ブランディングについて調べると目にすることの多い「ブランド・マネージャー」ですが、その役割とは何でしょうか。今回はブランド・プランナーと比較しながら解説します。
ブランド・プランナーの役割
最初にブランド・プランナーの役割について考えてみましょう。プランナーは企画を行う人という意味です。
その意味に従えば、ブランド・プランナーは例えばネーミングやロゴ、キャッチコピー、パッケージデザインなどのブランド要素を総合的に企画・設計して、ブランドを構築するまでがブランド・プランナーの役割といえるでしょう。
ただし、後述するブランド・マネージャーのように、ブランドの管理までを行っている例もあります。
ブランド・マネージャーの役割
一方、ブランド・マネージャーについてはどうでしょうか。
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会では、ブランド・マネージャーを次のように定義しています。
「ブランドの資産としての価値を高めるために、その構築から管理までの活動全般にわたる広範囲の経営的責任を担います。その意味で、広義のブランド・マネージャーとは、役職名ではなく、経営者的視点からブランドの価値を高める経営戦略を実現する役割を担う人を指します。」
ここで重要なのは「ブランドは資産的価値である」ということです。ブランドロイヤルティ(顧客のブランドに対する愛着心)、ブランド認知、ブランドイメージさらには特許・商標といったものは、すべて何年、何十年にわたって効果を発揮するいわば「資産」です。
特売チラシはその期間の売上には大きく寄与するかもしれませんが、何十年にわたって効果を発揮することはまずありません。それに対して、キャッチコピーは何年、何十年にわたって効果を発揮することがあります。
例えばJR東海が1993年のキャンペーンで使用したキャッチコピー「そうだ 京都、行こう。」はその年に留まらず、20数年にわたって使用され、京都観光の新幹線利用者増につながりました。
ブランドを構成するさまざまな最小単位であるブランド要素はキャッチコピーだけではありません。
- ネーミング
- ロゴマーク・ロゴタイプ
- キャラクター
- キャッチコピー
- 色
- ジングル・音楽
- ドメイン(URL)
- パッケージ
- 匂い
といったブランド要素は、すべて資産となりうるのです。
資産だからマネジメントする必要がある
資産ですから、管理しなければなりません。キャッチコピーの「そうだ 京都、行こう。」にしても、ソフトバンクのキャラクター「ホワイト犬」にしても、ブランドイメージを毀損させないような優れたキャンペーン展開を長年行ってきたからこそ、ロイヤルティ向上に寄与してきました。
ブランドを他のカテゴリーにも展開する「ブランド拡張」にしても、不二家の「ミルキー」はキャンディからチョコレート、クッキーまでブランド拡張していますが、ブランドイメージを損なわないよう注意を払いながら展開を行っています。
ブランドを企画・開発するブランド・プランナーと異なり、ブランド資産を高めるために継続的に活動することが、ブランド・マネージャーの役割なのです。
そして資産ですので、経営戦略に関わることです。経営戦略・マーケティング戦略・そしてブランド戦略が一貫していることが重要になってきます。
幅広い知識・能力の習得が必要
ブランド・マネージャーに必要なものは、広範にわたります。
- ブランディングの知識
- マーケティングの知識
- 知的財産権に関する法律の知識
- ファシリテーション能力
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーション能力
- 観察力
- 分析力
- 計画力
- 実行力
このような知識・能力を身に付けるためには、体系的に学ぶことが必要となってきます。
先述の一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会では、これらの幅広いスキルと能力を身に付けるカリキュラムを用意しています。