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酒は、百薬? 薬酒メーカーの養命酒が手がける、和のクラフトジン

投稿日:2019年10月7日 更新日:

養命酒製造は、今年3月に発売したクラフトジンカクテルの第2弾商品として「CRAFT GIN COCKTAIL ジンジャーとハーブのクラフトジンカクテル」を9月2日(月)より全国にて発売する。

近年の世界的なクラフトジンブームの流れを受け、日本でも固有の素材を使った個性的なジンが生まれている。そんな中、今回発売される「CRAFT GIN COCKTAIL ジンジャーとハーブのクラフトジンカクテル」300ml/880円(税別)は、「香の雫」をベースにクロモジ、ローズマリー、サンショウなどのハーブを浸漬している。

また、生姜汁・生姜エキス・乾燥生姜と3つの生姜を使用することで、ピリッとしたドライな味わいを表現。心地よいほろ苦さのあるオレンジやライム、柚子の果汁も加えて、風味豊かなカクテルに仕上がっている。

クロモジは、日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木で、枝葉によい香りがあることから、山地の人々や登山愛好家に親しまれてきた植物。

春には花を咲かせるが、蒸留によって採取される精油はアロマオイルにも用いられ、リナロールを主成分とする香りが気持ちをゆったりさせてくれると人気。近年は全国のクロモジ産地で精油の他に枝葉を加工したお茶も販売され、国産ハーブのひとつとして注目されている。

完成度の高い味わいのクラフトジン。ロックやソーダ割りなど好きな飲み方で国産ハーブ「クロモジ」の香りとおいしさを味わってみては?

2019年9月2日 exciteニュース
「香の雫」ベースのクラフトジンカクテルに新フレーバー登場

酒類の業界では、今、世界的にクラフトブームである。先日ご紹介したクラフトビールに続き、今回取り上げるクラフトジンが、海外同様に日本国内においてもジワジワと支持を拡大してきている。

飲食は、その国の環境や文化の影響を如実に反映するものであるが、顧客は文化が成熟するにつれて、万人向けの汎用的なNB(ナショナルブランド)商品ではなく、個性的でマニアックな商品を求める傾向が強くなる。

ジンは、ベースとしてスピリッツを製造した後に、ハーブなどでボタニカルの風味づけを行うことで完成するが、ボタニカルの風味づけの方法や内容が、そのジンの個性を決定づけることになる。つまり、ジンの製造には、ハーブ類を複数組み合わせて、最適な味わいと香りを生み出すブレンド技術が必要になるのだ。

その点において、養命酒は元来より日本の素材を使用し、複数の生薬を用いた薬用酒を製造してきた企業であり、その技術が豊富に蓄積されている。また、薬業界では薬用酒としてのブランド知名度が抜群なので、酒類業界においても比較的に顧客からの信用を得やすい。

現行市場で成功した技術やブランドを他の市場にも用いてみることで、自社の活躍領域を広げていくのは、経営戦略として実に理にかなった行動である。

今回の日本固有の原料を用いたクラフトジンも、独特な個性をもつ商品に仕上がっている。ジャパニーズウィスキーのイチローズモルトの世界的な成功もあり、海外の顧客から徐々に評価を上げている日本の酒類市場において、また新たなインバウンド商品の誕生となりそうである。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

 

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