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音楽の名門メーカー 再建なるか オンキヨーのブランド活用による生き残り戦略

投稿日:2019年11月18日 更新日:

オンキヨー株式会社は、米Klipsch Group, Inc.(以下Klipsch)との業務提携拡大に向けた協議を行うことで基本合意したと発表した。

オンキヨーはKlipschブランド製品の国内販売代理店権を取得し、今年10月から販売を行っている(関連ニュース)。完全ワイヤレスイヤホン「T5 TRUE WIRELESS」の受注が好調に推移していることから、ヘッドホン等デジタルライフ商品のほか、スピーカーやオーディオ機器といったホームAV商品においても連携することで両者の強みを活かせると判断し、業務提携拡大へ向けて動き出したとのことだ。

今後はオンキヨーがデザイン・開発したAV製品のKlipschグループへの供給、双方のブランドで販売する商品の共同開発、両社のブランド製品のディストリビューション/マーケティング/販促面での協力など包括的な協業を目指し、両社で検討を行っていくという。

オンキヨーは「公表すべき内容が判明次第、 速やかに公表いたします」としている。

2019年10月7日 PHILE WEB
オンキヨー、Klipschと業務提携拡大に向けた協議へ。
ホームAV製品での連携も視野

先日の、家庭用AV事業の売却が、資金面の都合で中止となるなど、厳しい経営状況が続く、音楽の老舗名門メーカーであるオンキヨー。

そのオンキヨーが、最近は同業他社との提携に積極的に動いている。外国のオーディオ企業の国内販売代理店を複数請け負うなど、自社の保有する商流を活用して、取り扱いカテゴリやアイテムを増加させることにより、販売マージンを獲得することが可能な体制が作られつつある。

自社保有のブランド単独による、自社開発製造商品の販売だけではなく、消費者の選択肢を増やす、他社ブランドを取り扱う卸売業としての役割を、自社の経営戦略として模索しているようにも受け取れる。

元々は、日本の音楽メーカーとして、老舗のブランド力を持つ企業である。海外メーカーにとっても、オンキヨーとのブランド協業は、日本の流通販促機能と、日本メーカーのブランドが手に入るため、魅力的な案件かと思われる。

ブランドの相互活用により生き残りが果たせるか、オンキヨーも老舗の名門音楽メーカーとしての正念場を迎えている。今後の動きに期待したい。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

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