Case Study

ブランド野菜の地域ブランディング~嬬恋村のブランドキャベツ~

投稿日:2019年8月7日 更新日:

キャベツで有名な嬬恋村で、今年も話題のレースが開催されます。

今年も“キャベツ感”がスゴい!毎年話題の参加賞、遂に公開!
「嬬恋キャベツヒルクライム2019」参加者募集中 8月2日まで

サンケイスポーツ(産経新聞社発行)が共催し、9月1日(日)に群馬県嬬恋村の万座ハイウェーで開催される自転車レース「嬬恋キャベツヒルクライム2019」の参加賞が完成し、大会公式ホームページなどでデザインが公開されました。大会名に嬬恋村の特産品であるキャベツを冠した本大会では、参加賞として嬬恋村で収穫された美味しいキャベツを1人1玉もらえるほか、毎年リアルなキャベツのプリントが施されたグッズももらうことができます。そのリアルさゆえに、過去の大会では自分のSNSにアップする参加者も多くみられたほど。

今年の事前告知では、大会特製“キャベツ”シューズケースと唱っていましたが、より良い賞品が制作可能となり、大会特製“キャベツ”リュックサックが完成しました。もちろんサイクルシューズを入れることも可能で、2足分が入る量となっています。また、折りたたんで付属の収納ケースに入れれば、持ち運びやすい手のひらサイズになります。もちろん、一番の特徴は、例年通りのリアルなキャベツのプリントで、リュックを背負った参加者を少し離れて見れば、背中に本物のキャベツを担いでいるように見えてしまうでしょう。

PR TIMES 2019/7/10

嬬恋村(つまごいむら)は、長野県に近い、群馬県の西端の位置にある村です。夏場も比較的涼しい気候を活かした高原野菜の栽培が盛んで、その中でもキャベツが特産品として知られています。

嬬恋村のキャベツは全国生産量が1位であり、なおかつ品質の良さから人気が高く、高値で取引される傾向があります。実際にECサイトなどで購入をしようとすると、売り切れとなっている場合も多く、販売していても1玉500円程度と、かなりの値段がついています。そのようなこともあり、嬬恋村のキャベツ農家は収入も高く、地域財政や地域ブランディングにおいてもキャベツはかかせない存在となっています。

そんな嬬恋村ですが、かつては財政健全化団体として、厳しい局面を迎えたこともあったようです。

財政再建への道のり-どん底からどのように抜け出したのか<群馬県嬬恋村:キャベツとともに歩く>

https://www.canon-igs.org/research_papers/macroeconomics/20170106_4092.html

キャノングローバル研究所 ホームページ
柏木 恵氏 署名記事 2017/1/6

詳細は、前述のホームページに記載の通りですが、キャベツで苦しんだ嬬恋村は、最終的にキャベツで復活したという、ブランドストーリーを持ち合わせています。

キャベツ生産の投資予算を捻出するために、スキー事業などの観光産業を強化したものの、結果としてそれが財政負担を増すこととなり、嬬恋村は財政再建団体への転落の危機に陥ってしまいました。しかし、最終的にはキャベツの品質向上によって生産量が上がり、市場から評価され、危機から脱することができ、現在では地域を代表するブランド野菜となるまでに至ったという、劇的なブランドストーリーです。ドラマ化しても、十分に面白い内容かもしれません。

本業の更なる成長に向けた投資予算を捻り出すために、新規事業を立ち上げたものの、その新規事業が重石となって経営危機に陥り、最終的に本業を磨くことで生き残りを図り、成功した。というのは、民間企業でも実際に起こりうる話です。

長く続くブランドは、必ずそれを裏付けるストーリーがあり、それ自体が神秘性や伝説などの価値を生み出し、より一層ブランド価値が増していく効果を上げていきます。そのためには、ブランドを常に磨き、顧客に対してアピールし続けることが大切です。

嬬恋村も、前述のようなキャベツ関連のイベントや、村のシンボルである「愛妻の丘」を整備して、キャベツ酢サイダー「愛妻ダー」などの商品開発を行うなど、継続的かつ積極的に村の産業や特産品のアピールに努め、ブランドを高める努力を続けています。

ブランドは商品の品質を保証するものであり、価値があることを証明するものです。甘くて柔らかい、美味しい嬬恋村のキャベツは、地域をリードし、代表するブランド野菜として、今後も食卓と地域を豊かにしてくれることと思います。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

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