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Case Study

ブランドコンテンツとコラボレーション  ―「美少女戦士セーラームーン」を事例として 【後編】

投稿日:

引用:PR TIMES 2021年3月1日
(C)武内直子・PNP・東映アニメーション

今年で25周年を迎えた、「美少女戦士セーラームーン」のコンテンツを用いたコラボレーション企画が各所で目白押しとなっています。今年は映画が公開されたこともあり、特に動きが活発となっているようです。

前編にて汎用的なコンテンツ市場の形成について解説いたしましたが、今回は既存のターゲット顧客である若年齢層とは異なる商材も複数発売されています。

メイベリン×『美少女戦士セーラームーン』セーラー戦士の“落ちないリップ”や黒猫ルナのマスカラ

メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)から、『美少女戦士セーラームーン』とコラボレーションした数量限定コスメが登場。2021年4月17日(土)より全国発売される。

メイベリン ニューヨークと『美少女戦士セーラームーン』のコラボレーションコレクションでは、ブランド人気No.1マスカラ「ラッシュニスタ N」や、リキッドアイライナー「ハイパーシャープ ライナー R」、“落ちないリップ”として話題の「SP ステイ マットインク」の3アイテムを展開。

黒いファイバーがぴたりと密着し、目頭、目尻の細かい部分まで、美しい上向きロングまつ毛に仕上げてくれるマスカラ「ラッシュニスタ N」には、セーラームーンや黒猫ルナのシルエットをオン。にじみにくいのに、お湯でするんと簡単オフできるのも人気の秘密だ。カラーは定番ブラックを用意した。

手ブレ吸収ブラシ採用で、0.01mm超極細ラインを美しく描くことができるアイライナー「ハイパーシャープ ライナー R」にも、セーラームーン&黒猫ルナのシルエットを配して。涙、汗、皮脂に強く、長時間にじみにくい。カラーは、使いやすいブラックを展開。

“落ちないリップ”として注目を集めるリキッドリップ「SP ステイ マットインク」には、人気4色を用意。それぞれに、セーラーマーキュリー、セーラーマーズ、セーラージュピター、セーラーヴィーナスのシルエットを描いた。唇の輪郭を縁取るように塗布すればしっかりとした発色を、ぽんぽんと指で馴染ませればじんわりとにじむような発色を楽しめる。

©武内直子・PNP・東映アニメーション
(FASHION PRESS 2021年3月1日 配信記事)
https://www.fashion-press.net/news/70374

 

この記事から推測されることは、何でしょうか?
それは、かつてのセーラームーンのファンであった世代に対する、需要喚起を図っているということです。

これを、フレームワークで表してみます。
まずは、セーラームーンが誕生した1990年頃について、LTV(ライフ・タイム・バリュー)のフレームワークで整理してみましょう。

 

ここから見えてくるのは、世代を絞ったマーケティング施策です。

メインターゲットである、小学生向けに重点的な需要喚起を目指した商品開発を行いました。そのため、コンテンツの一部を除いて基本的に低単価商材を幅広く販売するということが目標となっていました。

この戦略が有効であったのは、メインターゲットである日本の子供の人口が多い時代であったためです。

日本の人口動態については、中小企業庁のホームページで下記のように紹介されています。

 

(出典:中小企業庁ホームページ 第2節 日本の人口動態と労働者構成の変化)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_1_2_1.html

メインターゲットである小学生・中学生の世代については、セーラームーンの連載開始以後は徐々に縮小傾向が続いており、市場が急激に縮小してきていることが分かります。
つまり、この世代向けの商材は今後、開発投資が回収できなくなる可能性が高く、ボリューム感のある新たな市場を開拓しなくてはならないのです。

今回の化粧品の販売については、市場拡大のためのマーケティング施策として、潜在需要の掘り起こしを狙っているということが明らかです。

では、前編でも状況整理に用いた3C分析で2021年の状況を改めて整理してみます。

下記のようになりました。

ターゲット顧客が、かつてのセーラームーンのファンの世代や、またセーラームーンのファンであった方達の子供たちへと、変化しています。
ここから、親世代に対して直接訴求する商品の開発が、有効になっていることが推察できます。

では、アンゾフのマトリクスにて、現況を再検証してみましょう。
下記のように状況が変化しています。

多角化として目指すものが、1990年頃はキャラクター商品でした。
主に雑貨類が対象で、一部でアパレルや文具などの生活雑貨を展開していたというところです。
それが現在では、アクセサリーや化粧品に腕時計、中には家具なども販売されるなど、中単価~高単価商材を幅広く展開するようになっています。

メインターゲットである世代は、現在では社会人になっています。
そのため、かつてファンであった世代に広げたことで、顧客購買単価は大きく上昇しました。

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