ブランディング基礎

スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション戦略編】

投稿日:2018年1月17日 更新日:

スターバックスの店構え
今回は、スターバックスの4P戦略のうち、立地戦略(Place)とプロモーション戦略(Promotion)についてみてみましょう。

1300店舗そのものが「広告」に

1996年、東京・銀座に日本1号店を出店、その後2003年度には500店舗、2013年度には1000店舗を突破、2017年現在1300店を超える店舗数となったスターバックス コーヒー。クーポン割引やテレビCMといったプロモーション(Promotion)をほとんど行っていない同社が強いブランド力を持つ理由の1つは、この立地戦略(Place)にあります。

アメリカのスターバックス本社でマーケティングプログラムの作成と実行に携わったジョン・ムーアは、自著の『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』の中で「出店が最大の広告である」と述べています。

Main&Mainという立地戦略

スターバックスとお客様

スターバックスの立地戦略は「Main&Main」と呼ばれるもので、ひたすら往来の多い中心街に集中的に出店しています。アメリカのスターバックスがなぜ往来の多い区画に出店したかというのは明確で、ビルのサインやディスプレイのように、スターバックスの店舗そのものが広告になるからです。スターバックスが店舗の拡大をはじめたころに、一番お金をかけたのがロケーショニング(立地戦略)でした。

前述の著書にも「エクスペリエンス(体験)」という言葉が何度も出てきますが、スターバックスが提供したいものはコーヒーという製品(Product)だけでなく、洗練された装飾、心地よい音楽、温かい接客で、くつろいだ時間を過ごすという「体験」です。その体験が実際に味わえる店舗でのサービスこそ、テレビCMでは伝えられないプロモーションになっているのです。

スタバがありそうな街に出店する

渋谷ツタヤの上にあるスターバックス

スターバックスの立地戦略は往来する人数という「数」だけでなく、往来する人の「質」にもこだわりました。経営コンサルタントの榎本篤史氏によると、スターバックスは「スタバがありそうな街」に数多く出店しています。スターバックスが東京23区で数多く出店しているのは千代田区、港区、渋谷区と、「流行やファッションに敏感で、かつ、比較的、所得水準の高い人が集まるエリア」であるといいます。一方、庶民的な荒川区には出店が一店もありません。立地の「数」と「質」がスターバックスのプロモーション戦略を支えているのです。

「デ・ブランディング」で街に溶け込む

スターバックスのロゴ

スターバックスは店舗に派手に広告物を掲示しているかというとそうではありません。むしろブランドロゴに社名をなくすといった「デ・ブランディング」を行っています。
デ・ブランディングには

    • 企業らしさを控えめにすることで、顧客により身近に感じてもらう
    • ブランドが浸透しているタイミングで行うことで、新しさや先進的なイメージを伝えることができる

といった効果があります。

スターバックスはデ・ブランディングによって、街に溶け込み、先進的なイメージを確立できたのです。

テレビCMも打たず、クーポン券も配らず、企業名も隠して、強力なブランド力を構築したスターバックス。ジョン・ムーアは、「スターバックス体験がブランドを作る」と説明しています。店舗に実際に来てもらい、上質なコーヒーと雰囲気を味わってもらい、口コミをしてもらうことで、自然とブランド力という「副産物」(ムーア同著より)が付いたのです。

ムーアは「ブランディングという魔法の粉をふりまけば、勝手に息の長いブランドができるというのは幻想であることを、スターバックスは私たちに教えてくれる」と話しています。製品やサービスを磨くこと、そして安易なテレビCMではなく、立地戦略やデ・ブランディングといった高度なブランディング/マーケティング戦略を駆使することで、スターバックスのブランドは構築されたのです。

スターバックスの立地戦略は、新たなステージに立とうとしています。例えば公共図書館や書店、病院の館内・店舗内にもスターバックスが併設されています。駅ナカにもスターバックスを見かけることが多くなりました。コミュニティの真ん中に立地し、さらにはコミュニティを自ら作り出そうとしています。スターバックスの立地戦略とプロモーション戦略のマーケティングミックスには、これからも注目してみていきたいものです。

ブランディングラボおすすめ記事


スターバックスのドリンク

・スターバックスの4P/4C戦略【製品戦略・価格戦略編】


スターバックスの店舗
・【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析】

-ブランディング基礎
-, , , ,

関連記事

スターバックスのドリンク

スターバックスの4P/4C戦略【製品戦略・価格戦略編】

1月17日のコラム「スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション戦略編】」では、マーケティングミックスの4P(製品・価格・立地・プロモーションを組み合わせたマーケティング戦略)のうち、立地 …

リブランディング

【要チェック】リブランディング4つの事例を紹介

ニュースを見ているとリブランディングという言葉を見る機会が多くあります。今回はリブランディングを進めている4つの企業を紹介します。 湖池屋  dentsu-ho.com  860& …

キャリアウーマン

ペルソナ設定〜Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」の成功事例からみるペルソナの作り方とは?

ブランディングやマーケティングを考えるうえで、ターゲットの年齢や性別などのカテゴリを想定することだけではなく、ターゲットをペルソナと呼ばれる詳細な人物像に落として描くことが重要です。 今回は、1999 …

8つのステップ

「ブランド構築のステップ」がイチからわかる!!【編集部厳選の記事まとめ】

再現性を持った型である「ブランド構築のステップ」は、日本で唯一、ブランド・マネージャーを養成する専門機関であるブランド・マネージャー認定協会の独自のカリキュラムであり、数多くのブランド構築の現場で用い …

ブランド

「日本の消費者に好まれているブランドランキング2017」をチェック!

アジア一の広告専門誌Campaign Asia-Pacificが実施している「アジアのトップ1000ブランド」において、日本人が最も良いと思うブランドTop100が発表されパナソニックが3年連続で1位 …

【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
2月 15, 2016 に投稿された
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
2月 9, 2018 に投稿された
「オンデーズ」はメガネ業界のZARAとなるか? 〜JINSとは一線を画すファッション路線〜
「オンデーズ」はメガネ業界のZARAとなるか? 〜JINSとは一線を画すファッション路線〜
5月 23, 2018 に投稿された
スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション戦略編】
スターバックスの4P/4C戦略【立地戦略・プロモーション戦略編】
1月 17, 2018 に投稿された
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
マクドナルドとモスバーガーの比較から見るブランドにおけるポジショニングとは?
12月 28, 2015 に投稿された
サービスの質も向上! 従業員が自ら動くようになる「インターナルブランディング」とは?
「ブランドM&Aはなぜ起るのか」など、記事一覧はこちら
中央大学ビジネススクール教授 田中洋
【特別寄稿】ブランド力を最大限に引き出す!世界観のあるブランドが持つ強みとは?
ブランド力を最大限に引き出す!世界観のあるブランドが持つ強みとは?

株式会社JOYWOW代表取締役会長
阪本啓一

【特別寄稿】企業に求められる「情緒的価値」とは?
今企業に求められる「情緒的価値」とは?
株式会社イズアソシエイツ代表 岩本俊幸