレゼントを贈る風習はあるのですが、家族とともに祝う最大のイベントはクリスマスであり、バレンタインデーはより恋人たちに焦点が絞られています。

一方、日本ですが、バレンタインデーは昭和30年代のチョコレート業者のキャンペーンが発端で、「女性が好きな男性にチョコレートを渡して、愛を告白する日」という風習が定着してきました。

友チョコがバレンタイン商戦の主役に

Cosme Kitchenルミネエスト店

BiOPLE tokyo by Cosme Kitchenルミネエスト店 2018/1/20撮影

しかし近年は、すっかり様相が変わってきています。
株式会社明治の「バレンタイン予測2018」によると、チョコレートを渡す予定が最も高い10代女性がチョコレートをあげる予定の相手は、「女性の友人」が83.7%と圧倒的に高く、「恋人」は30.2%、そして当初の風習であった「片思いの人」は11.6%にすぎません。いわゆる「友チョコ」がチョコレート商戦の主戦場になっています。
「父親」(53.5%)にもあげるのですが「母親」(41.9%)にもあげ、そして「自分」(40.7%)にもあげます。いわゆる「自分チョコ」は、「本命チョコ」よりも予算をかけるという松屋銀座の調査もあります。

もちろん「男性の友人」も27.9%あり、義理チョコは低落傾向とはいえ健在です。
代表的なシーンを挙げるとすれば、10代の女の子が、女の子の友達のために、ちょっとした小遣いをはたいて、デパートでチョコを選んだり、ネットに上がっているレシピをもとに作ったりして、チョコをプレゼントするというところでしょう。もはや「恋人たちのための日」ではなくなったのです。

「変幻自在」なチョコレートという食べ物

チョコレート

バレンタインデーほど、多様なニーズを呼び起こしているイベントはないでしょう。「本命チョコ」「義理チョコ」「友チョコ」「自分チョコ」、そして男性が女性にあげる「逆チョコ」もあります。これらの多くのニーズを巻き込んで、バレンタイン市場は近年ブームであったハロウィン市場を再び逆転していると言われています。

なぜバレンタインチョコレートはこれだけ多くのニーズを呼び起こしているのでしょうか。それはチョコレートという食べ物のバラエティにあるのではないかと考えます。
チョコレートは、価格は10円~数千円まであり、形状は板チョコからトリュフやケーキまであります。コンビニで手軽に買うことも、溶かして自分オリジナルのギフトにすることもできます。まさに変幻自在です。そのバラエティさゆえ、友達に日ごろのお礼がしたいという女の子から、一世一代の告白をしようという女の子、高級レストランで恋人に手渡したいという大人の女性まで、さまざまなニーズに応えられるのでしょう。

あらゆる利用シーンに思いをはせる

ここで1月10日のコラムで紹介した「ジョブ理論」を思い起こしましょう。「ジョブ」はニーズと同様、「顧客が解決したいこと」のことですが、ニーズよりはるかに細かい明細化を伴う点で大きく異なります。同じチョコレートという製品に対してでも、日ごろ口も利かない父親に感謝の気持ちを表したいという「ジョブ」もあれば、自分自身をほめてあげようという「ジョブ」もあり、恋人にプレゼントしたいという「ジョブ」もあるわけです。
自社の製品のターゲットを絞ることも重要ですが、思ってもみなかったニーズもあるかもしれません。さまざまな自社の製品が使われるさまざまなシーンに思いを巡らせて、マーケティングしていくことも重要だと思います。

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