ブランディング応用

採用ブランディングのターゲット設定と3C分析

投稿日:2019年4月11日 更新日:

採用ブランディングについて その2

まずは採用ターゲットを明確に

採用ブランディングにおける重要な第一歩は「自社に必要な人材を明確に絞ること」です。人材を確保したいと願いながら、ターゲットを絞ってしまうことは逆効果ではないか? と思われるかもしれません。しかし、もし「誰でもいいから我が社に来てほしい」と大々的に広告したとすれば、自社が必要としない人材の選考に時間とお金を浪費する事態を招きかねません。また「誰でも歓迎」と受け取られるメッセージを発信してしまうことで、「自分を本当に必要としてくれる会社で働きたい」と願う優秀な人の心に響かず、応募してもらえないかもしれません。これこそまさに本末転倒です。世界合計1億800万ダウンロード(2018年3月時点)を超えるフリマアプリを提供する、株式会社メルカリの取締役で、人事・採用を統括する小泉氏は、このように述べています。

小泉氏:採用の基本的な考え方は、10人応募してくれて10人採用できればいい、ということです。一番欲しい母集団にきちんとメッセージが届けられて、ミスマッチなく全員採れたら最高じゃないですか。  人事の人たちがよく言う、大規模な母集団形成をして確率論で採るみたいな考え方は、好きじゃないですね。ですので、ブランディングをどうするかだと常々思っています。

HR 2048フロムスクラッチ、メルカリ、LITALICO  「最強の採用戦略論」【前編】

メルカリほどの認知度があれば、「人気のアプリの会社だから応募してみた」という漠然とした志望理由を掲げる人がいても不思議ではありません。このような漠然とした理由で応募してくる人を減らすために、メルカリは 「Go Bold(大胆であれ)」「All for One(全員でひとつのサービスに打ち込もう)」「Be Professional(プロ意識を持て)」 といった明確なキーワードを採用ブランディングにおいて強く打ち出しています。メルカリで活躍する人材に求められる資質やスタンスを外部に対して発信し、成功している例といえるでしょう。実際に採用ブランディングを始めるにあたっては、経営陣や事業責任者と採用担当者の間で「どのような人々をターゲットとすべきなのか?」を十分に議論し、ターゲティングとその優先順位を明確にすることが重要です。その際、自社において中長期的に高いパフォーマンスを発揮している人材の詳細な属性(ペルソナ)や、将来の事業戦略と照らし合わせて特に採用の重要性・緊急度が高いにもかかわらず、十分に確保できていない人材の属性について考慮することが極めて重要です。

自社の採用競合企業を知る

採用すべきターゲット層が明確になったなら、次に割り出すべきなのが 「自社の採用競合となる企業はどこなのか?」 という点です。マーケティングの世界でよく知られているフレームワークの1つに、「3C」という概念があります。3Cとは、市場を「Company(自社)」、「Customer(顧客)」、「Competitor(競合)」という3つの視点から理解しようとするフレームワークです。これを採用ブランディングに応用すると、3Cは「自社」「採用ターゲットとなる求職者」「採用競合企業」を指します。「採用ターゲットとなる求職者」についてはご説明しました。では次に「自社」について見てみましょう。採用市場において、自社の知名度や待遇がどのくらいのレベルなのかを確認してください。そうすれば、採用ブランディングを改善すれば現実的に採用できそうな人材、かつ自社で活躍できそうな人材がどういった人なのかが見えてくるでしょう。もし現在までの採用活動で、すでに上記のような人材にオファーをしているのに辞退されている場合、それらの候補者が自社と並行して選考を受けている企業について、ヒアリングしてみましょう。このような優秀な人材は複数の企業からオファーを受けているでしょうから、そのすべてについて調査し、可能であれば、最終的に就職を決めた企業についても情報を集めます。これが「採用競合企業」の分析へとつながります。ここで名前の挙がってくる企業は、現在の採用市場において、働く場所としての魅力や待遇、そこで得られる経験やスキルといった面で、客観的に自社と並んで比較されている企業だということになるでしょう。

 

採用ブランディング 関連記事

その1 本当に欲しい人材を獲得する採用ブランディングとは

その2 採用ブランディングのターゲット設定と3C分析

その3 自社の採用ブランドの問題点を特定する

その4 カスタマージャーニーマップを採用ブランディングに活用する

その5 採用ブランディングの決め手は継続的な発信と接点の創出

 

松下 弘司(まつした こうじ)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 認定トレーナー
オラクルクローラー代表
戦略コンサルティングファームでプロジェクト・リーダーとして幅広い分野のBPRプロジェクトを経験。その後、コンサルティング会社オラクルクローラーズを立ち上げ、現在は、企業家として新規事業開発をするほか、企業の経営顧問として経営戦略・ブランディング(ブランド経営)の支援を行う。
https://brand-manager.jp/

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