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Branding Method

地方創生成功のカギを握るブランド戦略とは?

投稿日:2016年10月28日 更新日:

地方創生

(出典:http://shimanto-drama.jp/

「地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する」という命題のもと、安倍政権が進めている地方創生。地域によっては、早くから地域活性化の取り組みを行って成功している例もありますが、まだまだ数少ないのが現状です。今回は、四万十川流域にある資源を活用し、商品化、販売を行いながら地域を活性化する取りくみを行っている株式会社四万十ドラマが実現した、地域生残りをかけたブランド戦略について考えていきます。

日本一人口減少が進んでいる高知県

最も先行して人口減少や超高齢化に直面していると言われている高知県(人口の自然減は15年、高齢化率では10年全国より早い)。その影響により、県内の市場も縮小するという負のスパイラルが懸念されています。

そんな中、高知県では、県外や海外に物を売って外貨を稼ぐ「地産外商」を中心に、下記の対策を進めています。

①地産外商(産業の育成=地産、県外販売=外商、県内外貨獲得=観光)による所得・雇用確保
②新しい人の流れ=移住(人口増のみならず地域の活性化につながる「人財」の確保)の促進
③若い世代の結婚・妊娠・出産・子育ての希望をかなえ女性活躍の場を拡大
④コンパクトな中心部と中山間地域の小さな拠点で人々の生活やコミュニティを守る

これを見てわかるように「地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する」と一言で言っても、産業や観光、移住や社会保障など、課題は多岐に及んでいます。

次に、全国各地から視察が殺到しているという高知県にある株式会社四万十ドラマの成功例を見ていきます。

株式会社四万十ドラマの成功

株式会社四万十ドラマ

(出典:http://shimanto-drama.jp/

高知県の四万十町にある株式会社四万十ドラマ(以後四万十ドラマ)。1994年に3つの地元自治体が共同出資した第三セクターとしてスタートし、当初、社員は現社長である畦地(あぜち)氏ひとりだけでした。原材料を生産するだけの1次産業ではなく、加工からデザイン、販売・流通まで行う、6次産業の形態をとっており、事業開始から3年後には、ひのきの間伐材や端材に、ひのきオイルを染み込ませた「四万十のひのき風呂」を大ヒットさせました。

ひのき風呂

その後も「しまんと緑茶」や「しまんとほうじ茶」、四万十栗をつかったスイーツなど、四万十の旬の素材を生かした商品を販売し、次々とヒットさせています。

ローカル・ローテク・ローインパクトという考え方

なぜ、四万十ドラマは四万十川流域の自然素材にこだわるのでしょうか。
それには、創業当初からの経営理念であるローカル・ローテク・ローインパクトという考え方がありました。

・ローカル「四万十川を共有財産として豊かな生き方を考える」
・ローテク「地元の素材・技術・知恵にこだわったものづくり」
・ローインパクト「四万十川に負荷をかけずに風景を保全しながら活用する」

この経営理念のもと、地元の素材を地元で加工し売上を伸ばしていった結果、2005年には行政から完全独立。現在では、従業員が30人以上となり、売上は6億円(2016年3月期)を超えています。

つながって、続けていく

四万十ドラマ概要

四万十ドラマのWebサイト上に「地域のあしもとにあるものを”みつける”」と記載がある通り、四万十にある栗や森林など豊かな自然環境の価値を見つけだし、ブランド力のある商品をつくりあげ広めていくことで、6次産業を推進することができました。そして、商品が売れたからこそ、雇用が生まれ、若い人が地域で働き、資源である森林を守っていけるという良い循環ができたのです。

しかし、単に良い物があれば、すべてうまくいくわけではありません。「みつける」「そだてる」「つくる」「うる」「ひろめる」「つなげる」という一連のブランド戦略のもと行うことで、成功につながっていくのです。
PRの専門家として「ひこにゃん」「うどん県」「佐世保バーガー」などのPRを手がけてきた殿村美樹氏は、地方活性化のためのPRの理想についてこう語っています。

「その土地の魅力を発掘し、一時的ではなく、永続的に情報を発信すること」

さきほどの図からも明らかなように、正にこれを実践しているのが四万十ドラマです。
実際に四万十の魅力を“ひろめる”活動として、四万十川流域に住む人々の暮らしぶりや文化を伝える会員誌を発行したり、自然の学校を開催したりするなど、四万十川にしかない魅力を継続的に伝えています。

四万十川ドラマが提案する地元発着型産業

高知県が抱える課題に対して、いち早く取り組んできた四万十ドラマ。四万十の資源から生まれた商品が世の中を循環し最後は地元に着地する、という一連の取り組みを社長である畦地氏は「四万十川方式 地元発着型産業」と名付けました。

地元産業型

そして、畦地氏は次のように語っています。

「発信した商品を購入した方が、ここに来てもらえるような産業を構築したい。そうやって交流を広げていきたい」

このように四万十川ドラマは、商品開発を起点として、雇用や観光など数々の課題解決へとつながる産業を目指しているのです。

地方創生とブランディングの関係

地方創生の成功例として、四万十ドラマを見てきました。その土地の魅力を発掘するという考え方は、独自の強みを見つけ差別化していくブランディングの活動と似ています。
また、地方創生の中でも6次産業では、地元産品を原材料として出荷するだけではなく、商品開発を行うことが重要になるため、よりブランディングの考え方を取り入れる必要があるでしょう。

 

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