Case Study

マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?

投稿日:2015年12月28日 更新日:

1.スピード

マクドナルドによる「ENJOY!60秒サービス」

マクドナルドでは2012年に「ENJOY!60秒サービス」というキャンペーンを行っていました。このキャンペーンは、お会計終了から商品お渡しまでを砂時計で計り、60秒を超えてしまった場合にハンバーガー類と交換できる無料券をプレゼントするというものでした。これはマクドナルドのオペレーションの速さがあったからこそ実現できたものといえるでしょう。

注文を受けてから調理するモスバーガー

一方モスバーガーでは、注文を受けてから調理をしているため時間がかかります。そのため注文後に番号札を渡され、調理後に店員がお客の席まで商品を渡しにきます。あるテレビ番組の調査によるとモスバーガー1個つくるのに7分6秒かかったそうです。

2.価格

次に「価格」ですが、マクドナルドの一番安いハンバーガーは100円とマクドナルドはモスバーガーをはじめ競合他社を価格で圧倒しています。

マクドナルドの「おてごろマック」

2015年10月から始まったマクドナルドの「おてごろマック」では3種のハンバーガーを単品200円、サイドメニューとドリンクが付くセットでもワンコインの500円で提供しています。他にもSサイズのコーヒー、コーラなどのドリンク、ソフトクリームも100円で提供しています。

また、電子クーポンをダウンロードできるモバイル会員数が3,500万を突破していることからもお客が安さを求めていることがわかります。

プレミアム感を打ち出すモスバーガー

モスバーガーでは最安のハンバーガーを220円、一番高いハンバーガーを580円(期間限定のとびきりハンバーグサンド「傑作ベーコン」スライスチーズ入り)で提供しています。こちらでもWeb会員向けにクーポンを配布していますが、不定期で更新されています。

このようにモスバーガーでは、プレミアム感を打ち出した商品販売やクーポンを不定期に配信するなどマクドナルドの低価格路線とは一線を画しています。

3.食の品質管理

モスバーガーの生野菜は全て国産

モスバーガーでは、生野菜は全て国産で、お店には産地、生産者が黒板に明記されています。そのため消費者はモスバーガーに対し「安心・安全」だと感じています。また、注文を受けてから調理しているため、作り立てを味わうことができます。

食の問題が相次いだマクドナルド

一方、マクドナルドでは、2014年の期限切れの鶏肉問題や2015年の異物混入問題で、品質の面で不安に思う消費者も未だ多いのが現状でしょう。WebサイトのQ&Aでは「トマトの鮮度は、ちゃんと保たれているのですか?」など、飲食店として当たり前に行っているであろう品質管理について、心配している消費者の質問が掲載されています。

3つの条件でみてきましたが、それぞれポジショニングの縦軸と横軸に当てはめると

・マクドナルドは「早くて安い」「早いが質がよくない」「安いが質が良くないので不安」
・モスバーガーは「遅くて高い」「遅いが質がいい」「高いが質が良く安心」

というポジショニングを想定することができ、マクドナルドは安さと早さ、モスバーガーは品質に重きを置いているのがわかります。

独自のポジションを確立できたモスバーガー

ハンバーガーを食べる女子

あるネットリサーチの2011年のアンケート※によると、消費者がファーストフードに求めているサービスの重視点は、「価格」59.5%、「スピーディ」56.3%、「清潔感」46.9%が上位3項目となっています。マクドナルドは「スピード」と「価格」でモスバーガーを圧倒しました。しかし、2015年の異物混入問題により、同年10月以降、都心部を中心に閉店が相次ぎ深刻な業績不振に陥っています。

モスバーガー成功の要因

対照的に、2015年上期の売上が対前年比で6.5%増えたモスバーガーの成功の要因は何でしょうか。

マクドナルドの食の問題の影響ももちろんありますが、長年行ってきた取り組みが要因として考えられます。「安くて早い」というマクドナルドと同じポジショニングをするのではなく、モスバーガーは「食の品質管理」に力をいれてきました。生野菜は全て国産にし、農薬や化学肥料に頼らない栽培方法で作られた野菜を使っています。

また先ほどのアンケートによると、モスバーガーは味の項目で男女ともに、ハンバーガーチェーン1位という結果でした。

安心、安全な品質に加え、昨今のヘルシー志向、プレミアム志向、マクドナルドの食の問題などの後押しを受けて、モスバーガーはファーストフードの考え方とは真逆の
「遅くて高いが、それでも食べにいきたい美味しさ」
という正反対のポジショニングをすることにより成功しています。

モスバーガーはますます強いブランドに

今回は機能的価値からポジショニングを考えてみましたが、情緒的価値から考えてみると、モスバーガーは「ヘルシー志向」という面で消費者に支持されていることがわかります。

最近では第3の価値とも呼ばれる社会的価値が非常に大切になっていると考えられています。モスの食育プログラムといった活動は社会的価値の要素が強くみられ、ますます強いブランドとなっていくことでしょう。

ポジショニングはブランド構築に必須な考え方

ポジショニングについて、マクドナルドとモスバーガーを比較した具体例をもとに紹介してきました。ポジショニングは視覚的に競合と自社を相対的に考えることができます。さらに、これまでになかった市場での独自性を打ち出すためにも必須な考え方です。

是非、マーケティング、ブランディングを行う際のアイデアとして取り入れてみてください。

その他 参考になる記事

スペシャルインタビュー 一貫した哲学が支えるモス・ブランドの広がり – 前編

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