Case Study

【商品分析】「TEA COFFEE」は売れるか? 仁義なき「すっきりコーヒー戦争」の異端児

投稿日:2018年5月11日 更新日:

teacoffee

「TEA COFFEE」なる、紅茶(本当は焙じ茶)なんだかコーヒーなのか混乱してしまうネーミングのコーヒーが、アサヒ飲料から2018年4月に発売されました。キワモノのようにも感じるし、唐突に登場した商品のようにも思えますが、2017年から続く「すっきりコーヒー戦争」の、帰着ともいえる商品なんです。解説しましょう。

「すっきり感」を各社が追求

サントリーの「クラフトボス」については以前コラムで紹介しましたが、2017年4月の発売から9カ月で売上2億4000万本の大ヒット商品となりました。

勝因は流行のクラフト感(手作り感)を前面に出したことや、ペットボトルによりコーヒー飲料のイメージを変えたことなど、いろいろありますが、一番の理由は「すっきり感」のある後味にあります。若いオフィスワーカーでも抵抗なくごくごく(またはチビチビ)飲める、くせのない後味が受けたのです。

コンビニの飲料棚

2018年5月 都内のコンビニにて撮影

その影響もあってか、競合他社が次々に新商品を発売しています。「TULLY’S COFFEE Smooth taste ESPRESSO(ファミリーマート、サークルK、サンクス限定)」(伊藤園)、「ジョージア ジャパン クラフトマン」(コカ・コーラ)、「BEANS & ROASTERS マイルドラテ」(UCC)などなど……。どのパッケージにも共通して「すっきり」という言葉が強調されていて、えげつないまでに(失礼?)「クラフトボス」の快進撃に追従しています。

コーヒーの後味消す焙じ茶という奥の手

例えば「BEANS & ROASTERS マイルドラテ」ではカフェイン抜き(デカフェ)を謳っていますし、「ジョージア ジャパン クラフトマン」では「水出しコーヒー」使用を謳うなど、各社「すっきり飲める」「ごくごく飲める」ことを強調しています。

そんななか、2018年4月にアサヒ飲料のコーヒー飲料ブランド「WONDA」から「TEA COFFEE」が発売されます。WONDAのメインキャラクターであるビートたけしのほか、若手タレント2人(神木隆之介、川栄李奈)が若手オフィスワーカーを演じていることからも、「クラフトボス」と同様、若いオフィスワーカーをターゲットとしていることがわかります。

パッケージにもまた、「すっきりゴクゴク飲みやすい」と書いてあります。カフェラテと焙じ茶の掛け合わせというコンセプトこそ斬新なものの、「すっきりコーヒー」の一種であることには変わりありません。

ほうじ茶

ではなぜ、「すっきりコーヒー」に焙じ茶を入れるというコンセプトにいたったのでしょうか。飲んでみれば簡単にわかります。コーヒーのクセのある後味・香りを、焙じ茶の香りで消しているからです。「すっきりコーヒー」を追求した結果、アサヒ飲料は、「焙じ茶でコーヒーの香りを消す」という結論にいたったわけです。

「TEA COFFEE」はコーヒーか

さてこの「TEA COFFEE」、売れるでしょうか。確かに絶妙に抑えられた甘さと口当たりのよい味わいは、毎日飲んでも飽きなさそうです。「コーヒー×焙じ茶」という斬新さも、話題性・インパクトがあります。

一方、コーヒー好きにとっては、コーヒーのコクも香りも味わえない「TEA COFFEE」は、もはやコーヒーではないと断じられるかもしれません。そして、焙じ茶をラテで味わいたいなら、伊藤園の新商品「ほうじ茶ラテ」があります。焙じ茶とミルクの後味や香りを求めるのなら、こちらの方が純粋に楽しめるでしょう。

文化として受け入れられるかが鍵

「TEA COFFEE」が一時期の流行に終わらず、ロングセラーになるのに必要なのは、「コーヒー」と「焙じ茶」という別の飲み物の掛け合わせが、「アリなんだ」と思わせる説得力です。日本ではコーヒーとお茶の掛け合わせは馴染みがないどころか、「邪道」と思われているフシがあります。

香港では定番の飲み物であるコーヒーと紅茶を混ぜた「鴛鴦茶」(えんおうちゃ)があるように、日本で「文化」として受け入れられる必要があります。もしコーヒーと焙じ茶を掛け合わせた飲み物が「TEA COFFEE」によって広く一般に認められるようになれば、「TEA COFFEE」は爆発的に売上を挙げられるでしょうし、今度は「TEA COFFEE」に追従する商品が次々と出て、「TEA COFFEE」はアサヒ飲料の一商品名から出て、商品カテゴリーの1つとして認められることでしょう。

「WONDA TEA COFFEE」がそこまでの力があるかどうかはまだわかりません。行方をじっくりと見守りたいと思います。

おまけ ブランディングラボ編集部の感想

M編集部員
飲みやすくて、後味が独特で美味しい! けど、普段はブラックコーヒーを好んで飲むので、この感じは未だ私には早かった。
完全に自分はターゲットから外れてました。新しいもの好きの方にはオススメかも。
T編集部員
「ティーコーヒー」 最初に名前を見たときは、お茶なんだかコーヒーなんだかどっちつかずな中途半端なヤツだなという印象でしたが、実際に飲んでみるとなるほど納得! 味わいはコーヒー(というかカフェオレ)なんだけど、口の中にいつまでも味が残らず、喉を通ると同時に口の中がリフレッシュされる様はまさしくお茶のそれでした。どっちつかずな中途半端なヤツではなく、両方のいいとこどりをした欲張りなヤツというのが、この「ティーコーヒー」の真の姿なので、皆様も名前に騙されてはいけませんよ。
O編集部員
長時間チビチビ飲んでも飽きない後味はよし。でもコーヒーのコクと香りを味わいたいなら、コレじゃない感あるなあ。

関連記事

恵方巻

元祖はセブン‐イレブン!? いかにして恵方巻きは定着したのか

2月3日の節分に太巻き寿司「恵方巻」を頬張る習慣は、コンビニチェーンのキャンペーンにより全国に普及したと言われています。今回は、恵方巻が消費者に受けいれられた要因を考えてみます。 土用の丑の日にさかの …

ゴンチャ

【商品分析】Gong cha(ゴンチャ)はアリ!本格的な台湾茶が手軽に飲める感動

(出典:http://www.gongcha.co.jp/) 2006年に台湾で誕生、今やアジアを中心に世界1500店舗以上を構える台湾茶ドリンクショップ「Gong cha」(ゴンチャ)。日本1号店が …

明治 ザ・チョコレートのWebサイト

「明治 ザ・チョコレート」の4P分析〜実は激安戦略?〜

(出典:http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/) 2016年9月に発売してから1年間で約3000万枚を販売し、一大ヒット商品となっ …

ローカル線は廃線の道を辿るしかないのか?銚子鉄道から学ぶ、弱者の生き残りマーケティング戦略

地域経済の足となってきたローカル線ですが、一時的なローカル線ブームも落ち着き、人口減少に伴う利用者不足の影響により、廃線となる路線が再び増えてきています。 石勝線夕張支線が126年と5か月の歴史に幕… …

スターバックスとエシカルブランディング プレミアムラインの論拠と証明

スターバックスが1995年に日本に進出して、24年が経ちます。その間、日本のコーヒー文化は大きく変化しました。競合企業のタリーズコーヒーは1997年に運営を開始し、元来日本で喫茶店を展開していたドトー …

サイト内検索

ブランド・マネージャ―認定協会サイトへ

Chess
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
スターバックスの店舗
【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
打ち合わせ
CI、VI、BIの違いとは?
無印良品
無印良品の「これでいい」ブランドコンセプト
星のや軽井沢
星野リゾートのブランディングから学ぶ!〜理論の実践とは〜
マトリックス
アンゾフのマトリクスとは? 富士フイルムの事例に学ぶ
スターバックスの店構え
スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション戦略編】
モスバーガーのとびきりハンバーグサンド
モスバーガーのブランド戦略〜キーワードは「おいしさ」〜
マクドナルドとモスバーガー
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
ブランド
はじめてでもわかる!ブランド・アイデンティティとは