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【特別寄稿】ブランド力を最大限に引き出す!世界観のあるブランドが持つ強みとは?

 

ブランド・マネージャーを日本で唯一養成している専門機関『一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会』。同協会では協会の卒業生はもちろん、一般の人に広くブランド知識を高めてもらうために定期的にシンポジウムを開いて、ブランドについての情報交換を行っています。

今回は2014年9月に行われたシンポジウムにおける株式会社JOYWOW代表取締役会長阪本啓一氏の基調講演から、ブランド戦略に欠かせない「世界観」について考えていきます。

世界観を打ち出しビジネスを広げる「タニタ食堂」

ブランド力とは、自社(商品・サービス)の価値や強みを打ち出し、競合に対する競争力を持つものです。このブランド力の効果を最大化させるために必要となるのが「世界観」です。ブランド戦略に取り組む企業は多いものの、「世界観」を意識して取り組んでいる企業は意外と少ないのです。しかしながら、成功している企業の例を見れば、世界観の重要さがよくわかってきます。

体重計など計測器の大手メーカーである株式会社タニタが、社員の健康維持のために開設した社員食堂「タニタ食堂」。レシピ本はシリーズ累計490万部を達成し、2012年には「タニタ食堂」という飲食店を開業するなど、今やさまざまなビジネスに拡大しています。

この成功の要因となるのは、「タニタ食堂」が単に「健康を支援する」というブランドイメージを持つだけでなく、タニタが「健康を支援する会社」であるという世界観が打ち出せているからに他なりません。

このように、体重計という製品やサービスで自社ブランドを提示するのではなく、自社の価値や強みを「世界観」として打ち出すことが重要なのです。

世界観の有無がブランド力に大きな影響を与える

世界観を持つことは、ブランドを継続させていくことの手助けとなります。世界観の有無からブランド力にどのような違いが生じるのでしょうか。

世界観のある企業として有名なのは、ウォルト・ディズニー・カンパニーです。ディズニーでは「夢と魔法の王国」という世界観を大切にしています。同社のテーマパークであるディズニーランドは、パークの外の建物が見えないように建設したり、キャストや物販の移動のために地下通路を利用させるなど、徹底した世界観を作り上げているのです。

そのため創業者が亡くなってからも、世界観に沿った映画作品やグッズなどで事業を継続することができています。

一方で、個々の作品の持つ世界観で多くのファンを惹き付けてきた株式会社スタジオジブリ。ジブリが作りだす作品に独自の世界観は感じやすいものの、「スタジオジブリ」自体に一貫した世界観を感じる人は少ないでしょう。結局は宮崎駿氏と高畑勲氏の作品を世に出すためのプロダクションにすぎなかったようです。

創業者がいなくなったとき、企業全体で統一された世界観があれば、世界観が後押しとなって次世代の事業を支えることができるのです。

世界観がもたらす3つのメリットとは?

ここでブランド戦略における、世界観がもたらす3つのメリットを考えます。

まず1つ目に「顧客をファン化できること」です。有名なのは、iPhoneなどを提供しているアップル社の例です。アップルの世界観に惹きこまれた顧客は固定のファンとなり、アップル社の製品をリピートし続ける効果が出ています。

2つ目は「非顧客に製品・サービスを認知させ、顧客化の可能性を高めること」です。非顧客とは顧客になってもいいはずなのにならない顧客です。会社のブランドを知っていたり、好印象を持っている非顧客は、顧客と違って属性がつかみにくいといった課題があります。そこで世界観を非顧客に提示できれば、出会う機会が増え、長くつながることが可能になります。

3つ目は「従業員のモチベーションをあげられること」と「リクルーティング」です。従業員のモチベーションを上げるためには、待遇以外に仕事を頑張ろうと思える理由が必要です。それが企業やブランドの世界観です。たとえば、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社などが良い例です。スタッフは同社が提供する独特の世界観を大切にし、顧客の体験がよくなるように進んで行動しているのです。このように世界観を社内に浸透させることで人材に対しても効果が生まれます。

世界観のもつメリットには、企業の繁栄を盛り上げる要素が詰まっているのです。

自社の価値を見つめ直すことは、世界観づくりのきっかけとなる

それでは大手企業と比べてブランド力が低い傾向にある中小企業は、どのように自社の世界観をつくっていけばよいのでしょうか。

世界観づくりをスタートさせるポイントは、製品やサービスを通じて何を伝えようとしているのか、社会にとって自社がどんな使命を持っているのかを考えるところにあります。

世界観は、経営者の想いがイメージとなって形づくられていることが多くなっています。自社の価値を振り返ることで、事業を発展させるヒントが見つかるかもしれません。

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 - 特別寄稿

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