Case Study

「オンデーズ」はメガネ業界のZARAとなるか? 〜JINSとは一線を画すファッション路線〜

投稿日:2018年5月23日 更新日:

オンデーズの店舗イメージ

 

「メガネ業界のZARA」を目指し、ファッション性の高いメガネを低価格で提供しているオンデーズ。競合のJINSを追従しつつ、異なる戦略を取っています。
今回はそもそもなぜ「メガネ業界のZARA」を目指すようになったのか、またJINSとの差別化をどのように行っているのか。その戦略に迫ります。

なぜメガネ業界だったのか

メガネ

海外を含む220店舗を展開し、売上150億円(2016年)まで成長したメガネチェーンのオンデーズ。しかし現社長の田中修治氏が同社を買収した2008年時点では、巨額の債務超過に陥り倒産寸前でした。様々な買収話が持ちかけられていた田中氏が同社を選んだのは一言「メガネ業界だから」(田中社長)でした。なぜメガネ業界に魅力を感じたのでしょうか。

SPAモデルでトップシェア目指す

1つは「メガネ業界のユニクロ」がまだ登場していなかったことが挙げられます。既存の大手メガネチェーンでは、人気ブランドの型落ちモデルのフレームを積極的に仕入れて販売し、価格での差別化を図っている程度でした。そこにユニクロモデル、つまり製造から販売まで行う製造小売モデル(SPA)を導入して低価格を実現すれば、トップシェアが取れるという判断があったものとみられます。

すでにゾフやJINSなどのSPAモデルの先行はあったのですが、当時はまだアパレル業界のユニクロのような圧倒的なシェアを持ってはいませんでした。そこにオンデーズが参入する余地が生じ、「SPA御三家」の1つといわれ、やがてJINSの強力な競合になりました。

安い・早い・分かりやすい 回転寿司のようなモデル

2つめは、本人のいう「回転寿司」のビジネスモデルが、メガネ業界でも新しいニーズを取り込めると考えたからです。視力によりレンズの値段が大きく変わり、2万円のメガネを買うつもりが5万円かかったということもざらでした。さらにレンズの加工に数日がかかり、商品を後日取りに来なければなりませんでした。そういった業界が、田中社長には旧態依然としているとみえたのでしょう。

この業界に回転寿司モデル、すなわち、「安い」「早い」「分かりやすい」ビジネスモデルを導入すれば、大きく伸びると踏んだと思われます。「安い」はSPAモデルにより、「早い」は最速20分での提供、「分かりやすい」はどんな度数でも追加料金ゼロ、フレーム表示料金(+税)通りという分かりやすい価格体系で実現しました。

オンデーズの価格

 

こうしてオンデーズはJINSなどと共に「ファストファッション」ならぬ「ファストアイウェア」ビジネスを確立し、メガネ業界を一新します。

徹底したフォロワー戦略

しかしオンデーズはJINSに比べると規模で差をつけられています。JINSは449店舗、売上約504億円(2017年時点)なのに対し、オンデーズは220店舗、売上約150億円(2016年時点)です。ではオンデーズはJINSに対して、どのような戦略を取っているのでしょうか。

1つはフォロワー戦略です。「安い」「早い」「分かりやすい」のサービスは、いずれもJINSに追従しています。JINSが5250円メガネを発売すると、オンデーズは4780円で発売しました。JINSがレンズ追加料金ゼロを2009年に打ち出すと、オンデーズも2011年に追従しています。両社とも積極的に海外進出を行っていますが、JINSが積極的に中国に出店すると、オンデーズは競合をさけ、シンガポール、台湾、フィリピン、マレーシアなどに出店しています。

情緒的価値を追求

2つめは、これは一概にいえないのですが、JINSがより機能的価値を追求しているのに対して、オンデーズはより情緒的価値を追求しているように思えます。
JINSは軽量メガネの「エアフレーム」、パソコン用メガネの「JINS PC」を売り出し、いずれも大ヒット、「JINS=機能性アイウェア」というブランドイメージを獲得しています。2015年には眠気や体調が可視化できるウェアラブルメガネを発売しています。

一方、オンデーズは、JINSに比べてややファッション寄りのように思えます。オンデーズの田中社長はユニクロではなく「ZARAみたいな路線」を目指していると話しています。つまり「有名ブランドのコレクションをいち早く研究し、どこよりも早く流行をキャッチしてすぐに商品開発に反映させていき、売り場をどんどん変えて行く」(田中社長)という戦略です。オンデーズはファッションショー「東京ガールズコレクション」のオフィシャルスポンサーになるなど、ファッション性を打ち出しています。

ファッション性を追いかける先にあるもの

お洒落な女性なぜオンデーズがよりファッション性を追いかけているのでしょうか。それは、低価格を実現することにより、メガネを洋服と同じように何種類も持ち、毎日着替えるような時代になることを目指しているからです。これはJINSの田中仁社長が現状を「洋服ほど頻繁に替えるものにはなっていない」と冷静に分析しているのとは対照的です。ちなみにJINSの田中社長が傾倒しているのはユニクロの柳井正社長です。

メガネ業界は価格破壊によって市場が縮小しましたが、2012年以降持ち直しています。これはメガネ業界各社が、機能的価値、情緒的価値を追求し、新しい市場を開拓しているからとみていいでしょう。

参考

株式会社オンデーズ 代表取締役社長田中修治氏 note

関連記事

「イノベーションのジレンマ」を「両利きの経営」で乗り切る~コダックVS富士フイルムの事例に学ぶ

時として業界をリードする優秀な大企業が、革新的な技術を持った新興企業になすがままに敗れ去ることがあります。ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授は、このことを「イノベーションのジレンマ」と …

RIZAPのブランド価値向上経営への挑戦 のれん代とブランド価値

前期まで急成長を続けてきたRIZAPが、2019年度決算を発表しました。 ライザップ決算、193億円の赤字。膨れ上がったグループ企業の”ダイエット”は最小限にとどまる 個別指導のトレーニングジムなどを …

売上7倍

売上を7倍にした「フルグラ」から学ぶ!マーケティングの目標設定とは?

マーケティングやブランディングが成功しているかどうかを測るためには指標が必要です。今回は、ブランド構築の最後のステップである「マーケティングの目標設定」について事例を交えながら解説します。 マーケティ …

塚田農場

就職内定率100%!学生がアルバイトに殺到する 塚田農場のインターナルブランディングとは?

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。お願い ログイン. あなたは会員ですか ? 会員について

ジャニスウォン

日本初上陸の「ジャニス・ウォン」が提案する「食べるアート」とは!?

(出典:http://www.janicewong.jp/) 3月25日にJR新宿駅南口にオープンした商業施設「NEWoMan」。 日本初上陸のグルメショップが数多くひしめく中、異彩を放ち話題となって …

サイト内検索

ブランド・マネージャ―認定協会サイトへ

Chess
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
打ち合わせ
CI、VI、BIの違いとは?
スターバックスの店舗
【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
ブランディング
ブランディングとは? 「基本的な意味と進め方」について解説!
マトリックス
アンゾフのマトリクスとは? 富士フイルムの事例に学ぶ
キャリアウーマン
ペルソナ設定〜Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」の成功事例からみるペルソナの作り方とは?
印刷会社が進むべき16の事業領域~アフターコロナ時代を見据えて~
マクドナルドとモスバーガー
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
星のや軽井沢
星野リゾートのブランディングから学ぶ!〜理論の実践とは〜
オンデーズの店舗イメージ
「オンデーズ」はメガネ業界のZARAとなるか? 〜JINSとは一線を画すファッション路線〜