Case Study

スターバックスの4P/4C戦略【製品戦略・価格戦略編】

投稿日:2018年2月7日 更新日:

スターバックスのドリンク

1月17日のコラム「スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション戦略編】」では、マーケティングミックスの4P(製品・価格・立地・プロモーションを組み合わせたマーケティング戦略)のうち、立地戦略(Place)とプロモーション戦略(Promotion)について分析しました。今回は「顧客満足度」の観点からスターバックスの製品戦略(Product)と価格戦略(Price)について見ていきます。

品質は依然として1位

スターバックスのドリンク
「顧客満足度でスターバックスがドトールコーヒーに負けた」という話を聞いたことのある方は多いと思います。サービス産業生産性協議会が発表した2017年度「JCSI(日本版顧客満足度指数)」調査結果によると、ドトールコーヒーが3年連続で顧客満足度1位を獲得。一方2014年度で1位だったスターバックスは、2015年度で3位に、2016年度で4位に、そして2017年度には圏外に落ちてしまいました。

同調査を分析すると、スターバックスのブランド力が落ちたわけでも、品質が落ちたわけでもないことがわかります。詳しく見てみると、スターバックスは「顧客期待」(サービスを利用する際に利用者が事前に持っている企業・ブランドへの印象・期待・予想)、「知覚品質」(実際にサービスを利用した際に感じる、品質への評価)でそれぞれ1位となっています。スターバックスのブランド力はもちろん、製品(Product)やサービスの品質は依然として高いのです。

それなのになぜ顧客満足度が圏外に落ちたかというと、「知覚価値」(受けたサービスの品質と価格とを対比して、利用者が感じる納得感、コストパフォーマンス)の低さによります。ドトールコーヒーが知覚価値で2位なのに対し、スターバックスは圏外となっています。スターバックスは製品・サービスの高さは認められているものの、納得感・コストパフォーマンスの低さがそれを打ち消してしまっているのです。

スターバックスの「大衆化」

しかし3年前と品質にも価格にも大きな違いはないのに、どうして価格に対する納得感や顧客満足度が低下してしまったのでしょうか。キーワードとなるのはスターバックスの「大衆化」です。

前回の【立地戦略・プロモーション戦略編】でも触れたとおり、スターバックスは急速に店舗を増やしました。2014年度は1096店舗だったのが、2017年12月末には1328店舗に増えています。それによりスターバックスの利用者は、ファッションなどの感度の高い「おしゃれな」消費者層から、より一般の消費者層にまですそ野が広がりました。そういったいわゆる庶民層にとって「スターバックスは高い」と思われているのがまず一因だと考えられます。

相反する利用者層で一体感を欠く雰囲気

スターバックスの利用者の声を拾っていくと、まったく相反する感想が聞かれます。
例えば「上品でない大学生やおばさんが多く、うるさい」という感想。これはスターバックスの「居心地の良さとくつろげる空間」を求める利用客の声だと思われます。一方で、「『意識高い系』の人がPCを広げて長居していて迷惑」という声も聞かれます。これはおそらく、従来からのスターバックスファンへの反感だと思われます。

女性とパソコン
しかしスターバックスのコンセプトは、「居心地が良くくつろげる『サードプレイス』(自宅と職場につづく第3の場所)」であったはずです。WiFi環境やくつろげるソファーなども用意し、PCを眺めながら長居できる空間が、従来のスターバックスの姿だったのではないでしょうか。
急速に店舗数を増やしたのにも拘らず、スターバックスは「混雑している」という不満もよく聞かれます。混雑の中、おしゃべりを楽しむ庶民的な大学生や中高年の利用者と、従来の落ち着いた雰囲気を求める利用者の間で、一体感のある雰囲気が築けず、利用者の不満がさらにましているというのが現状なのではないでしょうか。

居心地のいい「サードプレイス」への回帰を

店の雰囲気という「サービス」について長く触れてきましたが、4Pの「Product」は、製品とサービスを含むのが一般的です。
結論をいうと、スターバックスのサービスの質は依然として高いものの、従来のファンは長居できにくくなり、より庶民的なファンはコストへの納得感が薄れていると思われます。いずれにせよ混雑をなくし、居心地のいい「サードプレイス」という原点に立ち戻る必要があるのではないでしょうか。

ブランディングラボおすすめ記事

スターバックスの店構え
・スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション編】


スターバックスの店舗
・【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析】

関連記事

コロナに勝つための短期勝ち残り戦略フレーム「SCAMPER」 「選択と集中」ではなく「選択を増やすことに集中する」発想の転換     ~ 帝国航空でなくANAホールディングスを事例として ~

COVID‐19ウイルス(通称:新型コロナウイルス)の世界的蔓延から、半年以上が経過しました。収束の気配はまだ見えず、経済活動にも様々な制約と影響が出ていります。 各企業での業績も厳しい結果となり、緊 …

リッツ・カールトン

ザ・リッツ・カールトンに学ぶ「ブランド体験」とは

(出典:https://www.ritz-carlton.co.jp/) CS(顧客満足)評価が高いホテルとして知られているザ・リッツ・カールトン(以後リッツ・カールトン)。実際に、CSに関する調査で …

ZOZOTOWNは復活するか? ネット専業企業のリアル店舗によるマーケティング戦略の有用性

ゾゾタウンを運営する、ZOZOの苦戦が続いています。 ゾゾタウンが有料会員制の割引サービスを終了、海外PBも撤退 東証1部上場で衣料品通販サイトの「ゾゾタウン」を運営する「ZOZO」は、5月30日をも …

マクドナルドとモスバーガー

マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?

モスバーガーHPより マクドナルドHPより   ポジショニングはフィリップ・コトラーが提唱したマーケティング手法であるSTPマーケティング(「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショ …

懐古ゲーム機による消費意識の転換 「癒し」のマーケティング戦略 なぜ、今、ファミコンミニ・メガドライブミニを発売するのか

かつて、1980年代~1990年代に玩具市場を席捲したゲーム機が、ここにきて次々と復刻される動きが出てきています。 「メガドライブミニ」9月19日発売 6980円 https://www.itmedi …

サイト内検索

ブランド・マネージャ―認定協会サイトへ

Chess
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
ブランディング
ブランディングとは? 「基本的な意味と進め方」について解説!
マクドナルドとモスバーガー
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
スターバックスの店舗
【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
マトリックス
アンゾフのマトリクスとは? 富士フイルムの事例に学ぶ
打ち合わせ
CI、VI、BIの違いとは?
印刷会社が進むべき16の事業領域~アフターコロナ時代を見据えて~
ブランド
はじめてでもわかる!ブランド・アイデンティティとは
モスバーガーのとびきりハンバーグサンド
モスバーガーのブランド戦略〜キーワードは「おいしさ」〜
無印良品
無印良品の「これでいい」ブランドコンセプト