Case Study

ディズニーランドから学ぶ!ブランドのルールとは!?

投稿日:2016年6月24日 更新日:

ディズニーランドの光景

2015年に開園30年を迎えた東京ディズニーランド(以後ディズニーランド)。「夢と魔法の王国」をコンセプトに掲げ、例年、国内テーマパーク来場者数1位と不動の人気を誇っています。今回は、キャストと呼ばれるスタッフが、どのようなルール(推奨規定・禁止規定)で「夢と魔法の王国」という世界観を守っているかをご紹介します。

ブランドのルール=推奨規定・禁止規定とは

ブランド・マネージャー認定協会では、推奨規定・禁止規定を下記のように定義しています。

ブランドの価値観、思想、ミッションなどを全員で共有し、実際の営業や運営に反映していくためには、そのガイドラインとなる推奨規定と禁止規定を設定する必要があります。

推奨規定とは、このブランドを扱う際に、どのような行動を取るべきなのかを言語化したものです。禁止規定とは、このブランドを扱う際にしてはならないことを言語化したものです。

(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

この言語化をするために、「絶対にやること(推奨規定)」「絶対やらないこと(禁止規定)」を、「ヒト」「ワザ」「コト」「モノ」それぞれにおいて決めていった例が下図です。

 

ブランドのルール

(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

ディズニーランド独自の行動規準「SCSE」

ディズニーランドでは、お客をゲスト、園内で働くスタッフのことをキャストと呼んでいます。
そして、キャストには、「SCSE」と呼ばれる独自の行動規準があります。

行動基準「SCSE」

【Safety(安全)】
安全な場所、やすらぎを感じる空間を作りだすために、ゲストにとっても、キャストにとっても安全を最優先すること。

【Courtesy(礼儀正しさ)】
すべてのゲストがVIP”との理念に基づき、言葉づかいや対応が丁寧なことはもちろん、相手の立場にたった、親しみやすく、心をこめたおもてなしをすること。

【Show(ショー)】
キャストが、あらゆるものがテーマショーという観点から考えられ、構成されているテーマパークのショーの一部として、身だしなみや立ち居振る舞い、施設の点検、清掃など、「毎日が初演」の気持ちを忘れずに、ショーを演じ、ゲストをお迎えすること。

【Efficiency(効率)】
安全や礼儀正しさ、ショーを無視して効率を優先しても、ゲストにハピネスを提供することはできないことから、安全、礼儀正しさ、ショーを心がけ、チームワークを発揮することで、効率を高めること。

こういった心構えや安全性などについての行動規準があることで、ディズニーランドの「夢と魔法の王国」というコンセプトが守られています。

ディズニーランドの「推奨規定・禁止規定」

ディズニーランド

それでは、行動基準「SCSE」と実際のサービスから、具体的にキャストが守っているルールを「絶対やること」「絶対やらないこと」に分けて考えてみます。

絶対やること

・不具合や不安全状態が起こる前にアトラクションを止める(不具合が起こってからでは遅い)

・キャストの役割は、「ゲストにハピネスを提供すること」(ディズニーランドの理念でもある)

・キャストには、配役が与えられている。それぞれの施設やアトラクションなどに沿って与えられた役を演じることで、キャスト自身もショーの一部としてディズニーランドの世界観をつくりあげる

・キャストとしての役割やディズニーフィロソフィー(哲学)を知っている(入社時に必ずディズニーフィロソフィー(哲学)を学ぶ。)

・マニュアルに縛られず、ゲストにハピネスを提供する方法を考える(具体的には「I have アイデア」という、キャストがアイデアを提案する試みを行っている)

絶対やらないこと

・ゲストの転倒を防ぐため、しゃがんだままで掃除をしない

・「わかりません」を言わない

・間違った知識や礼儀を欠いた言動でゲストの夢を壊さない

・世界観を壊さないため、迷子のお知らせの放送をしない。迷子はキャストが連携して探す

ディズニーランドに行ったことがある方であれば、実感されている項目もあるのではないでしょうか。ここでは、一例を挙げましたが、他にもキャストしか知らないルールがたくさんあることでしょう。

ブランドのルールを作ることの効果

ディズニーランドならではのルールを見てきましたが、こうしたルールは、あくまで、理念である「ゲストにハピネスを提供すること」とコンセプトである「夢と魔法の王国」を実現するためにあるものです。

そして、行動基準「SCSE」の中で第一としているのは安全性です。当然ですが、何か事故やトラブルが起きれば、ゲストも夢から覚めてしまうからです。SCSEを実際に遵守しているキャストは、ゲストに魔法をかけるとともに、魔法がとけないように守っている存在といえます。

創業者であるウォルト・ディズニーは、次のような言葉を残しています。

世界中でもっともすばらしい場所を夢見て、創造することはできる。設計し、建設することもできるだろう。しかしその夢を実現するには人々の力が必要だ

今回はディズニーを例として挙げましたが、この「推奨規定・禁止規定」が一般的なマニュアルと異なる点は、「絶対やること」「絶対やらないこと」という譲れないルールのみを明確に定めている点です。それ以外は理念やコンセプトに沿った行動を従業員が柔軟に考え状況に応じて選択できるよう、従業員を信頼した上で“余白”を残しておくことが、従業員がモチベーションを向上させながら主体的に働いてくれることに繋がります。
それによってサービスの質も向上し、ブランドがさらに磨かれるという好循環が生まれていくのです。ブランドをつくる際には、ぜひ推奨規定・禁止規定まで考えてみてください。

関連記事

無印良品

無印良品の「これでいい」ブランドコンセプト

無印良品は1980年にスーパーマーケット西友のプライベート・ブランドとして出発、1989年に「株式会社良品計画」のブランドとなり、翌1990年に本格的に小売業として展開を始め、現在は全世界で900店舗 …

ブランド認知

ザ・プレミアム・モルツの成功例から学ぶ!ブランド認知とは!?

仕事に疲れて帰宅する際、「ビールが飲みたい!」と思ったら、真っ先に思い浮かぶブランドは何でしょうか。キリン一番搾りであったり、サッポロ黒ラベルであったり、アサヒスーパードライであったり…それは人によっ …

「大戸屋」と「コロワイド」。あなたならどう分析する? ~内部資源分析手法を使って競合分析を試みる~

今回、コロナで大きなダメージを受けている外食産業の中から、似て非なる「大戸屋」と「コロワイド」について、分析フレームを使いながら検証を試みたいと思います。 その理由に、先日この2社間では、経営権を巡る …

ヤッホーブルーイング

クラフトビールシェアNO.1「ヤッホーブルーイング」のブランディング術 〜社員もファンもチームの一員へ〜【前編】

(出典:http://http://yohobrewing.com/) 今回は、クラフトビールブームの先駆者で、日本を代表するクラフトビール「よなよなエール」を生んだ、ヤッホーブルーイング(以後ヤッホ …

スターバックスとエシカルブランディング プレミアムラインの論拠と証明

スターバックスが1995年に日本に進出して、24年が経ちます。その間、日本のコーヒー文化は大きく変化しました。競合企業のタリーズコーヒーは1997年に運営を開始し、元来日本で喫茶店を展開していたドトー …

サイト内検索

ブランド・マネージャ―認定協会サイトへ

Chess
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
打ち合わせ
CI、VI、BIの違いとは?
ブランディング
ブランディングとは? 「基本的な意味と進め方」について解説!
スターバックスの店舗
【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
マトリックス
アンゾフのマトリクスとは? 富士フイルムの事例に学ぶ
印刷会社が進むべき16の事業領域~アフターコロナ時代を見据えて~
キャリアウーマン
ペルソナ設定〜Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」の成功事例からみるペルソナの作り方とは?
マクドナルドとモスバーガー
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
オンデーズの店舗イメージ
「オンデーズ」はメガネ業界のZARAとなるか? 〜JINSとは一線を画すファッション路線〜
星のや軽井沢
星野リゾートのブランディングから学ぶ!〜理論の実践とは〜