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Case Study

ザ・プレミアム・モルツの成功例から学ぶ!ブランド認知とは!?

投稿日:2016年10月18日 更新日:

ブランド認知

仕事に疲れて帰宅する際、「ビールが飲みたい!」と思ったら、真っ先に思い浮かぶブランドは何でしょうか。キリン一番搾りであったり、サッポロ黒ラベルであったり、アサヒスーパードライであったり…それは人によってさまざまです。何気なく生活している中で、このように、ブランドを思い起こす機会はよくあることでしょう。

今回は、消費者がブランドを想起するプロセスである「ブランド認知」について解説します。

ブランド再認とは?

ブランド・マネージャー認定協会では、ブランド認知について、ブランド再認とブランド再生という2つのプロセスに分けて紹介しています。

1つ目のブランド再認ですが、一言でいうと「ブランド要素からブランドを思い出すこと」です。
ここでいうブランド要素とは、

ブランド要素

(出典:「社員をホンキにさせるブランド構築法」同文舘出版

など、ブランドを構成するさまざまな最小単位のことを言います。
こうしたブランド要素に接してブランドを思い出すこということは、既にブランドに対して知識がある状態と言えます。

例えば、マクドナルドの店舗にあるMのマークを遠くから見てマクドナルドだとわかったり、白い犬のポスターからソフトバンクの広告だとわかったりすることです。

ブランド再認では、広告・販売促進・店頭・Webサイト・イベントなどにより、消費者がブランド要素と接する機会を増やし、ブランドを知ってもらい、ブランド再認の量を増加させることが大切です。

ブランド再生とは?

ブランド再生

男性「コーヒー飲みたいなぁ」
女性「じゃ、スターバックスへ行こうか」

もう1つのブランド再生とは、上記のように、消費者にニーズが発生したときに該当するブランドを思い起こすことです。このように、「○○(ニーズ)なら○○(ブランド)へ行こう」という考えになるのは、そのブランドについて既に知っているだけでなく、特徴や得られる満足感などまでイメージできているためです。

下図のように、ブランド再認では認知を増やすため、再認の量を増やすことを目標としますが、ブランド再生では、再生の率を高めていくことが目標となります。

ブランド認知

(出典:「社員をホンキにさせるブランド構築法」同文舘出版

また、ブランド再生を起こすためには、消費者・顧客に対して、商品やサービスに関する理解を深めてもらうようなアプローチが必要です。前述したように、その商品・サービスの特徴や、得られる満足感などの他にも、対象者像、利用シーンなどのイメージを誤解なく抱いてもらい、「今の自分にピッタリだ」と思ってもらうことがブランド再生において重要なのです。

そして販促活動においては、状況を見て、ブランド再認とブランド再生、どちらの対策が必要なのかを検討することが重要になります。

認知の幅が重要だと語るケビン・レーン・ケラー

ブランド再認とブランド再生、それぞれの役割と目標について見てきましたが、ブランド論の第一人者として知られるケビン・レーン・ケラーは、ただ認知の深さ(多くの人に知られている)を高めるだけでなく、認知の幅が重要だと語っています。

認知の幅、つまりブランドと消費者の心の中にあるさまざまな製品カテゴリーや手がかりと適切に結びつけることも重要である。

(出典:ケビン・レーン・ケラー「戦略的ブランド・マネジメント」)

認知の幅とは、何かというと、例えば、飲み物が欲しい消費者ニーズに対して、飲料水ブランドを提案するだけでなく、適切な時や場所という条件も伴わなければいけないということです。

具体例として、サントリーのビール、ザ・プレミアム・モルツ(以後プレミアムモルツ)から認知の幅について考えてみます。

プレミアムモルツの提案とは!?

プレミアムモルツ

『最高金賞のビールで最高の週末を。』というキャッチフレーズを打ち出して登場したプレミアムモルツ。その裏には「少々高くても美味しいビールを、週末、自宅で気軽に飲んでほしい」というコンセプトがありました。

このような発想になぜ至ったかというと、それまで、ヱビスビールを代表とするプレミアムビールは、高価なだけあって、お中元や年末年始などのギフトシーズンに売れ行きが伸びる、いわゆる“ハレの日需要”の商品でした。

「週末」というキーワード

しかし、調査を行ってみると、実際にプレミアムビールが最も飲まれていたのは、「休日の夕食中」であることがわかりました。(2005年10月にサントリーが行った「プレミアムビール消費者飲用動向調査」)これにより、プレミアムビールのカテゴリーには、「休日の夕食中」という条件が結びつきました。

その結果、プレミアムモルツは、「週末」というキーワードと、2005年の「モンドセレクション」最高金賞受賞をフックに、『最高金賞のビールで最高の週末を。』というシーンの提案をすることで、2006年には、対前年比440%となる550万ケースの売り上げを達成したのです。

このように、プレミアムモルツは、プレミアムビール×贅沢×週末という結びつきを発見し、「特別なときのビールと言えばプレミアムモルツ」というブランド再生を消費者に起こすことに成功したと言えるでしょう。ニーズの多様化が進む昨今、企業側から消費者へ、このような新しい提案が必要になってきています。是非、参考にしてみてください。

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