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Branding Method

成功例でわかる!マーケティングミックス(4P/4C)とは

投稿日:2016年3月16日 更新日:

前提として開発当時は、次のような状況でした。

ターゲット
・20~30代の若者、(ビールをあまり飲まない層も意識)
・クラフトビール(地ビール)好き
ターゲットのニーズ
・事前の調査結果によると、20~30代の若者はビールに対してコクとキレではなく「飲みやすさ」「爽やかさ」「香り」などのニーズが高い
市場
・苦みと炭酸が強いピルスナータイプのビールが主流だった。
・クラフトビールやビアフェスが流行ってはいたが、販売している競合メーカーはほとんどいなかった。

ホワイトベルグの4P

【Product】製品、サービス

「大きな市場でなくても、深く愛される商品を作ろう」という発想から生まれたホワイトベルグ。クラフトビールやビアフェスの流行をきっかけとして、人気のベルギーのホワイトビールの味を目指し開発が進んでいきました。他の第3のビールは、ビールの味にどうやって近づけるかを研究していますが、ホワイトベルグはあくまで、ベルギーのホワイトビールにこだわりました。

本場で使用されているコリアンダーシードとオレンジピールを香料として採用することにより、ベルギービールらしい香味を出すことに成功。その美味しさは本場ベルギーのお墨付きで、iTQiというベルギーの食品コンクールにおいて2年連続で三ツ星の賞を獲得しています。

また、若者の「ながら飲み」をイメージして、家でテレビやインターネットを見ながら飲んでも、苦みが増えないで美味しいように香味を仕上げたそうです。

こうしてホワイトベルグは「本格的な味わい」「洗練された華やかな香り」。キャッチコピーとともに発売されました。

【Price】価格

海外のビールは高く、500〜600円が相場で、安くても300円代。ホワイトベルグは第3のビールのため価格を安く設定でき、コンビニでも140円程度で販売することができました。

【Place】流通、販売チャネル

全国のスーパー・コンビニ・ネット通販などで販売しています。発売当時は、スーパーやコンビニで取扱いが多くありましたが、いまでは店頭では少なくなっており、探さないと購入できません。そのため、インターネット通販での販売が中心となって売れており、現在amazonの第3のビール売れ筋ランキングにおいてトップ2位です。(2016年3月11日調べ)

【Promotion】プロモーション、販売促進

プロモーションとしては、俳優の成宮寛貴氏を起用したCMや、シールを集めて応募すると新商品の「ゴールドベルグ」「ルビーベルグ」などが当たるプレゼントキャンペーンを行ってきました。そして、ホワイトベルグの販促で注目されたのは4Cのコミュニケーションです。

ホワイトベルグの4C

【Customer value】顧客価値

人気のベルギーのホワイトビールの味が手軽に楽しめるようになったのもそうですが、ビールの苦みが苦手だった人が、ホワイトベルグを飲んでビールの美味しさを知ったり、クラフトビールに興味を持つきっかけとなりました。
また、2015年には、コクを強調した新商品ゴールドベルグとのセット販売を開始。これは、「ビールの飲み比べ」という新しい価値の提案として受け入れられました。

【Customer cost】顧客の負担

同じ価格帯でベルギービールの味を出しているものは他にはなく、ホワイトベルグ一択になるため、特にクラフトビール好きには、かなりのお得感があります。

【Convenience】入手容易性

前述の通り、店頭での取り扱いが減り、インターネット通販でしか購入できない顧客もいるため、買いやすい状況とは言えません。しかし、ターゲット層の30代は、インターネットショッピング利用率が7割※近くあり、amazonや楽天などのネット通販で代用していることが予想されます。

(出典:総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年))

【Communication】コミュニケーション

サッポロビールは、ビール業界で初めてフェイスブックページを立ち上げるなど、SNSの活用に積極的に取り組んでいます。現在ではフェイスブックは22万以上の「いいね!」を獲得。ツイッターも4万人近いフォロワーがいます。

さらに、ホワイトベルグは、若者を中心に人気が出たため、ツイッターでのツイートや拡散が広がるなど、消費者自体の口コミが大きな影響力を持ちました。商品発売後の関連ツイートでは、その47%が20代だったそうです。サッポロビールの社内でも、今までで一番インターネットでの反響が大きいと評価されています。

相乗効果を生み出したホワイトベルグのマーケティング戦略

徹底した事前調査により、ホワイトベルグは発売開始後、ターゲット層であった20代、30代から人気が出ました。ターゲットのニーズであった「本格的な味わい」「洗練された華やかな香り」を低価格で打ち出すことで、相乗効果が生まれたといえるでしょう。

そして、その相乗効果は、ホワイトベルグに代替できるものが同一のカテゴリーになく、ブランドのポジショニングが成功していることにも起因しています。

開発者の後藤氏はこう語ります。

今までの新ジャンルは、似たような香味で代替できる商品があるかもしれない。
でもホワイトベルグを気に入ってもらえたら、この味を代替できるものは少なくとも新ジャンルにはありません。

(出典:黒ラベルの逆張りで当てた「ホワイトベルグ」URL:http://ascii.jp/elem/000/000/925/925937/

こうして「大きな市場でなくても、深く愛される商品を作ろう」という発想から生まれたホワイトベルグは他に代替えができないものとして評価され、現在でもネット通販を中心に売れ続けています。

このように、マーケティングミックスの考え方は、売り手目線から、顧客視点へと変化してきました。さらに、ブランディングにおいては、ブランド・アイデンティティ(ペルソナにどう思われたいか)をマーケティングミックスに反映することで、ブランドの一貫性を保つことができるのです。

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