ブランディング基礎

ブランディングとは? 「基本的な意味と進め方」について解説!

投稿日:2018年5月16日 更新日:

ブランディング
顧客に商品を認知し、ロイヤルティ(忠誠心)を高めてもらうには「ブランディング」は欠かせません。しかしブランディングといっても、一言では説明できないあいまいさがあるのではないでしょうか。今回はブランディングの意味と意義、そのステップについて解説します。

ブランド/ブランド構築とは

まずブランディングについて考える前に、「ブランド」について定義しましょう。

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会ではブランドを次のように定義しています。

ある特定の商品やサービスが消費者・顧客によって識別されているとき、その商品やサービスを「ブランド」と呼ぶ

この定義からわかることは、ブランドとは、消費者や顧客の心の中にしか存在しないものであるということです。企業がいかに「この商品はいい」「このサービスは価値がある」と唱えても、消費者・顧客がそれを認めてくれなければブランドとはいえません。
ですから、ブランド独自の価値を磨いた上で、それを消費者・顧客に認めてもらう活動を行う必要があります。その活動がブランド構築です。
つまりブランド構築とは次のように定義することができます。

ブランド構築とは消費者・顧客が心の中にいだく心象(ブランド・イメージ)と、企業が製品・サービスによって提案したいブランド独自の価値(ブランド・アイデンティティ)を近づけ、一致させる活動です。

(出典:同文館出版「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

企業がブランド・アイデンティティを掲げるだけではだめで、それと消費者・顧客のイメージとを一致させるように活動しなければならないということです。「こう思われたい自分」を顧客の心の中に育むことが必要なのですね。

ブランド要素とブランド体験

ブランド独自の価値を認めてもらうためには「ブランド要素」と「ブランド体験」により、消費者・顧客の心を刺激する必要があります。
ブランド要素とは、ブランドを識別させるコントロール可能な最小単位の要素であり、主な機能は「他の製品・サービスと区別する手段」です。ですからブランド要素として機能しているか否かは、消費者・顧客がその要素に触れたときに、ある特定のブランドを思い起こすかが基準となります。

ブランド要素にはさまざまなものがありますが、ここでは代表的なものを9つ挙げます。

  • ネーミング
  • ロゴマーク・ロゴタイプ
  • ジングル・音楽
  • キャラクター
  • ドメイン(URL)
  • キャッチコピー
  • パッケージ
  • 匂い

ブランド体験は、消費者・顧客がブランドと接するあらゆる機会のことです。広告・ホームページなど企業の販売促進活動から、実際の利用体験までを含みます。
この「ブランド要素」と「ブランド体験」によって、その製品・サービスに何ができるか、他のブランドと違って何が特別なのかを伝えなければなりません。

ブランドのメリット

ブランドのメリットは次のようなことが挙げられます。

消費者・顧客にとっての利益

探索コストの低減

ブランド想起で素早く情報が得られることによって、製品・サービスに関して、時間を使ってあれこれ調査したり、労力を使って検討したりする必要がなくなります。

価値の獲得

「機能的価値」だけでなく、「情緒的価値」も得られます。例えばトラックでは、顧客は耐久性や安全機能、オプションや出力といった「機能的価値」だけでなく、「かっこいい」「運転が楽しい」「パワフルな感じがする」といった「情緒的価値」が得られます。

自己イメージの投影

ある特定のブランドを購入・使用することにより、消費者・顧客がそのブランドに抱いているイメージと自分自身を重ね合わせます。そのことにより、自分がどのようなタイプの人間なのか、どのようなタイプの人間になりたいのかを他者に伝える手段となります。

さまざまなリスクの回避

以下のリスクが回避されます。

機能的リスク 購入した商品が、購入者が期待した機能を果たさない。
身体的リスク 購入した商品が、使用者や周囲の人々の健康や身体に危害を加える。
金銭的リスク 購入した商品の提供する価値が、支払った価格に見合わない。
社会的リスク 購入した商品が、社会的な迷惑をもたらす。
心理的リスク 購入した商品が、使用者の精神・心理に悪影響を及ぼす。
時間的リスク 選択の失敗などにより、他商品を探索するという機会費用が発生する。

企業にとっての利益

競合商品・サービスとの差別化

ブランドへの投資により、固有の連想と意味を付与することで他社製品と差別化を図ることができます。差別化に成功すれば、満足した顧客は再購買が容易になります。このことで参入障壁を築くこともできます。

付加価値の向上と価格決定権

利益獲得に有効な価格設定を行うことができます。

法的保護を受けられる

登録商標(例:ブランドネーム)、特許権(例:製造プロセス)、意匠権(例:パッケージデザイン)、著作権(コンテンツ)などにより法的保護が受けられます。
その他にも、自社内の意思統一と社員モチベーションの向上やビジネスパートナーの協力、採用活動の効率化が期待できます。

ブランド構築のステップ

ではブランド構築はどのようなステップを踏めば構築できるのでしょうか。
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会では8つのステップのフレームワークを用意しています。それぞれのステップを解説しましょう。

環境分析による市場機会の発見

まずはマクロ環境の分析を「PEST分析」によって行います。
PEST分析とは、

  • 規制緩和などの政治的(Political)な要因
  • 景気・為替などの経済的(Economic)な要因
  • 流行・世論などの社会的(Social)な要因
  • AIなどの技術的(Technological)な要因

が、自社にとってプラスかマイナスかを整理することです。

続いてミクロ分析を「3C分析」で行います。
3Cとは自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)の3つの情報を収集・整理し、市場における事業発展の機会がどこにあるのか仮説を立てます。
当フレームワークでは3つの輪が重なるフレームを設け、その3つが重なり合う部分は価格競争となるので避けるべきとし、「自社」と「顧客」が重なるが、「競合」が及ばない領域を市場機会ととらえています。

市場細分化

市場を年齢、性別、職業、居住地域、家族構成…などの要素でセグメンテーション(細分化)することです。まずはターゲティングのことは考えず、あくまでも市場を分けることに集中します。

見込み客の選定

セグメンテーションにより細分化した市場から、自社の事業・製品・サービスを、最も評価してくれる見込み客を選定します。選定後は、属性群をまとめた「属性リスト」を作ります。
さらに属性リストから具体化した人物像「ペルソナ」(ターゲット顧客のプロファイリング)を作ります。
さらに、ペルソナの心の中で、どのようなイメージの連想・連結が起こっているのか、ペルソナになりきって「連想マップ」を作ります。連想マップとは、ワードから連想するワードを枝葉のようにつなげていく発想ツールで、連想の結びつきが強い部分などをチェックし、キーワードになりそうな言葉はポジショニングマップで活用します。

独自性の発見

価値観ごとの軸を2軸作り、2軸を交差させた図をもとに、競合しない自社のポジショニングを決めます。ペルソナの心の中で独自性を築ける立ち位置を見つけることがポイントになります。またペルソナに競合と比較されても自社が優位なポジションに立つように軸を作ることも大事です。

ブランド・アイデンティティ

「ポジショニング」によって見出された自社の独自性を端的な言葉で表現します。自社がブランドとして、ターゲット(ペルソナ)にどう認知されたいかという旗印となる言葉で表します。
例えばスターバックスは「サードプレイス」、コカ・コーラは「前向きな楽しい気分へとスイッチする炭酸飲料」です。
ポイントとしては、キャッチコピーではないので、奇をてらった言葉やインパクトのある言葉を使う必要はないことや、いったんフレームワークの「3C分析」までさかのぼって整合性に問題がないかを検証することが挙げられます。

具体化

製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、告知(Promotion)の4Pを決めます(4P分析)。また顧客視点に立った4C分析も行うことで、企業視点と顧客視点の両方から自社製品を整理し、独自性を強化するための分析を行ったり、具体化戦略を練ったりします。

刺激の設計

ブランド・アイデンティティに基づき、ブランド要素とブランド体験を設計します。

目標設定

「3C分析」などで設定した顧客と「ブランド・アイデンティティ」から判断して、いつまでに、どれくらいの実績を目標とするのかを明らかにします。

まとめ

ピーター・ドラッカーは「マーケティングの狙いはセリング(売る行為)を不要にすることだ」と述べています。マーケティングとは「売れる仕組みづくり」といえるでしょう。
一方、ブランディングは、商品を認知・連想してもらい、ブランド・ロイヤルティ(ブランドへの忠誠心)を持ってもらうことで「売れ続ける仕組みづくり」を構築するものといえるでしょう。
ブランドは消費者・顧客の心の中でしか存在しないという意味では、徹底した顧客志向です。「ブランド・アイデンティティ」を単に掲げるだけでなく、そう思ってもらえるようなブランドにするためにさまざまなブランド要素やブランド体験を駆使するとともに、ブランドが指し示す製品やサービスも、つねに磨き続けなければなりません。

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