Case Study

製造業からサービス業へ~トッパン・フォームズとプロネクサスに学ぶ~

投稿日:2018年3月21日 更新日:

走る男

今回は印刷業界のトッパン・フォームズとプロネクサスの2社の事例から、「製造業」から「サービス業」への転換のあり方を考えてみます。

印刷付帯サービスを取り込んだ2社

「製品からサービスへ」と唱えられて久しいと思います。
もちろんスマートフォンのiPhoneや電気自動車のテスラ・ロードスターなど、革新的な製品で大きな利益を上げている会社はたくさんあります。しかし技術革新が速く製品がコモディティ化(低価格化)しやすいなか、製品だけで利益を上げるのは難しい時代になってきました。

そこで製品の「付帯サービス」をいかに取り込むかが重要になってきます。例えば自動車のディーラーならば、新車の売り上げだけでなくメンテナンスなどのアフターサービスでいかに売り上げを挙げるのかが重要になってきています。

例えを挙げましょう。コモディティ化している製品の1つが印刷物です。印刷機の自動化や平準化により、品質での差別化が難しくなった結果、印刷物の低価格化が進み、印刷会社は利益を生み出しにくくなっています。
そんななか、果敢に付帯サービスを取り込み、大きな飛躍を遂げた印刷会社の事例を2社、紹介します。

事例1.トッパン・フォームズ

トッパン・フォームズ

トッパン・フォームズはもともとビジネスフォーム、つまり帳票類を作成する会社でした。帳票を製造して納品するだけでしたので、中のデータは顧客がプリンターで印字したり、手書きで入れたりしていたわけです。
そこからトッパン・フォームズは、企業からデータを預かり、データを加工して、印字するまでを請け負うようになりました。そこから派生して、請求書のデータ管理・編集から印字・封入・封かん、発送までをワンストップで受託するサービスを開始しました。これを「データ・プリント・サービス」(DPS)と言います。

さらにDPSからBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、つまり顧客企業のノンコア業務まで請け負ったのが特徴です。
例えばマイナンバー提出書の発送・収集業務の一切をトッパン・フォームズが請け負っています。マイナンバー提供書の製造・発送から、返送されてきた提供書のスキャニング、データ入力、さらには問い合わせに対するコールセンターまで請け負っています。

こうしてトッパン・フォームズは単なる帳票類の印刷会社ではなく、データ管理からコールセンターまでを一手に請け負うBPO会社に成長しています。クライアントの業種はエネルギー・自治体・大学・銀行・クレジット・生命保険・損害保険にまでおよび、売上高は2577億3400万円(平成29年3月期)に達しています。

事例2.プロネクサス

プロネクサス

プロネクサスの前社名は亜細亜証券印刷といい、証券印刷を主に手掛けていました。しかし株券の電子化により2009年から印刷された株券が無効になるなど、証券のペーパーレス化が進んでいきます。
同社では上場企業のディスクロージャー(企業が投資家や取引先などに対し,経営内容に関する情報を公開すること)の関連書類の印刷なども手掛けていました。

そこで同社は書類の作成から、ディスクロージャー支援へと舵を切ります。公認会計士などディスクロージャーに精通した専門家が開示書類の作成を支援、チェック、アドバイスするコンサルティングを事業の柱に据えたのです。
上場会社のディスクロージャー支援は専門性が高く、ニッチな市場であり、プロネクサスは競合の宝印刷とシェアを分け合っています。

ワンストップサービスが鍵

付帯サービスを取り込む鍵は「ワンストップサービス」です。
トッパン・フォームズの事例では、顧客はそれまで、帳票製造会社から帳票を納品し、IT会社にデータを編集してもらい、自社か印刷会社でデータを印字し、物流会社で封入・発送してもらう必要がありました。また請求書や明細書の問い合わせは自社の経理部かコールセンターを設けなければいけませんでした。そういったサービスを、丸ごと1社にアウトソーシングすれば、顧客は煩雑な発注作業から解放され、コア事業に集中しやすくなります。

プロネクサスにおいても、ディスクロージャーのコンサルティングから関連書類の作成まで一手に引き受けてくれるのは、顧客にとってありがたいでしょう。
あなたの会社の顧客にも、煩雑な業務に追われ、主力事業に集中できていない会社は多いと思います。

例えば出版社ならば在庫管理、学習塾ならテストのペーパーの印刷や採点、大手の総務部ならば複写業務の代行――などです。そういった細かな仕事を一手に引き受けるワンストップサービス会社への転換を考えてみてはいかかがでしょうか。

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