セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

話題の事例

宇大浪漫 産学連携によるブランド開発

投稿日:2019年3月14日 更新日:

宇都宮大学(宇大)の名を冠した焼酎「宇大浪漫」。これまでは県内の一部での販売に限られていたが、昨年から全国で流通が始まった。製造元の栃木県那珂川町の「白相(しらそう)酒造」は県内で唯一、麦や芋の本格焼酎を造る酒蔵。商品開発に熱心な4代目が意欲的な取り組みをしている。

(中略)

誕生のきっかけは、宇大の学長が生産を直談判したことだった。産学官連携でのブランド商品開発に取り組んでいた宇大が、農場で採れた作物を生かした焼酎づくりを考案。4代目の白相淑久社長(68)は、学長自ら足を運ぶ熱意を受けて、さっそく付属農場の二条大麦で試作した。元々は1種類の予定だったが、白相社長が「焼酎を飲み始めたばかりの学生でも楽しめるものも」と配慮して、2種類の麦焼酎を生み出した。

(朝日新聞デジタル 2019/03/11
クセない香りの芋も…産学開発の焼酎「宇大浪漫」全国へ)

地方の産学連携によるブランド開発の好例だ。地元、大学、企業それぞれの強みを融合し、新商品に昇華させている。栃木県は日本一の大麦の産地であり、製造元の酒蔵は県内で唯一芋と麦から本格焼酎を作る技術をもつ。一方の宇大は研究開発機能を提供する。商品化に至るまでの物語性も十分だ。いわゆる「コト消費」や「モノガタリ消費」につながる十分なバックグラウンドが、企業と大学両方に備わっている。

それに商品名が良い。意図して名付けたかどうか定かではないが、「宇大」は「宇内」と同音で、宇内は「天下」の意味を持つ。「天下の浪漫」とはスケールが壮大だ。

とはいえ、いま地方大学はどこも生き残りに必死だ。少子高齢化等のあおりを受け、大学の統廃合も着実に進んでいる。そんな中、産学連携に活路を見出そうとする大学は少なくないが、学長自らトップセールスを行う宇大は熱が入っている。

 

能藤 久幸(のとう ひさゆき)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 ディレクター・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ

関連記事

止まらないタピオカブーム。今度はロングセラー商品として定着化できるのか

台湾のタピオカブランド「珍煮丹(ジェンジュダン)」が、渋谷の「マグネットバイシブヤ(MAGNET by SHIBUYA)109」の7階フードフロア「MAG7(マグセブン)」に6月14日にオープンする。 …

タグラインは「小江戸」。関東二古都のブランド力

「お江戸見たけりゃ佐原へござれ」。江戸時代の戯れ歌にもうたわれた千葉県香取市の佐原地区は利根川の水運で発展し、街なかには江戸期から明治期に建てられた商家や民家が今も立ち並ぶ。街の中心部を流れる小野川の …

コラボレーション×コラボレーションの二乗のシナジー効果

BREWBASEとフリークスストアのコラボレーション企画が始動しています。 今回のコラボレーション企画では、オリジナルビール「FREAKS」が登場。 同商品は、アツい夏にぴったりの爽やかでドリンカブル …

「食べる」日本伝統抹茶、世界へ発信!

日本伝統の抹茶が注目されている。最近はスイーツや和洋の料理にも合うため、「飲む」だけでなく「食べる」食材として活用が広がる。 今や「食べる抹茶」はデパ地下やコンビニでも欠かせない商品だ。国内の抹茶市場 …

銀座ルノアールの“脱おじさん化”は吉と出るか

  サラリーマンがタバコを吸いながら、長時間休憩や商談で利用する喫茶店――。都心の駅前などに店舗を構える「喫茶室ルノアール」に対して、このようなイメージを持つ人は多いだろう。だが、その印象か …

サイト内検索