Case Study

「ネット自動車保険を甘く見てはいけない」は危機感の表れ?Zソニー損保CMからみる業界動向

投稿日:2018年6月29日 更新日:

自動車保険のイメージ
ネット自動車保険のシェアトップを走り続けるソニー損保ですが、最近のCMでは消費者の危機感をあおるようなメッセージを発信しています。その理由は何でしょうか。考えていきます。

「ソニー損保をご存知ない?」

ソニーCM

「ネット自動車保険を甘く見てはいけない」。テレビ越しの視聴者に訴える松本白鸚。最近流れているソニー損保のCMです。「ソニー損保をご存知ない?」と消費者役の人たちに呆れた表情で問いかけてもいます。

以前のソニー損保のCMは「○年連続売上ナンバーワン」というトップシェアのブランドを強調する、明るくポジティブなイメージでした。コミカルなゴスペルでサービスを歌い上げるCMが話題になったこともあります。

2001年から連続してダイレクト自動車保険シェアナンバーワン、売上も伸び続けているソニー損保が、なぜ一転、消費者に対して危機感を植え付けるような、挑発的ともいえるメッセージを発しているのでしょうか。

ネット自動車保険市場は伸び悩み

それは、ネット自動車保険市場全体の伸び悩みにあると思われます。日本でネット自動車保険がスタートして20年以上が経つものの、国内自動車保険に占めるネット自動車保険のシェアは依然8%程度です。これはシェア50%以上の国もあるヨーロッパや20~30%のアメリカに比べると非常に低い数字です。

アクサダイレクト生命やチューリッヒ保険会社など他のネット自動車保険会社のCMも頻繁に見かけるため、ソニー損保の競合はそれらかと思いがちですが、ソニー損保が競合としているのはおそらく、もっと大きい、非ネット型の大手保険会社です。

ネット自動車保険は自動車保険市場全体の約8%です。ソニー損保が仮にネット自動車保険のシェア50%を取ったとしても、市場全体では4%にすぎません。ソニー損保は市場のリーダーどころか、チャレンジャーなのです。

ダイレクト自動車保険市場のパイを奪い合い、シェアを高めても成長には限界がある…そんな考えから、ネット自動車保険を「誤解」している(事故の時ネットでしかやり取りしてくれない、担当者も来ない、冷たいイメージ等々)非ネット自動車保険のユーザー層に挑戦的で啓発的なメッセージを送っていると思われます。
一見シェアトップで、業界リーダーであるソニー損保ですが、業界全体ではチャレンジャーです。チャレンジャーとしてのブランド戦略を推し進めているといえます。

オーソドックスで信頼感を持たせるチューリッヒのCM

一方、チューリッヒのCMですが、無名ですが安定感のあるタレントを長期にわたって起用、彼女を電話オペレーター役に客との電話でのやり取りを行うオーソドックスなストーリーのCMを展開しています。むしろ業界2、3番手のチューリッヒの方が、手堅いCM展開を行っているように思えます。チューリッヒはあくまでもネット自動車業界のフォロワー(リーダーとの競争を避け、収益性の向上を図る立場)として立ち振る舞っているように思えます。

チューリッヒ

CMから会社の戦略を推測する

CMのメッセージから各社のポジショニングや戦略を推測することは、自社の戦略を考える上でも参考に資すると思います。すこし目線を変えてCMを眺めてみても面白いと思います。

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