Branding Method

コトラーが提唱する5A理論のポイント

投稿日:2018年3月7日 更新日:

カスタマージャーニー
フィリップ・コトラーの提唱する5A理論は、インターネットやSNS時代を反映させた購買プロセスの理論です。企業は顧客の「好奇心」や「親近感」を高まらせて、購買へ、そして見込客の紹介へと導く施策を打つべきです。

オフラインとオンラインの一体化

「マーケティングの神様」と称されるフィリップ・コトラーは2016年、著書『マーケティング4.0』を発表しました。マーケティング1.0は生産主導、2.0は顧客中心、3.0は人間中心のマーケティングを提唱していますが、マーケティング4.0では一転してマーケティングの手法について示し、

「マーケティング4.0とは、企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティング・アプローチである」

(出典:『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』)

としています。ますますオンライン化、デジタル化されている世界において、オフラインのふれあいは強力な差別化要因になると言います。顧客へのアプローチは、WebやSNSが主流であるからこそ、DMなどのアナログのアプローチや、営業パーソンによる「人間くさい」アプローチが差別化につながっていくでしょう。

5段階の購買プロセス

ショッピング帰りのカップル
一方でコトラーは「5A」理論を提唱しています。
消費者プロセス(カスタマージャーニー)には伝統的な「AIDMA」(注目→興味→欲求→記憶→行動)や、デレク・ラッカーが提唱した「4A」(認知→態度→行動→再行動)がありますが、コトラーは

認知(Aware)→訴求(Appeal)→調査(Ask)→行動(Act)→奨励(Advocate)

の5Aと修正されるべきだとしています。すなわち広告や口コミによりブランドを「認知し」、ブランドを識別、記憶し(「訴求」)、友人の評価やネットの検索を通じて「調査」し、購買し(「行動」)、他者に「奨励」する――という購買のプロセスがあるのだから、それぞれのプロセスにふさわしいマーケティング・アプローチをするべきだという考え方です。

そしてコトラーは、

「マーケティング4.0の究極の目標は、顧客を認知から奨励に進ませることである」

としています。

AISASと共通点の多い5A

さてこの5A理論は、確かにAIDMA、4Aとは異なっていますが、とても似た理論があります。日本の電通が提唱した「AISAS」です。AISASとは

注意(Attention)→関心(Interest)→検索(Search)→購買(Action)→情報共有(Share)

です、5AとAISASの5段階を対照させてみると、

■5A
認知(Aware)→訴求(Appeal)→調査(Ask)→行動(Act)→奨励(Advocate)

■AISAS
注意(Attention)→関心(Interest)→検索(Search)→購買(Action)→情報共有(Share)

と、とても共通している部分が多いことがわかります。
あえて、違いを挙げるとすれば、AISASは「検索」と「情報共有」(シェア)というインターネット行動に限定しているのに対して、5Aは「調査」と「奨励」というオンライン・オフラインを問わないより広い定義を用いています。

いずれにせよ現代は、「調査・検索」と「奨励・情報共有」されやすいカスタマージャーニーを作らなければならないということです。簡単に言うと顧客にブランドを調べてもらい、顧客から口コミしてもらう努力が必要だということですね。

コトラーは顧客が「訴求」から「調査」へ進まないのは、顧客の「好奇心」が低いからであり、「行動」から「奨励」へ進まないのは、顧客の「親近度」が低いからだとしています。顧客の好奇心を高めてブランドを調べてもらい、顧客のブランドへの親近度を高めて口コミしてもらう、ここが要のようです。

参考文献

フィリップ・コトラーほか『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』(朝日新聞出版)

関連記事

会計不祥事を起こした企業の存続をかけた復活劇 企業ブランド価値再生

上場企業の会計不正にまつわる、2018年度の調査結果が発表となりました。 2018年度全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査 2018年度(2018年4月-2019年3月)に「不適切な会計・経 …

コロナに勝つための短期勝ち残り戦略フレーム「SCAMPER」 「選択と集中」ではなく「選択を増やすことに集中する」発想の転換     ~ 帝国航空でなくANAホールディングスを事例として ~

COVID‐19ウイルス(通称:新型コロナウイルス)の世界的蔓延から、半年以上が経過しました。収束の気配はまだ見えず、経済活動にも様々な制約と影響が出ていります。 各企業での業績も厳しい結果となり、緊 …

8つのステップ

「ブランド構築のステップ」がイチからわかる!!【編集部厳選の記事まとめ】

再現性を持った型である「ブランド構築のステップ」は、日本で唯一、ブランド・マネージャーを養成する専門機関であるブランド・マネージャー認定協会の独自のカリキュラムであり、数多くのブランド構築の現場で用い …

ランドセルをもつ孫と祖父母

「6ポケット」と「ラン活」で活性化するランドセル市場

ランドセル市場が活況を呈しています。その理由を考えていくと、成熟化にむかう日本の中小製造業においても、大いにビジネスチャンスがあることがわかります。 少子化のなかで成長するランドセル市場 少子高齢化社 …

スマホを持つ女性

デジタルマーケティングの鍵となる「YWN」とは

デジタルマーケティングの時代、ネット上で自社の製品やサービスを力強くリコメンドしてくれるインフルエンサーの重要性はますます増しています。仮に自社の製品のボリュームゾーンが中高年層であっても男性層であっ …

サイト内検索

ブランド・マネージャ―認定協会サイトへ

Chess
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
打ち合わせ
CI、VI、BIの違いとは?
スターバックスの店舗
【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
ブランディング
ブランディングとは? 「基本的な意味と進め方」について解説!
マトリックス
アンゾフのマトリクスとは? 富士フイルムの事例に学ぶ
キャリアウーマン
ペルソナ設定〜Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」の成功事例からみるペルソナの作り方とは?
印刷会社が進むべき16の事業領域~アフターコロナ時代を見据えて~
マクドナルドとモスバーガー
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
星のや軽井沢
星野リゾートのブランディングから学ぶ!〜理論の実践とは〜
オンデーズの店舗イメージ
「オンデーズ」はメガネ業界のZARAとなるか? 〜JINSとは一線を画すファッション路線〜