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成功例でわかる!マーケティングミックス(4P/4C)とは

 

4p

マーケティングを行う際の最も基本的な戦略として、マーケティングミックスという考え方が1960年代に登場しました。マーケティングミックスとは、製品・サービスを売るための、マーケティング要素の組み合わせ(ミックス)のことをいいます。代表的なものとして「4P」がよく知られています。今回は、マーケティングミックスでよく使用される4P/4Cについて解説します。

4Pとは

4Pとは、1960年代前半、アメリカのジェローム・マッカーシーという経済学者が提唱したフレームワークで、4つのマーケティング要素の頭文字をとって4Pと呼ばれています。

4p

【Product】製品、サービス
製品ラインナップ、製品特長、品質、デザインなど
【Price】価格
標準価格、値引価格、仕入価格、支払方法、取引条件など
【Place】流通、販売チャネル
流通チャネル、流通範囲、品揃え、店舗立地、在庫など
【Promotion】プロモーション、販売促進
広告、広報PR、ダイレクトマーケティング、営業活動、ホームページ、メルマガなど

(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

一つの製品・サービスを売るためには検討することが多岐にわたるため、コントロール可能な、4つの重要な要素に絞ることで、より効率的にマーケティングの効果を最大化することができます。

4Cとは

4Pは、売り手側の視点で考えられた理論でした。そこで、顧客視点からの新しいマーケティングミックスとして、1993年にアメリカの経済学者ロバート・ラウターボーンが4Cを提唱しました。

4c

【Customer value】顧客価値
機能的価値、情緒的価値(感情、自己イメージの投影)など
【Customer cost】顧客の負担
心理的なハードル(言い訳、不安感など)、物理的コスト(距離、時間など)
【Convenience】入手容易性
買いやすさ、アクセシビリティーなど
【Communication】コミュニケーション
ソーシャルメディア(ブログ、ツイッター、Facebook など)、各種イベントなど

(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

これらの顧客視点は今では当たり前のように意識されています。もちろん、ブランド構築においても取り入れられています。次にブランド構築における4P/4Cとそのポイントを解説します。

ブランド構築における4P/4Cとは

ブランド構築の際、ペルソナと呼ばれる見込み顧客の視点からマーケティングミックスを検討します。わかりやすくいうと、ブランドのファンになってくれるであろう人へ向けて商品開発、販売方法などを考えていきます。

具体的には、次のような流れで行います。

ブランド構築におけるマーケティングミックスまでの流れ

環境分析による市場機械の発見(PEST分析、3C分析)
-自社の製品・サービスが利益を生み出す可能性があるかを分析します。

市場細分化(セグメンテーション)
-ターゲット選定のため、市場を細分化し、見込みがある層を抽出します。

見込み顧客の選定(ターゲティング)
-ペルソナと呼ばれる、具体的な人物像を設定します。

独自性の発見(ポジショニング)
-自社と競合がペルソナの心の中でどこに位置するかを判断します。

ブランド・アイデンティティ
-「ペルソナにどう思われたいか」を明確化します。

4P/4Cマーケティングミックス
商品の開発、価格の設定、販売チャネル・販促方法の決定を行います。

※ブランド・アイデンティティとは「企業が自社の製品・サービスが競合他社の製品・サービスとどこが違うかを明確に示すもの」
※ブランドのポジショニング:ブランドの役割の定義。
※ペルソナ:人物像までも具体的に設定した見込み顧客

ブランド構築におけるマーケティングミックスは、このようなステップを踏んでブランド・アイデンティティ(ペルソナにどう思われたいか)までを決めた後に行うので意味があるのです。

ブランド構築における4P/4Cのポイント

1.ポジショニングやブランド・アイデンティティが反映されているか

マーケティングで重要なのは、それぞれのマーケティングツールの間で、ブランドの独自性に沿ったメッセージングを行なうことです。
例えば、下記のような「安くて高品質」で有名なブランドがあった場合、要素をひとつでも変更してしまうとブランドのイメージが変わってしまい、特徴が伝わりづらくなってしまいます。

・Product(製品)高品質
・Price(価格)低価格
・Place(販売ルート)国内直営店を全国に展開。
・Promotion(販売促進)毎週折り込みチラシを配布している。

2.ペルソナに向けたものになっているか

4Cの顧客をペルソナに置き換えて、ペルソナにとって、どんな価値があるかを考えることが大切です。

・Customer value(顧客価値)ペルソナにとって、どのような価値があるか
・Customer cost(顧客の負担)ペルソナにとって、そのコストは妥当なのか
・Convenience(入手容易性)ペルソナにとって、買いやすいか。
・Communication(コミュニケーション)ペルソナにとって、身近に感じるか。

(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

3.相乗効果を実現するものか

それぞれの要素による相乗効果としては、商品開発を工夫することで、低価格化を実現し成功しているケースが多くあります。

例えば、
QB ハウス・・・千円でカットだけを行う理容室
サイゼリヤ・・・低価格を実現するために調理を簡素化したファミリーレストラン

また、何かひとつでも、マーケティング要素に変更があると、他の要素も影響を受けます。例えば、カップうどんは関東と関西でダシ・味を変えていたりと、食品類は製品の見た目は同じでも販売地域(Place)によって味(Product)を変えていることが多いのです。

ホワイトベルグの成功でみる4P/4C

ホワイトベルグ

http://www.sapporobeer.jp/whitebelg/products/

マーケティングミックスの成功例として、サッポロビールの「ホワイトベルグ」をご紹介します。ホワイトベルグは、第3のビールで、低価格でありながらベルギービールのような味が楽しめることから、若者を中心に口コミが広がりヒットしました。

それでは、ホワイトベルグのマーケティングについて4P/4Cを使ってみていきます。

前提として開発当時は、次のような状況でした。

ターゲット
・20~30代の若者、(ビールをあまり飲まない層も意識)
・クラフトビール(地ビール)好き
ターゲットのニーズ
・事前の調査結果によると、20~30代の若者はビールに対してコクとキレではなく「飲みやすさ」「爽やかさ」「香り」などのニーズが高い
市場
・苦みと炭酸が強いピルスナータイプのビールが主流だった。
・クラフトビールやビアフェスが流行ってはいたが、販売している競合メーカーはほとんどいなかった。

ホワイトベルグの4P

【Product】製品、サービス

「大きな市場でなくても、深く愛される商品を作ろう」という発想から生まれたホワイトベルグ。クラフトビールやビアフェスの流行をきっかけとして、人気のベルギーのホワイトビールの味を目指し開発が進んでいきました。他の第3のビールは、ビールの味にどうやって近づけるかを研究していますが、ホワイトベルグはあくまで、ベルギーのホワイトビールにこだわりました。

本場で使用されているコリアンダーシードとオレンジピールを香料として採用することにより、ベルギービールらしい香味を出すことに成功。その美味しさは本場ベルギーのお墨付きで、iTQiというベルギーの食品コンクールにおいて2年連続で三ツ星の賞を獲得しています。

また、若者の「ながら飲み」をイメージして、家でテレビやインターネットを見ながら飲んでも、苦みが増えないで美味しいように香味を仕上げたそうです。

こうしてホワイトベルグは「本格的な味わい」「洗練された華やかな香り」。キャッチコピーとともに発売されました。

【Price】価格

海外のビールは高く、500〜600円が相場で、安くても300円代。ホワイトベルグは第3のビールのため価格を安く設定でき、コンビニでも140円程度で販売することができました。

【Place】流通、販売チャネル

全国のスーパー・コンビニ・ネット通販などで販売しています。発売当時は、スーパーやコンビニで取扱いが多くありましたが、いまでは店頭では少なくなっており、探さないと購入できません。そのため、インターネット通販での販売が中心となって売れており、現在amazonの第3のビール売れ筋ランキングにおいてトップ2位です。(2016年3月11日調べ)

【Promotion】プロモーション、販売促進

プロモーションとしては、俳優の成宮寛貴氏を起用したCMや、シールを集めて応募すると新商品の「ゴールドベルグ」「ルビーベルグ」などが当たるプレゼントキャンペーンを行ってきました。そして、ホワイトベルグの販促で注目されたのは4Cのコミュニケーションです。

ホワイトベルグの4C

【Customer value】顧客価値

人気のベルギーのホワイトビールの味が手軽に楽しめるようになったのもそうですが、ビールの苦みが苦手だった人が、ホワイトベルグを飲んでビールの美味しさを知ったり、クラフトビールに興味を持つきっかけとなりました。
また、2015年には、コクを強調した新商品ゴールドベルグとのセット販売を開始。これは、「ビールの飲み比べ」という新しい価値の提案として受け入れられました。

【Customer cost】顧客の負担

同じ価格帯でベルギービールの味を出しているものは他にはなく、ホワイトベルグ一択になるため、特にクラフトビール好きには、かなりのお得感があります。

【Convenience】入手容易性

前述の通り、店頭での取り扱いが減り、インターネット通販でしか購入できない顧客もいるため、買いやすい状況とは言えません。しかし、ターゲット層の30代は、インターネットショッピング利用率が7割※近くあり、amazonや楽天などのネット通販で代用していることが予想されます。

(出典:総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年))

【Communication】コミュニケーション

サッポロビールは、ビール業界で初めてフェイスブックページを立ち上げるなど、SNSの活用に積極的に取り組んでいます。現在ではフェイスブックは22万以上の「いいね!」を獲得。ツイッターも4万人近いフォロワーがいます。

さらに、ホワイトベルグは、若者を中心に人気が出たため、ツイッターでのツイートや拡散が広がるなど、消費者自体の口コミが大きな影響力を持ちました。商品発売後の関連ツイートでは、その47%が20代だったそうです。サッポロビールの社内でも、今までで一番インターネットでの反響が大きいと評価されています。

相乗効果を生み出したホワイトベルグのマーケティング戦略

徹底した事前調査により、ホワイトベルグは発売開始後、ターゲット層であった20代、30代から人気が出ました。ターゲットのニーズであった「本格的な味わい」「洗練された華やかな香り」を低価格で打ち出すことで、相乗効果が生まれたといえるでしょう。

そして、その相乗効果は、ホワイトベルグに代替できるものが同一のカテゴリーになく、ブランドのポジショニングが成功していることにも起因しています。

開発者の後藤氏はこう語ります。

今までの新ジャンルは、似たような香味で代替できる商品があるかもしれない。
でもホワイトベルグを気に入ってもらえたら、この味を代替できるものは少なくとも新ジャンルにはありません。

(出典:黒ラベルの逆張りで当てた「ホワイトベルグ」URL:http://ascii.jp/elem/000/000/925/925937/

こうして「大きな市場でなくても、深く愛される商品を作ろう」という発想から生まれたホワイトベルグは他に代替えができないものとして評価され、現在でもネット通販を中心に売れ続けています。

このように、マーケティングミックスの考え方は、売り手目線から、顧客視点へと変化してきました。さらに、ブランディングにおいては、ブランド・アイデンティティ(ペルソナにどう思われたいか)をマーケティングミックスに反映することで、ブランドの一貫性を保つことができるのです。

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