便利でロジックな「フレームワーク」に潜む落とし穴 ― その3―(後編)

さて今回は私がクライアントのコンサルティング支援をする際にいつも気をつけている“
3つのポイント”の最後となる「論理の落とし穴」の後編を進めて参ります。

だから、ブランドが重要

ここで重要なのは、非論理的な発想です。つまり、“会社らしさ”の表出です。
私はフレームを使いこれまでに述べてきた「思考停止に陥らず、事実情報の収集をする」をしっかりと行い、最終的には90%近くまでは論理的(サイエンス)に戦略構築を進めてゆきます。しかしながら、残りの10%部分はクライアントに非論理的な創造(アート)をして頂くようにしております。なぜなら、市場での同質化を避けたいという理由がありますが、やはりその市場で“会社らしさ”を表出するならば、私よりクライアントの方が良くご存じであり、更にはその業界に精通しているプロだからです。そして、そのアートセンスを補完する大きな要素にその会社が取扱う「ブランド」が機能します。他社との差別化要因を単なる思い付きで考えるのではなく、自社の競争優位となっている「ブランド」のコンセプトやアイデンティティの思想をベースに残りの10%を創造することにより、市場で効果的な差別化が形成され、同質化を最小限にできるからです。

仮説創造力でスモール・イノベーションを実現

私はこの「90%の論理」+「10%の創造」を持ち合わせたスキルを“仮説創造力”と呼んでおり、論理を組み立て説得性のある仮説構築力と、独自性の高い創造力の両方段階的に使えるスキルを意味します。私自身も常に研鑽中ではありますが、皆さまも是非この能力を備えて頂き、これまでの業界常識や旧態依然の慣習をブレイクスルーしてゆけるイノベーションを小さくても良いので実行してもらえたらと思っています。その挑戦こそ、企業を進化させ成長させる一歩だと信じております。

今月で落とし穴シリーズが終了となりました。これまで述べてきました「思考停止」「事実情報の収集」「論理の落とし穴」の3つは、大学院MBAコースで恩師に思考のリハビリを受けた結果のもと私の中で生成された自己資本「脳」力です。恥ずかしながら、以前は全くこの様な思考は持ち合わせておりませんでしたが、お蔭さまで今でこそこの能力を活かしてクライアントの支援をさせて頂いております。とは言え、今でも週末は勉強会や学会、セミナー等に参加し、自己研鑽中です。朝、トイレに行くと相田みつおのカレンダーにある一生勉強一生青春があります。改めて自分を見直し、生涯学習を続けていければと常に思っております。
長くなりましたが、もし皆さまの中にも“是非これは!”と言う秘訣がありましたら
ご教示ください。

では、また来月のコラムで。

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