ブランディング応用

カスタマージャーニーマップを採用ブランディングに活用する

投稿日:2019年6月8日 更新日:

採用ブランディングについて その4

「カスタマージャーニーマップ」は、顧客が商品を知り、購入し、その後に評価やレビューを行うまでの一連の流れを時系列に並べ、顧客の行動や心理状態を可視化したもので、マーケティング手法の設計や改善に役立てられています。このカスタマージャーニーマップは採用におけるコミュニケーションにも役立てられるとして、近年注目されています。採用ブランディングにおけるカスタマーは当然、採用候補者(=Candidate)となりますので、以下はCJM(Candidate Journey Map)と記載します。

CJMを使う3つのメリット

1.視野が広がる

採用担当者が考える施策は、PCやモバイルなどの媒体に視野が向きがちです、しかし、顧客の行動文脈から施策を考えるようにすると、もっと広い視野で施策を検討できるようになります。PCやモバイルだけにとどまらないリアルとの連携や、普段はあまり思いつかないような施策の立案が可能になります。

2.複雑なデータを直感的に把握できる

採用候補者の体験は、「目的」「行動」「タッチポイント」「思考・感情」など、さまざまな要素の集合体として構成されています。これらのすべてを把握することは非常に困難ですが、CJMを活用することで、全体を見渡せるシンプルな形に整理できます。

3.施策の立案が考えやすくなる

CJMは、顧客の採用候補者の体験の中でも特に「行動と媒体」にフォーカスを当てます。行動を数種類のパターンに分け、その行動を媒体がどのように関係しているかをシンプルに可視化します。これによって既存の「行動+媒体」を新しい技術で置き換えた場合にどうなるか、などの仮説が立てやすくなります。

自社のターゲットの行動特性を知るためのCJMの作り方

CJMを作るには、まずペルソナ(ターゲットとなりうる架空の人物)を明確にする必要があります。(採用ブランディング その2「まずは採用ターゲットを明確に」で記述)このペルソナを詳細に設定することで、ペルソナであれば「どのように感じるか」や「どのような行動をするのか」を意識したコミュニケーションの設計が出来るようになります。

ペルソナを決めた後は、ゴールの設計を行います。CJM作成の目的は「採用ページを見てもらう」ことなのか、「エントリーしてもらう」ことなのか、「内定を承諾してもらう」ことなのか。目的をどこに置くかによって、取るべき手段や伝え方が異なるため、注意が必要です。

次に行うのが情報収集です。オンライン・オフラインのデータ分析や、新卒者、若手社員、モデル社員へのヒアリングなどを通じて、情報を集めていきます。これらの情報をもとに、ペルソナとなる人物が何に魅力を感じ、どういった行動をとるかについて仮説を立てることで、実際の施策に役立てることができます。

これらを踏まえ、最終的にフレームワークへと落とし込んでいきます。横軸に【認知段階】「注目・認知」、【感情段階】「興味・関心」、【行動段階】「検索」「比較」「検討」「内定・入社」「情報共有」のプロセスを並べ、縦軸にはターゲットの行動やタッチポイント(ターゲットとの情報の接点となるもの)、感情変化、対応策を並べます。各フェーズでどのような行動をとり、何を考え、何を感じているのかをマッピングすれば、CJMの完成です。

CJM制作ワークショップの風景

まとめ

CJMを作成する最も大きな目的は、企業目線ではなく顧客目線のアイデアを出せるようになることです。企業側が一方的なメッセージを押し付けるのではなく、採用候補者の行動を見つめることで、打ち出す施策は変わってくるはずです。企画の精度が上がれば、同じコストでもより大きな成果をだせるようになります。

大切なのは、作成したCJMはあくまで仮説だということを忘れないこと、また、CJMを定期的にバージョンアップするということです。顧客の触れる情報や、トレンドの移り変わりが激しい昨今では、少なくとも年に1回はペルソナ設定・ゴール設定から見直すことが結果的にCJMの精度を高めることになります。

採用ブランディング 関連記事

その1 本当に欲しい人材を獲得する採用ブランディングとは

その2 採用ブランディングのターゲット設定と3C分析

その3 自社の採用ブランドの問題点を特定する

その4 カスタマージャーニーマップを採用ブランディングに活用する

その5 採用ブランディングの決め手は継続的な発信と接点の創出

 

松下 弘司(まつした こうじ)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 認定トレーナー
オラクルクローラー代表
戦略コンサルティングファームでプロジェクト・リーダーとして幅広い分野のBPRプロジェクトを経験。その後、コンサルティング会社オラクルクローラーズ(その後オラクルクローラーに改称)を立ち上げ、現在は、企業家として新規事業開発をするほか、企業の経営顧問として経営戦略・ブランディング(ブランド経営)の支援を行う。

https://brand-manager.jp/

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