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Case Study

瀕死のコロナ禍エンターテインメントビジネスの活路とは  ― ディズニーランドの生き残り戦略 【前編】

投稿日:2021年6月10日 更新日:

世界中に感染症問題が勃発してから、既に1年以上が経過しました。この間に社会様式が変貌し、経済的にも予想外の変貌を各社にもたらしています。
一部の国や地域ではワクチンの接種が開始されたものの、感染症問題が起こる前までの状態に戻るには、まだまだ時間を要することになるでしょう。

今回の感染症問題の打撃が大きく報道されているのが主に旅行・飲食業界です。特に飲食業では倒産や廃業が相次ぎ、名店と呼ばれる店ですら閉店してしまう事態に至りました。そのような中であまり目立ちませんが、レジャー業界も大きく打撃を受けています。

コロナ禍「取り残される」サービス業 日銀短観、広がる業種格差
日銀の3月短観は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が直撃するサービス業の悪化が際立った。
大企業製造業の景況感はコロナ前の水準に急回復したものの、非製造業の飲食や宿泊などは長引く苦境から抜け出す兆しが見えない。そんな中、足元では感染「第4波」の到来や半導体不足などの懸念材料が多く、日本経済は景気の不透明感がなお強い。(中略)

ただ、3月短観の内容を見ると、コロナ禍で広がった業種別の差が影を落とす。基幹産業の自動車は国内外の需要回復に支えられ大きく改善し、第5世代(5G)移動通信システム向けに電子部品の需要も伸びた。その一方、飲食や宿泊、レジャー施設などのサービス関連の業種は引き続き状況が厳しく、他の業種から「取り残されている」(日銀幹部)状況にある。

先行きの見通しも、二極化の様相は変わりそうにない。コロナ禍の景気回復をけん引してきた大企業製造業の3カ月後の業況判断指数(DI)予測は、1ポイント下落と鈍化の傾向が表れた。
しかし、大企業非製造業が横ばいで、プラスへの回復は見込めない。中でも、宿泊・飲食サービスはマイナス58と、極めて低い水準が続くと見られている。(中略)

新型コロナの流行が国内で始まって1年が経過した。政府や日銀の手厚い支援もあり、企業倒産などは抑制されてきた。
「サービス業の長期的な不振は、雇用の悪化や所得の減少につながり、買い控えなどで製造業にも影響が出かねない」(エコノミスト)。政府や日銀には業種ごとの現状を細かく分析し、特に打撃が偏るところに支援を続けることが求められる。
(2021年4月2日 西日本新聞 一ノ宮史成氏 署名記事)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/716994/

レジャー業界の中でもエンターテインメントビジネスは特に今回の感染症問題に対して感染に直結するビジネスモデルになりがちであるため、そもそも施設の運営すらままならない状況にあります。

そのため、飲食業のように時間制限を設けること以前に、営業すらできない状態になっています。昨今では、ユニバーサルスタジオジャパンなど、日本でも多くのエンターテインメントビジネスが展開されておりますが、日本のエンターテインメントビジネスの元祖的存在が東京ディズニーランドです。

東京ディズニーランドは、1983年に京成電鉄・三井不動産の連合体と千葉県の協力のもと、オリエンタルランドが運営を開始したレジャー施設です。
現在は、開園時のディズニーランドだけでなく、関連施設も複数展開しており、大人向けのエンターテインメント施設であるディズニーシー、物販を行うイクスピアリ、ホテル経営など、一大リゾート施設が形成されています。

そのディズニーランドですが、今回の感染症問題を受けて休業に追い込まれることとなり、経営的にも苦戦が続く状態になっています。

過去最悪287億円赤字 ディズニー新エリアで回復も オリエンタルランド4~12月期決算
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(OLC、浦安市)が28日発表した2020年4~12月期連結決算は、純損益が287億2800万円の赤字(前期は709億9200万円の黒字)だった。四半期ごとの決算開示を始めた03度以降、過去最悪の赤字幅で、新型コロナウイルス感染防止のための臨時休園(2月29日~6月30日)が響いた。

ただ、9月にディズニーランドの新エリアが開業したことで売り上げは徐々に回復。10~12月期のみの純損益は13億6700万円の黒字を確保した。
同社によると、4~12月期の売上高は前年同期比64・9%減の1371億1300万円。四半期ごとの売上高の推移をみると、臨時休園があった4~6月期は前年同期比94・9%の大幅減。7~9月期は58・6%減、10~12月期は45・0%減だった。依然として前年を大きく下回っているものの、少しずつ改善した。

10月30日にテーマパークの感染防止ガイドラインが緩和され、一時的に入園者数が増加。9月にはディズニーランドに映画「美女と野獣」をテーマにした新エリアが開業したことで、関連商品の売り上げが伸びた。数十種類あったチケットの種類をワンデーパスポートなどに集約したことも、客単価の増加につながった。
12月までの実績は予想を上回ったが、足元では緊急事態宣言の再発令に伴い、再び入園者数の制限を強化。ディズニーランドとシーは1月12日から2月7日まで、入園者数をそれぞれ一日5千人以下に抑えている。

このため、同社は10月に公表した213月期通期の業績予想について、純損益を511億1の赤字(前期は622億1700万円の黒字)とする見通しを据え置いた。
同社は「緊急事態宣言の期間が2月7日までならば、従来の業績予想との乖離(かいり)はない。その後の見通しは予測しづらい」と説明した。
(2021年1月29日 yahooニュース配信記事 千葉日報)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/716994/

ここでまずはオリエンタルランドの展開するビジネスの構造を探っていきたいと思います。

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