Branding Method

ハーモニカ横丁と日本の教育 個性重視の教育と文化の結果、生み出されたもの

投稿日:2019年9月26日 更新日:

西東京にある多くの人を惹きつける街、吉祥寺。
毎年恒例の住みたい街ランキングでも、常に上位に入る人気の街です。

関東 住みたい街ランキング2019
https://suumo.jp/edit/sumi_machi/2019/kanto/

1位横浜、2位恵比寿、3位吉祥寺となっています。

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若者が多く集うこの街ですが、ひときわ賑やかな一角があります。個性的な店が沢山あることで有名な、ハーモニカ横丁です。

ハーモニカ横丁

吉祥寺駅北口の目の前に「ハーモニカ横丁」はある。

名前の由来は、狭い間口の商店が並ぶ様子がハーモニカの吹き口に似ていることから名付けられたといわれている。

横丁に並ぶ約100件の店は小さな古い店が多い。昼間は買物客で魚屋、花屋、和菓子屋などの物販店がにぎわい、夜は飲食店、居酒屋などが盛況する。

1945年(昭和20年)に駅前マーケットが出現したのが始まりで、いわゆる戦後の「闇市」と言われたものがハーモニカ横丁のルーツとされる。

近年の横丁の商店街のおもな活動としては、秋祭りの子どもみこし、毎月開催されている朝市などがある。これらは商店街の若手らが活動している。

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今でこそ賑わいをみせるハーモニカ横丁ですが、かつては狭くて薄暗く、どことなく怖い雰囲気の横丁だったようです。その横丁が変わったきっかけとなったと多くのメディアで語られているのが、アジア料理を提供するハモニカキッチンの存在です。

開放的で明るく、なんでもありのゆるくて優しい雰囲気を持つハモニカキッチンは、横丁の雰囲気を変え、新しい顧客の開拓に成功しました。特に、若い女性客の増加が、横丁の変化に大きな影響をもたらしたようです。

では、ハモニカキッチンは、なぜここまで受け入れられたのでしょうか。いくつか要件はあるのでしょうか、日本の教育の変化も一つの要素として挙げられるでしょう。

1992年から2010年にかけて、いわゆる「ゆとり教育」というものが行われたと言われています(1980年からという説や、2002年からという説もあります)。この間に小中の義務教育を受けた世代が、ゆとり世代といわれています。

賛否両論のある教育方針ではありましたが、特に重視した教育内容は「生きる力」の獲得であり、個性を重視し自らの感覚や判断を大切にし、自分で調べて行動する人間の育成であったようです。そのような、いわゆる「ゆとり教育」を受けた世代も、現在では社会人として活躍する年齢となっており、多くの若者が集う街である吉祥寺も、当然その文化の変化と影響は受けているものと思われます。

吉祥寺は、東京の街にしてはチェーン店が他の街よりも少ない印象があります。特にハーモニカ横丁は、個人店が多く点在しています。それは個性重視の傾向がある若者が、その街にしか存在しない個性を重視した文化を強く支持するということであり、日本の教育結果も背景にあるのではないでしょうか。

チェーン店の良いところは、いつでも、どこでも、同じ値段で、同じ味や同じサービスが受けられるところです。常に一定のサービスが保障されており、安心してサービスが利用できます。これは、その事業が信頼され、ブランドとして成立しているともいえます。その反面、どこにでもあるチェーン店は没個性的な印象を持たれ、希少価値は低くなります。これはブランドの安定性と信頼性が、逆作用してしまうということです。

個人店は、その都度提供するサービスや値段が変わる可能性もあります。どこにでもある店ではないため、わざわざ店がある場所まで出向かなくてはなりません。しかしその代わりに、そこでしか体験できない味やサービスが存在します。場合によっては、お店自体がいつ無くなるかわからないため、いま、そこで、その瞬間にしか、その店のサービスを楽しめない可能性もあるわけです。

現在、ハーモニカ横丁は利用者だけでなく、自らお店を運営し、サービスを提供する側に回る若者も増えてきています。これは、お店やそのサービスを提供する個人がブランド化し、それを支持する顧客が増加している可能性があることを意味します。

高度成長期からバブル崩壊を経てデフレ時代に至るまで、チェーン店は「安心できるブランド」として一定程度の成長を遂げていましたが、最近ではある程度の規模まで店舗網が拡大すると、逆にチェーン店の経営が厳しくなる時代となっています。

組織力によるブランドに対し、個人としてのブランドが互角に対峙する時代が今後はやってくるのかもしれません。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/ 

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