Case Study

あずきで、美人。その独創性。 老舗餡子メーカーのブランド認知獲得に向けた継続的

投稿日:2019年9月10日 更新日:

暑い夏に、今年もアイスのあずきバーが売れています。また、そのあずきバーをめぐり、ある有名人が漏らした一言が、ネットで話題となりました。

「あずきバーはかたい」 武田鉄矢の発言に、井村屋が衝撃のツッコミ!

https://news.nicovideo.jp/watch/nw5744592

ニコニコニュース 2019/8/3

また、今年はガリガリ君もあずき味のスペシャルバージョンを販売することとなり、予想外のあずきアイス対決となっています。

スペシャルなガリガリ君、1本に甘納豆30g「ずっしりあずき」

https://www.excite.co.jp/news/article/Narinari_20190806_55800/

エキサイトニュース 2019/8/6

そのような、あずきをめぐる話題が飛び交うなか、老舗の餡子メーカーが出した商品が、ロングセラー商品として、じわじわと支持を広げ続けています。
「あずき美人茶」という商品です。

あずき美人茶

https://endoseian-shop.com/shopbrand/002/O/

あずき茶・ゼロカロリースイーツを扱う
「遠藤製餡公式オンラインショップ」

製造・販売しているのは、遠藤製餡という、1950年創業の餡子メーカーです。2002年に、業界で初めて、あずきのお茶を販売しています。

あずきは健康に良いということが知られていますが、健康的に美人になるお茶として、ブランド・コンセプトを設定しているところが、この商品の特徴です。

製餡で培った、コア・コンピタンスの技術力を活用し、新たな商品開発につなげるという王道の経営戦略が、この商品に活かされていると思われます。また、思い切ったネーミングがうまく商品機能と合致していると感じます。

機能性を謳う商品は、具体的なイメージを顧客に持たせることが必要ですが、その反面、薬事法などの法令の関係で、厚生労働省などの許可を得ずに、具体的な機能を表示させることはできません。そのため、ネーミングや販促方法については、慎重かつ効果的な内容が求められます。

そういった点で、「あずき美人茶」というネーミングは、ブランド・コンセプトとして、優れていると考えられます。

販路についても、無理には拡大させず、ナチュラルローソンや駅のコンビニ、または自社運営のオンラインショップ等で販売することで、値崩れを防止し、自社商品のブランド価値を保つことに成功しています。

その一方、確かな技術力と優れた商品を持ちながら、マーケティング戦略がうまくいかず、苦労して生み出した自社ブランドの商品価値が顧客に伝わらない例も散見されます。値崩れを起こし、ブランド価値を毀損してしまったり、そのまま廃番となってしまったりするのです。

いい商品を作れば顧客に喜んでもらえるのは確かですが、そもそも、顧客にいい商品であるということが伝わらないと、顧客にその商品を選んでもらうことができません。ましてや、ブランド力がない企業であれば、なおさら顧客から選んでもらえる可能性は低くなってしまいます。

そのためにも、自社開発商品でブランド力を獲得するためには、ロングセラー商品として継続的に商品を育成するつもりで、長期的視点に基づき、地道な改良と改善を図っていくことが、必要となります。

今回取り上げた「あずき美人茶」は、2010年に発売されたものですが、2002年に発売された「あずき茶」をリニューアルしたものなので、実は17年間をかけてブランドを磨いてきたロングセラー商品です。

継続的にブランドを磨く努力の結果が、現在の顧客支持の獲得に至っている好事例だといえるのではないでしょうか。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

関連記事

アップル新宿

ジョブズの思想を体現する「アップルストア」〜学ぶべき小売店舗の役割とは〜

アップルの小売店舗「アップルストア」は2001年にアメリカで1号店を開店して以来、爆発的に人気を博し、2018年現在で世界500店舗以上に拡大、2018年4月にはApple新宿がオープンするなど快進撃 …

ブランド野菜の地域ブランディング~嬬恋村のブランドキャベツ~

キャベツで有名な嬬恋村で、今年も話題のレースが開催されます。 今年も“キャベツ感”がスゴい!毎年話題の参加賞、遂に公開! 「嬬恋キャベツヒルクライム2019」参加者募集中 8月2日まで サンケイスポー …

ZOZOTOWNは復活するか? ネット専業企業のリアル店舗によるマーケティング戦略の有用性

ゾゾタウンを運営する、ZOZOの苦戦が続いています。 ゾゾタウンが有料会員制の割引サービスを終了、海外PBも撤退 東証1部上場で衣料品通販サイトの「ゾゾタウン」を運営する「ZOZO」は、5月30日をも …

マクドナルドとモスバーガー

マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?

モスバーガーHPより マクドナルドHPより   ポジショニングはフィリップ・コトラーが提唱したマーケティング手法であるSTPマーケティング(「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショ …

キャリアウーマン

ペルソナ設定〜Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」の成功事例からみるペルソナの作り方とは?

ブランディングやマーケティングを考えるうえで、ターゲットの年齢や性別などのカテゴリを想定することだけではなく、ターゲットをペルソナと呼ばれる詳細な人物像に落として描くことが重要です。 今回は、1999 …

サイト内検索

ブランド・マネージャ―認定協会サイトへ

ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
「オンデーズ」はメガネ業界のZARAとなるか? 〜JINSとは一線を画すファッション路線〜
「オンデーズ」はメガネ業界のZARAとなるか? 〜JINSとは一線を画すファッション路線〜
スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション戦略編】
スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション戦略編】
【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
アフターコロナ時代の5つの消費トレンド予測
アフターコロナ時代の5つの消費トレンド予測
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
星野リゾートのブランディングから学ぶ!〜理論の実践とは〜
星野リゾートのブランディングから学ぶ!〜理論の実践とは〜
アンゾフのマトリクスとは? 富士フイルムの事例に学ぶ
アンゾフのマトリクスとは? 富士フイルムの事例に学ぶ
近畿大学の「おもろい」ブランディング戦略
近畿大学の「おもろい」ブランディング戦略
ブランディングとは? 「基本的な意味と進め方」について解説!
ブランディングとは? 「基本的な意味と進め方」について解説!