ブランディング応用

売上が7年連続アップ!地元に愛されるお店づくりのポイントとは?

投稿日:2016年12月9日 更新日:

たんと

どこの地域でも地元の人たちに愛されているお店はありますが、「昔からあるお店だから」という理由だけで繁盛しているわけではありません。そこで今回は、2003年に浜松で開店し、地元の方に愛され売上も7年連続で伸びている鉄板焼き屋「濱松たんと」の例から、地元に愛されるためのポイントを学んでいきます。

地元への想いからスタートした「たんと」

静岡県浜松市内に3店舗を構える「遠州男唄 濱松たんと」(以後たんと)2003年に鉄板焼き屋としてスタートした「たんと」は、開店から数年で焼肉店や魚料理店などの店舗を増やし、2008年には法人化も果たしました。

そんな順風満帆の中で、代表である山田氏が飲食店を始めた原点である「浜松のおいしい食材をいかした飲食店で浜松を元気にしたい」という想いを振り返り、今こそその想いを実現する時だと思い立ったことが、店舗リニューアルとブランディングへとつながっていきます。

地元色を強調した看板メニュー

看板メニュー

浜松では、餃子といっしょにホルモンを食べるのが一般的でした。しかし、あたりまえすぎて浜松ならではのものという意識がありませんでした。そこで、この2つのメニューを看板メニューに鉄板焼き屋をリニューアルオープン。浜松を強く打ち出したおかげでお店の売上は伸びましたが、自己流のマーケティングに限界を感じた山田氏は、ブランドコンサルタントと二人三脚でブランディングを進めていきます。

同業種だけにとどまらないポジショニング

まず行ったのは、マーケティング手法である3C分析ポジショニングです。

自社と直接競合する飲食店を比較し、30以上のポジショニングを行いましたが、差別化のポイントや自社の立ち位置がはっきりとしなかったため、今度は業種を問わず浜松の地元に根ざした企業に目をむけてポジショニングを行いました。すると、立ち位置が明確になり、お店の目指す姿はただの居酒屋ではなく、遠州の誇りを伝えることができる存在になることだと気づいたのです。

その結果、「たんと」はブランド・アイデンティティ※を「遠州人の自慢したくなる酒場」と定めました。

※ブランド・アイデンティティとは、お店の特徴をはっきりと打ち出し、「顧客にどう思われたいか」を明確化するもの。

詳細なペルソナ設定

そして、顧客自身のことも考えていきました。ここでは、ターゲットの中から更に詳細な人物像であるペルソナを設定します。

具体的には、

・生まれも育ちも浜松市
・年齢は47歳
・家庭をもった男性サラリーマン
・普段は真面目だが、浜松っ子が心待ちにする祭りには燃える祭り好き。
・浜松に来た大切な友人をもてなすときや、家族とちょっとしたお祝いで乾杯するときに、たんとを訪れ、遠州料理を自慢しながら楽しむ

(出典:商業界2015年12月号)

など、ペルソナの人柄や趣向まで考えていきました。

「遠州人の自慢したくなる酒場」を軸にしたお店づくり

こうして、ブランド・アイデンティティとペルソナ設定ができ上がったところで、「遠州人の自慢したくなる酒場」のための具体的なお店づくりを開始することになります。たんとでは、次のような試みを行いました。

・「遠州料理」という新たなカテゴリを命名
・メニューの大幅な改訂と絞り込み
・メニューはお店の想いを伝えるツールとして活用
・お店のコンセプトを歌にした「遠州男唄」を作り、山田氏が自ら歌うCDを店内で放送。

たんとのテーマ

メニューの大幅な変更や新しい試みは勇気がいることですが、ブランド・アイデンティティという軸があることで、それを基準に正しいのか正しくないのか判断を行うことができます。お店の中では「遠州男唄」が流れ、メニューには遠州の魅力や遠州料理の説明を載せることで一貫してコンセプトを発信できるようにしました。次にお店の要となる「遠州料理」とは具体的にどういったものなのかを見ていきます。

「遠州料理」メニューの開発

遠州料理

浜松餃子とホルモンに加え、地元遠州の夢ポークを使った「ごろ焼」を新開発し、「遠州料理」3大看板メニューを提唱。さらに地元民の嗜好と産地にこだわったメニューづくりとして、「かつお刺身」(地元ではマグロよりカツオが好まれるため)や地元三方原のジャガ芋を使った「じゃがバター」や遠州風のお好み焼き「遠州焼」などもメニューに組み込み、この6品以外は箸休めの料理として区分けしました。

ペルソナの好みを追求

遠州料理というカテゴリをつくると同時に、徹底したのはペルソナの好みを追求することでした。

・創作料理ではなく、素材の味を生かしたシンプルなメニュー
・ころころ変わるメニューではなく、定番の「いつものメニュー」
・興味のないデザートはメニューから減らした。

こうしたブランディングの結果、以前までは5対5であった男女比から、男性客が97%と大幅に客層が変化。看板メニューも大人気となり、ほとんどのお客が看板3品をオーダー。また、フードメニューの8割が看板メニューとそれに次ぐ3品で、メニューの大幅な改定と絞込みが功を奏しました。

誇りを持ったスタッフ

元々スタッフの入れ替わりが激しいことが課題だった「たんと」ですが、ブランディング成功の原動力となったのは、スタッフの変化でした。
ブランド・アイデンティティである「遠州人の自慢したくなる酒場」がスタッフの行動指針となり、スタッフは遠州人が自慢したくなる人を目指すようになりました。外部講師を招いた社内研修では、遠州人としての身だしなみや立ち居振る舞いの指導も行っています。

こうして、お店のブランド・アイデンティティがスタッフへと浸透し、自信をもってメニューも薦めることができるなど、お店に誇りを持ったスタッフが育つことで定着にもつながっていきました。

山田氏は次のように語っています。

「大事なのは、スタッフ全員に徹底させることですが、うちのブランディングは「遠州人の誇り」なので、シンプルでわかりやすかった。腑に落ちると、動き方、働き方がまったく違ってきます。何が遠州の誇りなのか、どうすれば自分が遠州の誇りになれるかを考えればいいのですから。だから全員が生き生きと輝いています。」

(出典:商業界2015年12月号)

今回は、地元に愛されるお店がどうやってできたかを見てきました。是非、参考にしてみてください。

その他 参考になる記事


・「「遠州男唄 濱松たんと」のブランド構築」

-ブランディング応用

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