Branding Method

PPM分析 入門 ~日本郵政グループを参考に作成~

投稿日:2019年12月25日 更新日:

PPM分析は、自社の経営資源の分析に適したマーケティング分析の手法です。PPMは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略称であり、経営資源の分配や、今後の投資方針などを判断する際に、便利な分析手法となります。

自社の投入商品やサービスが、市場に対しての影響力をもち、なおかつ今後も販売や投資を継続させるべきかどうかを判断するためには、PPM分析は非常に有効なツールです。

実際に行う際には、各商品・サービスのシェアや収益を考慮して作成していくのですが、今回は内容を把握しやすくするために簡略化して説明していきます。

PPM分析では、下記項目について該当する内容を取りまとめしていきます。

  • 金のなる木
  • 花形
  • 問題児
  • 負け犬

図にまとめていくと、下記のようなかたちとなります。

では、各項目について解説していきます。今回は、日本郵政グループの、各セグメントにおける2019年3月期決算短信を基に、この表に当てはめてみます。ちなみに、日本郵政グループのセグメントは、下記の通りです。

  • A.郵便・物流事業セグメント(日本郵便)
  • B.金融窓口事業セグメント(窓口、不動産)
  • C.国際物流事業セグメント 
  • D.銀行業セグメント(ゆうちょ銀行)
  • E.生命保険業セグメント(かんぽ生命)

1.金のなる木

このカテゴリーに該当する商品・サービスは、市場が成熟化しており、今後の大きな成長は見込めません。しかし、高シェアであるがゆえに、低コストで安定した収益が確保できる状況となっています。そのため、このカテゴリーで獲得した収益をもとに、他のカテゴリーに投資していくことが有効な対策となります。日本郵政グループでは、生命保険業セグメントと銀行業セグメントが、こちらのカテゴリーに該当します。

2.花形

このカテゴリーに該当する商品・サービスは、市場が成長しており、今後の大きな成長が見込めます。それゆえに参入企業が多く、現状では高シェアを確保しているものの、競争に勝つための、成長に向けたコストが非常にかかる状況となっています。そのため、このカテゴリーでは「①金のなる木」で獲得した収益を投資し、市場競争に勝ち抜くことが求められます。日本郵政グループでは、金融窓口事業セグメントがこちらのカテゴリーに該当します。

3.問題児

このカテゴリーに該当する商品・サービスも、市場が成長しており、今後の大きな成長が見込めます。しかし、自社については低シェアであるがゆえに収益は確保できておらず、なおかつ成長に向けたコストが非常にかかる状況となっています。そのため、このカテゴリーは「①金のなる木」で獲得した収益を投資するかについて、判断することになります。検討の結果、場合によっては撤退することも選択肢となります。日本郵政グループでは、国際物流事業セグメントがこちらのカテゴリーに該当します。

4.負け犬

このカテゴリーに該当する商品・サービスは、市場全体が衰退しており、今後の大きな成長が見込めません。なおかつ、自社については市場内で低シェアであるがゆえに収益は確保できておらず、ジリ貧の状況となっています。そのため、このカテゴリーは基本的には撤退を前提として検討することとなります。投資対効果が低いため、「①金のなる木」で獲得した収益を投資するかについては、慎重に判断しなくてはなりません。日本郵政グループでは、郵便・物流事業セグメントがこちらのカテゴリーに該当します。

以上の内容をもとに、改めて日本郵政グループについて、図表にまとめてみました。

生命保険業セグメントと銀行業セグメントで収益を確保している間に、次の事業を育成しなくてはならないことが分かります。そのためには、問題児である国際物流事業セグメントを成長させるために、どの程度の投資が必要であるかを判断しなくてはなりません。また、成長が続く金融窓口事業セグメントを育て上げ、金のなる木に変貌させるべく、追加投資が必要になるであろうことが分かります。そして、負け犬である郵便・物流事業セグメントについては、セグメント内での成長・衰退部門を検証し、それぞれに対する投資や撤退を検討する必要があることが窺えます。

非常に簡単ではありますが、このようにPPM分析を用いることで、自社の商品・サービスの概況が俯瞰的にまとめられ、投資対効果を検討する資料が出来上がりました。この分析結果をもとに、自社の財務戦略を参照のうえ、経営戦略を検討していくこととなります。

このように、PPM分析は社内の投資判断に役立つツールであるため、是非ともPPM分析を上手に活用して、投資対効果の分析を進め、自社の事業展開に役立てていただければと思います。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

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